ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

2016 IRONMAN Cairnsだ

2016年06月18日 | 大会レポート


【ホテル発。40台前半の二人と行動を共にしたケアンズ】

朝4時40分発の指定のバスに乗り込みスタート会場へ。が、着いたらいきなりの雨。

濡れながらのバイクセッティングチェック!


【前日のセッティング後。60-64カテゴリー最後のYoshikawa,YuyamaはP3Twins】

雨宿りは?この後
どこで待機?ウロウロ。アナウンス、何言ってるかわからんし。


【同カテゴリーライバルと】

前日もすごい波だったけど、レースの朝はもう少し穏やかになるらしいという情報をもらっていたけど、、、なんてことはない。日本なら120%中止な海。
オーストラリアでは驚くようなことではないのかな。ようやく浜にたどり着いて試泳すれば、これは楽しい!強烈な波乗り感覚で一気に目が覚めた。

【Swim】

後から合流予定だった妻とも無事に会えて一安心。

非常に落ち着いてスタートを待つ。ドキドキもしないし不安もない。それより何より日本にいたら経験できない高い波がやたら楽しみでウキウキしていた。

【写真ではあまり伝わってこないけど、これ相当ワクワクする波!】

スタートは初体験のローリングスタート。自己申告カテゴリーに整列後、数人ずつの入水。バトルはほぼなし。これいいんじゃないかな。そして日本ではこれまたほとんどない左回りの2周回コース。左オープンの方が得意なハリ天にはうってつけ。


”泳げ波乗り越えて~♪” 高石ともやさんの「長い道」(第1回トライアスロン宮古島大会のNHK放送時のテーマソング)の歌詞そのまま。打ち寄せる波に向かって飛び込む様は豪快そのもの。潔い覚悟に身体中が引き締まった。
ヘッドアップしても運良く波の頂点で上げていないと目印のブイも見つけられない。へたすると空振りも。
最近の泳ぎはスピードはともかく、非常に楽になっている。前日ラグーンプールで泳いだ時もかなり感触はよかった。
欲はない。気持ち良くいつものように。波は高いが慣れてくればなんてこともない。
途中太い腕のオージーとぶつかってしまい(海の中の視界は良くない)ゴーグルに水が入り2度ほど立ち泳ぎで修正。わざとじゃないのはよぉくわかっているけど強烈な横パンチだった。
2周回目の後半、突如高いうねりがさらに増したかと思うや否や海面を打つ激しい雨。体が激しく上下する。思わず笑いたくなる状況だ。グワンと持ち上げられたかと思うと一気に沈む。
ブイはチラチラとしか見えないので、隣の外人と併泳しながら思いっきり泳ぐ。
浜に向かう最後は波にうまく乗りながらゴールを目指す。波のプールで子ども達とキャーキャーやっていらいの大波泳ぎ。なんか体フラフラするようだけど超楽しかったスイム。このコンディションでの1:17は上出来。

【Bike】



時折叩きつけるような雨と強い風を切り裂きバイクスタート。

この3ヶ月程、よく乗り込んできたバイク。とにかく淡々と自分を信じて進む。追い風なこともあって気持ち良い。雨で視界がやや悪いのとメーターが見にくいこと以外は順調。
パワーメーターの目安は150前後。絶対に踏ん張らない。
それでもアベレージ30kmは楽々超えていて少しずつ貯金が増えていく展開。ポートダグラスで折り返し、向かい風になってもほぼこの状況変わらず。
去年のレース中何度か見舞われた症状はなし。気持ち悪くもない。頭も痛くない。気負いなくリラックスして集中できている。
ただ20kmごとのエイドの水が不味い!スポーツドリンクが不味い!自前のドリンクを水で薄めながらの給水。
やや疲労感が顔を覗かせ始めていたが、それ以外はいたって順調だった120km過ぎ。
何の予兆もなく突然右内腿に痙攣。踏み込めない。衝撃走る。安全ピンもないし何とかやり過ごすために速度を落とし、上り坂だったがそおっとそおっと回す。軽く立ちこぎしようとするとビクン!

同じエイジの日本人強豪選手達に次々抜かれる。さらに彼らの姿はどんどん遠ざかる。まだあと60km近く残っている。一気に絶望感に包まれていくのを感じていた。
佐藤スポーツで出発前にいただいた痙攣防止の新発売ジェルを摂る。何とかしのげぬか。これは脱水だ。口の中はカラカラ。水が不味いといつものような給水をしていなかった。今更悔いても仕方ない。
我慢だ。アベレージ速度の貯金はあっという間に使い果たし、借金状態だ。それでも何とかおさまりスピードアップし始めたら今度は左足に来た。まいった。とにかく踏めない、回せない。さらにこの状況を追い込んでいくのが残りはずっと向かい風の中を進まねばならないこと。
残り20km。次々と女性ばかりにぬかれる。5人連続同じP3を駆っている。涼しい顔で強いオーストラリアの女性達。
パワーメーターの数値は100を下回るように。最悪の展開だ。痙攣はどこぞに姿を消してくれたがとにかく足が動かない。
諦めるな!強く念じるが足は全く言うことを聞いてくれない。時間だけがどんどん過ぎる。コナへの道が遠ざかる。
こんな足でとてもこのあと走れる気がしなくなっている。一体どうやって自分を納得させればいいのか。
五島の時とも佐渡の時とも違う心理、葛藤。
やがてヘロヘロのバイクゴールはちょうど6時間30分。予定目標タイムより30分遅れ。自信があっただけに「30分」が強烈なダメージとして心の中に大きな穴を空けてしまった。


【Run】

気持ちを立て直すためにゆっくり休もう。そう思ってテントに入ったが、ソックス、シューズを履くと押し出されるようにスタートすることに。



応援の妻に早くもゴメン!

【にやつくな!】

結果的にはこの時に切り替えが出来なかったことが最大の敗因だ!
よっしゃ、ランで巻き返すぞ、といつものように何故思えなかったのか。
コナゲットのために自ら設定した最低条件が高過ぎた。のだけれども、、、。この時点でしっかり走り出せなかったのも紛れもない事実でこれが今の実力だったのだ。
歩きながらランスタート。体中が干からびている。少しフラつく感じ。
水はやっぱり不味い。コーラだコーラだ。後はエイドでコーラとスイカと氷。氷を溶かした水は美味い!

3km程でようやく水分が行き渡り始め普通に走れるようになってきた。練習通りの4分50秒〜5分15秒くらいのレースペース。感触も戻る。



が、続かない。何が?気迫?執念?
エイドで飲みまくり歩き、また走る。5分ちょっとのペースで走れるのに急に立ち止まってしまいリズムを勝手に壊してしまった。
久しぶりに歩いてしまった・・・そのことに嫌気がさして落ち込んでいる。
なら走れよ!
走る。またガクッと歩く。その繰り返し。あちこちに移動して応援してくれる妻に申し訳ない。

同じエイジの日本人は前に大勢いてそれぞれしっかり走っている。
終わっちまったな。そんなこと考えるな!と命じつつ、心の中にはつかみどころのない冷たい風がスーッと通り抜けていた。


【上体も折れ、風前の灯火ラン】

ケアンズの中心部での応援はものすごい盛り上がり。途中、やはりバイクで潰れてしまったというコナ狙いの若者と一緒になり励まし合う。
ゴール付近や繁華街での熱狂的盛り上がりを味わえただけでも来た甲斐があったねと。1周14kmのコースを3周回。長い。

それでもちゃんとやって来るゴール。先にゴールしていた次郎くんと妻が迎えてくれた。



最後のレッドカーペット、大勢の観客の皆さんとハイタッチしながら何もかも忘れて楽しんだ。
MCの叫ぶようなYou are an Ironman ! を聞きながら飛び込んだゴールは12時間46分35秒。
結果はともかく、アイアンマンのゴールはやっぱり半端なくすごい!Very Very Greatだ。



希望がボロボロになってしまったけど、こうして2001年長崎・五島での第1回アイアンマンJAPAN以来2度目の「You are an Ironman」を手にしたのだった。

緑風堂鍼灸院WEBSITE
ハリ天狗マネージャーの笑顔いっぱい!

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2 コメント

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感動! (yahushige)
2016-06-19 08:24:14
12時間46分のドラマ。
読ませていただき感動しております。
思い切り”有難う御座います”と言いたいです。
しかし、今回も良い体験をされましたね!。


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☆yahushigeさん (ハリ天狗)
2016-06-22 18:55:20
応援どうもありがとうございました。
自分の中で(一人相撲っぽかったですが)色々なドラマが生まれました。
結果的には最大の目標を達成し得なかったのですが、今後に向けて
歩むべき道、鍛錬すべき方策等が見えてきて大きな節目に
なりました。
面白かったです。
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