MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

顔は命の窓

2014-07-12 23:12:57 | 科学

顔の老化具合でその人の余命がわかるという。
どの程度信憑性があるのだろうか?

7月2日付 Washinton Post 電子版

Can your face reveal how long you’ll live? New technology may provide the answer.
どれくらい長く生きられるか顔でわかる?新しい技術がその答を教えてくれるかも?

BY TARA BAHRAMPOUR,
 保険業者が皆さんの家にやってきて、体重や血圧を記録するだけでなく皆さんの顔写真を撮ると想像していただきたい。そして、そのシワ、シミ、垂れ下がった箇所が、コンピューターにインプットされ、あなたがどれくらい長く生きられるかを推測できるとしたら。
 顔認識技術は、これまで犯罪者の捜査や、行方不明となっている子供が成人となったときどのようになるかを推測することなどのために久しく用いられてきたが、やがては個人的なものとなるかもしれない。それぞれの顔がどの程度老けているかに基づいて個人個人の将来の見通しを解析するシステムの研究に科学者グループが取り組んでいる。
 「老化研究の領域において、他の人たちに比べ急速に老ける、すなわち老化が速い傾向にある人たちがいることがわかっています」今回のアイデアを思いついた University of Illinois の生物人口統計学者の Jay Olshansky 氏は言う。「また、ゆっくりと老化する人の子供はそうでない人たちより長く生きる傾向があることもわかっています」
 この研究はまだ初期段階にあるが、顔認識技術を用いるこのアイデアは、保険料の決定にこれを応用する可能性を探る保険会社の幹部たちから関心を集めている。また、この技術は手遅れになる前にその人たちに健康上の習慣を変えるよう促すことにつながるかもしれない。
 この技術には、老化の徴候を見るために顔写真の精査にコンピューターが用いられる。被験者の民族、性、教育レベルおよび喫煙歴(これらすべては寿命の見込みに影響を及ぼすことが知られている)が計算に入れられ、頬、目、額、口、顎の各セクションを解析し、同じ年齢で同じ背景を持つ他の人たちと比較してその人がどの程度寿命を全うしているかを示しているとみられるシワ、シミ、皮膚の垂れ下がり、およびその他年齢に関係する変化を示すわずかな違いを検出する。
 米国は徐々に高齢化が進んでいることから、寿命を延ばすこと、特に、健康でいる年数を増やすことの研究が公共団体や民間団体の関心を集める話題となっている。
 Google は昨秋、老化とそれに関連する疾患に焦点を合わせた新しい企業 Calico を発表した。このために同社は一流の科学者たちを採用してきた。しかしその計画の詳細や、どれくらいの金額を投資しているかについては明らかにされていない。有名な遺伝研究者 Craig Venter 氏が率いる別の組織 Human Longevity Inc. は加齢に伴う病気に取り組むためヒト DNA 配列のデータベースを構築する計画を持って今春立ち上げられた。同社は初回の投資に7,000万ドルを調達した。
 そして National Institutes of Health(NIH、国立衛生研究所)は最近、老化と寿命に取り組むため、その27の専門機関のうち20機関にまたがる前例のない協力的新規構想を立ち上げた。National Institute on Aging(国立老化研究所)の Richard Hodes 所長によると、NIH はさらにいくつかの新しい機関とともにこの主題に取り組みたいと考えているという。

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新しいシステムは複雑なアルゴリズムと膨大な顔のデータベースを用いて人の顔の各所がどの程度老いて見えるかを評価する。このサイトを運営する研究者は将来、老化の様相と寿命とを関連付けたいと考えている。ポスト紙の記者2人についてコンピューターがはじき出した結果をここに示す。

 経済的、および社会的意味合いは驚くほど大きくなる可能性がある。いつの日か100才まで生きることが当たり前となるだけでなく、晩期の20~30 年間の生活の質が大幅に改善し、老年人口により背負わされる負担が軽減される可能性がある。
 University of Chicago's Center on Aging の研究員でもある Olshansky が共同で執筆した Health Affairs の論文によると、老化を遅らせることで得られる 2.2 年の寿命の延長は、障害および給付プログラムにおいて50年間で 7.1兆ドルを節減できるという。
 長寿の科学者たちは、健康寿命の延長の鍵は、加齢に関連する疾患よりむしろ、加齢そのものに焦点を当てることにあると指摘する。たとえ小さなものであっても老化のプロセスを遅らせることの進歩は、一つの疾患に取り組む大きな進歩以上に画期的なものとなると彼らは言う。
 事実、いくつかの加齢に関連する疾患に既に用いられている薬は、全般的に見ればそれらが老化を遅らせていることによって効果を発揮しているという事実が明らかにされる可能性がある。
 「糖尿病や黄斑変性症に対して承認された薬剤が実際には老化の発現を遅らせているために効果を発揮しているというそんな時代の始まりの地点にいるのかもしれません」ワシントンを拠点とする支持団体
 人類がいつの日か150年生きることができるようになるかどうかはいまだ明らかではないが、一部の人たちが予測しているように、人間が健康な生活を送ることのできる年数、すなわち“健康期間(health span)”が著しく延長し、加齢に関連した慢性病が減少することについて科学者たちは楽観視する。
 「老化は変えることのできないほど私たちの生物学の深い部分ではありません」Birmingham にあるUniversity of Alabama の生物学部門の Steven Austad 教授は言う。「これらすべては数年前にはサイエンス・フィクションのように思われていましたが今では実現しています。少なくともマウスにおいては」

A personal approach 個人的アプローチ

 今回の顔認識プロジェクトのアイデアは2、3年前、保険業者とのディナーの最中に Olshansky 氏の頭に浮かんだ。「人の生存見込みを評価する時間がほとんどないと彼はぼやいていました」そして、それを行うために用いられる手段があまりにもおおざっぱだと、そう Olshansky 氏は言う。
 人の寿命の限界を調べること、老化を遅らせること、個々および集団の老化の健康的公益的影響の研究を行っていた Olshansky 氏は、一般に長く生きる人は、同じ年の他の人より若く見えるということに気付いていた。その知識をもっと科学的なものに転化できないかと彼は考えた。
 彼は Wilmington にある University of North Carolina のコンピューター科学教授の Karl Ricanek 氏に連絡を取った。彼は National Security Agency(国家安全保障局)、CIA、あるいは FBI の顔認識技術に携わってきた人物である。そして統計学者や他のコンピューター科学者と共同で、彼らは顔写真を解析するプログラムを開発した。
 彼らは、世界中の人たちに写真の提供を呼びかけるウェブサイトを立ち上げた。Face My Age という彼らが開発中のデータベースは、より多くの人が参加すればするほど正確な評価と推測が行えるようになっている。研究者らは少なくとも1万人から2万人、できればさらに多くの大勢の人々に、彼らがどれくらいの速さで老化しているか、それが彼らの寿命の見込みにどのような意味をもたらすかについてのフィードバックを行うことと引き替えに、写真と基本的な経歴情報を提出してもらうよう要請した。写真の人物は笑うことやメーキャップをすることは許されず、もし彼らが形成手術を受けていた場合は申告しなければならない。

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スタッフ記者の Tara Bahrampour は彼女の現在の年齢47才時点の実際の写真で示されている。今後の年齢の画像が Wilmington にある University of North Carolina の Face Aging Group の研究者によって開発されたコンピューター技術を用いて作成されている。

 この技術は顔の老化への現在のアプローチよりさらに個別化されているものである。
 「現在ある技術は集団の標準を用い、それによって人工的に皆さんを老化させることができます」と Ricanek 氏は言う。「しかし、皆さんの顔に描くシワは私の顔の上に彼らが描くシワと実際には同じです。それに対し、私たちが使っているシワは個別のものとなります」
 最初、このサイトは外見的年齢の数字だけが利用者に提供されることになっていたが、改良が進むとともに感知した年齢を顔の異なる部分にも割り当てることができるようになっていると Olshansky 氏は言う。
 「皆さんのiPhoneを取って自分を撮影し我々のウェブサイトに送っていただくと、目は50才のそれ、唇は70才のそれ、頬は50才のそれといったことがわかるという感じです」と彼は言う。
 異なる性や民族集団の人では別個にアルゴリズムが機能すると Ricanek 氏は言う。たとえば、メラニンの少ない色白の人たちの皮膚は、色黒の人の皮膚より、日光露出の結果として老化する傾向にある。また女性の顔は脂肪や血管の分布が異なることにより男性より速く老化する傾向にある。

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スタッフ記者の Robert Samuels は現在の年齢29才で撮られた実際の写真としてここに示されている。後年のイメージが Wilmington にある University of North Carolina の Face Aging Group の研究者によって開発されたコンピューター技術を用いて作成されている。

Wait and see 様子見

 十分な数の被験者が死亡して初めて自分たちの評価がどれほど適正だったかを研究者が知ることができるわけだが、それまではこの技術がどれほど有効であるかは定かではない。しかし、何年も前に撮影されその後死去した人たちの数千枚の写真を入手できるようになってからこのプロジェクトに最近弾みがついている。それほど多くの人たちの死亡日時がわかることによって、この先12から18ヶ月の間に、より信頼できる寿命をこのウェブサイトから利用者に提供し始めることができるだろうと Olshansky 氏は言う。
 もし成功すれば、それは保険会社だけでなく、保健権利擁護者、金融機関、あるいはその他の科学者からも利用されるようになる。
 もしうまくいくとなればこのコンセプトは興味深いと、ニューヨークにある Albert Einstein College of Medicine の Institute for Aging Research の Nir Barzilai 所長は言う。しかし、皮膚の様相だけで老化のより深遠な徴候を明らかにできるかどうかは確かでないと彼は言う。
 「皮膚の生体指標が他の疾患に関連しているかどうかがまさに知りたいところです」と彼は言う。
 100才以上の人たちを研究している Barzilai 氏は、60才から116才までの彼の一部の被験者の写真をこのデータベースに提出する予定だという。
 ミネソタ州 Rochster にある Mayo clinic のKogod Center on Aging の James Kirkland 所長は、人の寿命を評価することより重要なことは、その人の機能的状態を予測することだと指摘する。Ricanek 氏と Olshansky 氏のデータベースではそれを行うことはない。しかし、意外な手段によって科学への貢献につながるようなこれまでの多くの発見と同じように「最終的に何らかの結果につながるパイプラインの一部となる可能性があります」と彼は言う。

Potential for bias 偏見を生む可能性

 一方で、倫理的、実用的懸念も持ち上がってくる可能性があると指摘するのは Michigan State University の哲学および医学倫理学教授の Leonard Fleck 氏である。
 たとえそれで寿命が予測できたとしても、この解析では、人の長期ケアの必要性を予測することはできない可能性があると彼は言う。また、これが差別へのドアを開くことにもなり得る。
 「もし40才の人だったとして60過ぎまで生きられそうにないということが顔に存在したとしたら、雇用主はこう言うだろう『ああ、あなたを重要なポジションには昇格したくない。なぜなら優良な投資になりそうにないからだ』」そう Fleck 氏は指摘する。
 また年齢より若く見える人たちも必ずしも長くは続かない、そう言うのはカリフォルニアに拠点を置き老化研究に資金提供を行っている Glenn Foundation のMark Collins 会長である。きわめて健康に見える人でも時には道半ばにして死亡する場合もあれば、しわだらけに見える人が80才でまだ走り続けていたりします」と彼は言う。
 Olshansky 氏は、顔の老化に長寿との関連が見出されるとしても、全般的なパターンに適合しない外れ値が存在することを認めている。
 「世界で最年長の人は100年間たばこを吸っていました」と彼は言い、米国の大統領たちも外れ値に入る傾向があると付け加える。彼らは、在任期間中、目に見えて速く年を取るが、一般に平均より長生きしているのである。
 しかしながら大方の場合、顔はその人の健康全般の窓となっていると彼は言う。
 「顔には、健康に関する多くのリスクファクターが表れる。たとえば喫煙(口周囲のシワ);アルコール過剰摂取(大きな鼻);太陽への過度の露出(早期の褐色のシミやシワ)そしてストレス」e-mail で彼はそう述べている。
 少なくとも、人の顔‐年齢解析の結果は、被験者に対して良い生活習慣を身につけることでその人たちの健康的な寿命を延ばす努力をするよう促すことにつながり得る。
 「もし誰かがやってきて、たとえば、あなたの余命は今から5年であると言ったら、あなたの生活で営まれていることについてじっくりと考えることになるでしょう」と Ricanek 氏は言う。「それは私たちの目を覚まさせ、今していることのいくつかを変えることにもなり得ます。多分私たちは仕事についてあまりにストレスを感じ過ぎているかもしれない;異なる生活スタイルの決断をする必要があるかもしれない、などです。私は人々に活を入れたいと思っているのです」

非常に興味深い記事であるが、
もし余命があとわずかと判定されてしまったら
その人は生活習慣を改めるどころか
逆に自暴自棄に陥りそうな気もする。
人の余命など、
やはり知らないでいる方がいいのではないかと
思うのである。

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