この所バタバタしていて、せっかく調子が出ていた読書が遠ざかってしまっていた。
読み始めたばかりで1週間ほど放置されていた東野圭吾「ダイイング・アイ」
久し振りにページをめくる。
「全然覚えてない?」医師が訊いてきた。
(中略)
「何が起きたのか、さっぱりわからない」「雨村さんは、事件のことを覚えておられないようです」看護師がいった。
ん? 何? 何だっけ?
覚えてないのはこっちだよ。
もう一度、一番最初のページにさかのぼり、ストーリーの始まりを確認してようやくしおりのページに戻ってきた。
古い記憶は次々と消されている。どんどん新しくて有益な情報が入ってきているのだったら許すけど、ささやかながら困った困ったという話。