雪だるま倶楽部

日々を離れ
日常から脱却した世界
そんな風景を切り取っています

聖パウロカトリック教会

2008年07月15日 | 長野散策
軽井沢
文人がこよなく愛した町
ここを舞台に数多くの文芸が生まれました

そんな軽井沢の町で
一番好きな場所が聖パウロ教会
昭和10年
英国人ワード神父よって設立されたカトリックの教会

   

アントニン・レーモンドが設計した教会は
今日でも軽井沢の町で宣教に努めています

       

小説家
堀辰雄も軽井沢をこよなく愛した作家の一人
彼はここを題材にいくつもの作品を残している

  

代表作のひとつ
「麦藁帽子」では


落葉松の林の中を歩いていると
突然背後から馬の足音がしたりした
テニスコオトの附近は、毎日賑やかで
まるで戸外舞踏会が催されているようだった
そのすぐ裏の教会からはピアノの音が絶えず聞えて…

と書き

  

「木の十字架」では

信州軽井沢にある、聖パウロ・カトリック教会
いまから五年前に
チェッコスロヴァキアの建築家アントニン・レイモンド氏が設計して建立したもの
簡素な木造の、何処か瑞西の寒村にでもありそうな
朴訥な美しさに富んだ
何ともいえず好い感じのする建物である

  

カトリック建築の様式というものを私はよく知らないけれども
その特色らしく
屋根などの線という線がそれぞれに鋭い角をなして天を目ざしている
それらが一つになっていかにもすっきりとした印象を建物全体に与えているのでもあろうか

   

町の裏側の
水車のある道に沿うて
その聖パウロ教会は立っている
小さな落葉松林を背負いながら

   

夕日なんぞに赫いている木の十字架が
町の方からその水車の道へはいりかけると、すぐ
五六軒の、ごみごみした
薄汚ない民家の間から見えてくるのも
いかにも村の教会らしく、その感じもいいのである

と書いています
残念ながらその時の情景はもうありません
向いには近代的な建築物も建ち
水車の道はもうない

    

    

天の気の薄明に優しく会釈をしようとして
命の脈が又
新しく活溌に打っている
こら
下界
お前はゆうべも職を曠うしなかった
そしてけさ疲が直って
己の足の下で息をしている
もう快楽を以て己を取り巻きはじめる
断えず最高の存在へと志ざして
力強い決心を働かせているなあ

      ファウスト第二部

   

聖パウロカトリック教会

  

堀辰雄とともに
お伝えしました

      
コメント (6)
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