ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

ハコネ50Kレポート

2007年05月29日 | 大会レポート

分割投稿しようと思いましたが・・・やっぱり一気に行きま~す。覚悟!

【前置き】
1ヶ月に2つの大きなレース。TTRで満足のいく走りが出来ただけに、心配や不安があるとすればモチベーションの低下が唯一。体、足・・・は、皆さんが口を揃えて「大丈夫なんですか」と心配して下さるので、そうかやっぱりまいっているだろうとずっとおとなしくしていたので、大丈夫。
しかし、箱根入りして、受付会場の彫刻の森美術館に行くと、その華やかな雰囲気にコロッ。否が応でも盛り上がってしまう感じでした。
前日の応援場所下見ドライブ等で疲れ切ってしまい(前の晩、また思いつきで余計なことやっていて睡眠時間が削られていたこともあって)、開会式・パーティはパス。でも結果的にはこのおかげで前日ゆっくりでき、睡眠も十分にとれたことがよかったな。

【スタートまで】
大勢の参加者が続々と集結。荷物預けに役場に向かうと次々と知人友人に会う会う。また「ブログいつも読んでますよ」と見知らぬ方からも声がかかる。握手の連続。そんなこんなで、わかっていたけど前目の位置取りをするにはギリギリの時間、スタート40分前。0529_hakone00 TTRの落ち着きが欲しいと無い物ねだり。「21%」の表示看板の横にようやく並ぶ。前にペターさんとリキさん、隣に最強50代(同い年です)のご存知ノザキさん(北丹沢や陣馬トレイルレースの実行委員長)。しばし談笑。ノザキさんはなんと小さなウエストバック一つにランパン、ロード用のレースシューズ。「5カ所もエイドがあるって言うんじゃ、水なんていらねぇだろう」・・・いきなりアッパーカット。※膝を痛めていると言いながら、断トツで50歳代優勝でした。呆然と拍手。
0529_hakone01 開会式はスタートライン上の陸橋から町長さんの挨拶等。なるほどうまく場所を使ってます。

【スタート~金時山】
21%の坂の途中からスタートですから、ダッシュなんて・・・でもする人はしてます。
阿弥陀寺上り口でハリマネと弾の最初の応援。先日の富士五湖100kmのチャンピオンで24時間走日本代表のニシムラさんと仲良く通過。・・・したら彼はあっという間に消えていった。0529_hakone02
後ろの方では30分とか45分とか言われた大渋滞の阿弥陀寺からの登り口。時々止まる程度でストレス無く通過。
塔ノ峰通過後の林道に出ると、TTRの前半を前後して走った強豪女子選手のスズキさん発見。再会を騒ぎ合っているとakihageさんの応援を受ける。彼にはこの後も2カ所で応援していただく。本当にありがたい。
再び山道へ。3月の試走の時はうんざりした明星ヶ岳への急登もさほど気にもならず、力を抜いて踏ん張らずに淡々と進む。心拍数は160台の後半を示しているが、急な登りだからと納得させペースは維持。真ん前に富士の雄姿を眺めながらオープンエアの気持ちいい草原下り(好きなシチュエーション)。調子はどうやらかなり・・いい。
そのまま勢いで明星ヶ岳も突破。快晴でどんどん気温が高くなっているような気はしたけど、風もかなり強くて思ったより涼しい。というか快適。ただこういう時こそ水をしっかりとっておかないと・・・。風で飛ばされていてあまり感じないが汗は出ている。どんどん出ている。
0529_hakone03 気持ちよく矢倉沢峠までを風のように走り抜き、眼前にそびえる金時山に突撃。小刻みなアップダウンを心拍数はやや高めで押してきたツケが少々回ってくる。スズキさんに追いつかれた頃がピーク。意識してペースダウン。歯を食いしばりそうになるのをすんでの所で踏みとどまる。まだまだ先は長い。金時山の頂上が近いことは応援の声や拍手の大きさでわかる。
さて、大にぎわいの金時山。なんったって試走の時はようよう3時間半。山小屋の親父さんには「さっきの女の子達(箱根シスターズ)は3時間で来たってよ、あんたら遅い!」と叱咤された所。それがレースとはいえ、あっという間の2時間40分。そりゃ気分も良くなります。一休みしたい所だけど、前半の山場を超えたことで気持ちもグンとアップ。一気に通過。
下りながらハリマネに速報電話。すでに湖尻峠で待っているという。よし、この調子なら今回も待たせることなく、気をもませることもなく応援団の前に姿を見せられるぜ。

【金時山~海ノ平】
こんなにあったっけと小刻みなアップダウンを乗り越え、まだかまだかと第一関門の芦ノ湖展望公園を目指す。
笹の茂るシングルトラックを下っている途中、突然、「あ~、今の人知ってる」という声に振り向く。誰? 「ブログ見てます。ハリ天狗さん」思わぬ所で力をいただきました(初めまして、にょんたかさんでした)。
第一関門は気持ちが落ち着く素敵な雰囲気の芦ノ湖展望公園。アミノバリューの500mlを1本いただき一気飲みして即出発。
0529_hakone04 10分程で湖尻峠着。ハリマネと弾が元気に迎えてくれてありがたやありがたや。コーラ、コーラ。先行する人達の情報をひとしきり聞いて、ここは元気に出発。
0529_hakone05 芦ノ湖スカイライン沿いの道だが、やはりアップダウンがボディブローのようにズシンと響く。山伏峠の手前で殺気を感じ、ふと振り向けばゼッケン50番・たけ3号さん。観光客の盛大な出迎えの中、峠に着いて一緒に記念写真など。0529_hakone06 ここの自販機でよく冷えたリンゴジュース注入。・・している間にたけ3号さんには先に行ってもらう。勢いを感じる後ろ姿を見送りながら、今の自分の感じでは今日はもう追いつくのは無理かな・・と弱気なハリ天。
しかし! 一生懸命応援してくれる家族、特に妻のハリマネのためにもここを何とか・・・かんとかと思いながら、巨木にはこの前言い置いていたよねと声をかけながら、そよ風程度の風速になりながらも前に前に。
歩くほど落ち込まずに徐々にエネルギー回路も切り替え完了。海ノ平へ降り、道の駅でお茶500ml購入。渋さがうれしい。これを持ったまま箱根旧街道に突入。エンジンが再び勢いを増してきた。

【芦ノ湖畔トレイル~第2関門・箱根キャンプ村】
芦ノ湖畔に出ると一つの目標だった「平坦部の走り」に集中。山足からの切り替えにどうやら成功。エイドを過ぎ、ハリマネに連絡をとってからさらにスイッチオン。一人、二人と前を行く選手をとらえる。心拍数も140台と適度だ。
湖畔トレイルのそろそろ半ばに差しかかるかという所で抜いた選手がピタリとついてきた。初めてだったので、あれっと思っていると、「TTRは、いい成績でしたね。私も128km完走しました」と。17名の完走者の一人ポカラさん。突然の仲間登場にシャキーン。
色々な方からTTRから2週間で大丈夫?と聞かれるばかりだったのが、初めて「調子は大丈夫ですか」と尋ね合える方に会えて、なんだかやけに嬉しい。当然のようにTTRの時の話ですっかり盛り上がり、走るリズムもうまくシンクロして俄然スピードアップ。スピードアップしたというより、止まらなくなってしまったというのが正解。
この時点で、前には知り合いが3人先行。湖畔道路で一人目アキザワさんゲッツ。いつものほれぼれするような切れ味鋭いフォームがやや影をひそめている。心拍数が140の後半から150前半。まさにピタリの負荷。きついことはきついのだけれど、完全にボイスモード突入で「楽しさ」が上回り、「きつさ」が飛んでしまっている。人間はやっぱり「脳」が動かしているという実感。
さらに前を行く選手をかわしながら芦ノ湖キャンプ村のエイド到着。ここで座り込んでいた二人目の知人ペターさんゲッツ。0529_hakone07 今日はもう追いつくのは無理だと思っていたので、急に元気倍増。いつもペターさんがハリ天に追いつかれた時に見せる「あ~」という笑顔が好き(なんのこっちゃ)。0529_hakone10 少し先に我が応援団も陣取っていてコーラ補給。さぁ、最後のピーク・神山を目指していい感じのスタート。

0529_hakone11 【芦ノ湖キャンプ村~神山】
気力も充実してきた。akihageさんの応援を受ける。本日3度目、見事な移動応援に感謝。
湖畔から約700m弱のアップ。実はこの日頭に入っていた(残っていた)データはただこれだけ。地図もなし。その他のタイム予想や目標もなし。あまりの撃沈試走だっただけに、戦略も何もみんな吹っ飛んでいたし、TTRの後でどれくらいやっていいのか、走れるのか全く不明。
で、とりあえずは指標となる心拍数とずっとにらめっこでここまで来た。あとは自分の感覚を信じて、最後の登り、しかもコース最高峰への登り開始。ポカラさん、ペターさんと3人でペース作る。力は入れず、リズムを大切に。
序盤でペターさんがちょっと無理とペースダウン。なんとか一緒にと思ったけど見捨てる(ごめんね)。
ポカラさんはピタリ後ろ。ハリ天、引っ張る。ポカラさんの呼吸が荒くなっていて心配したが、なかなかどうして足取りはしっかりしているので大丈夫そう。ずっと我々の前をブツブツ独り言を言いながら上る外人選手も頑張っている。
やがて駒ヶ岳との分岐という頃、前方にゼッケン50番、そうもうゴールまでお別れを告げたはずのたけ3号さんの姿発見。3人目、最後の知人(プロ並みの選手はここでは除きますよ)ゲッツだ。0529_hakone08 まさか追いつけるとは思ってもみなかっただけに、少々顔をちらつかせていた「へたれ」もどこへやら。
先頭を切って神山への最後の上り。ブツブツ外人を途中で一気にかわすとたけ3号さんも見えなくなってしまい、あとはポカラさんと二人旅に。声掛け合って一気の頂上1438m。

【神山~早雲山】
これで一安心。急な下りで岩もゴツゴツなので慎重に。9時間を切るのはちょっときついかなという頭があり、次第にスピードも落ち、いつしか戦闘モードも解除され、安全第一ボイスモードに切り替わっていた。
大湧谷との分岐を過ぎ、相変わらず楽しくのんきにレース終盤を味わっていると・・・。またまた殺気を感じると同時に「追いついた~」とたけ3号さん。もう足がいっぱいだとは言ってもやはりただ者じゃありませんからね。でも、もうピークも過ぎてレースの雰囲気も消えかかったムード。仲間が増え、3人で色々おしゃべりしながら下っていたのです、最初は。しかし、何かに追い立てられるかの如く徐々に、徐々にスピードアップ、ヒートアップ。気がついたらハリ天の足は止まらなくなり、しかもいいタイミングでしばらく見なかった前を行く選手が現れるではありませんか。目の前にニンジンをぶら下げられた天狗、ではなく馬の如く、次々と抜き去りたく・・・なり、激走。たけ3号さんが少し離れ出したけどそのまま突っ込む。ラインもよく見え気持ちよい下り。早雲山駅へ降り立つ寸前にも一人選手をパス(知らずに走っていたけど、年代別入賞の瞬間だったのです、実は)。最後のエイドで水分補給を終えたところでたけ3号さん到着。一緒にと誘うも「膝が・・・」と。
では、いざラストラン。

【早雲山~ゴール】
ボランティアの方が「あと4km」と。時計を見ると9時間まであと16分程。いや、厳しいね・・ちょっと、とハリ天。ポカラさんはいやもしかすると・・・と。
アスファルト道路に出るとポカラさんのスイッチが突然全開に。こりゃ凄い。二人で激坂の真ん中をまさに転げ落ちるかのように走る、走る。ゴールを目指している選手達も後方から異様なスピードで転げてくる二人組を端によけて声援してくれる始末。あとどれくらい続くんだっけ。もう今さら確認すらできない。足がマンガのようにクルクル回り続けている。速すぎて見えないのでは(ウソウソ)。あっという間に登山鉄道と並走する道路に出た。あと1kmもないよと。4kmと言われたのは嬉しいウソだったんだ。時計を見る。楽勝だぁ。でもスピードは落ちない。足が勝手に動いてくれる。頑張れ頑張れ。スピードダウンしたポカラさんに声をかける。さぁ、今日は一緒にゴールだ。トライアスロンやウルトラマラソンではよく見かける同時ゴールだけど、ハリ天は一度も経験がない(是非一度やってみたかった)。こうやって途中からペースを揃え、最後まであうんの呼吸で励まし合ったレース展開は初めてのこと。
やがて箱根登山鉄道・彫刻の森駅。ハリ天の全力走はここまで。残りの数百メートルはこの日終盤のつらい所を一緒に乗り切ったポカラさんと味わうためにとっておこう。スピードを落としポカラさんを待つ。道路のあちこちで観光の人達からも盛大な声援を受ける。そして彫刻の森美術館への地下道に吸い込まれる。あれ、こんな所があったんだ。薄暗い地下道をゆっくりと下る。すると忽然と光り溢れるフィニッシュゲートが目に飛び込んできた。大勢の人達が盛大な拍手で迎えてくれている。なんだ、なんだ。MCの声がスピーカーから響き渡る。まるでトライアスロンのゴールのようだ。
一気に歓喜。最後に大爆発だ。互いの手を取り思い切りジャンプ!しっかりと走り切った8時間53分59秒でした。0529_hakone09

※写真はハリマネ及びたけ3号さん・たけ3号さんの弟さんより提供していただきました。ありがと~!☆
※ラップタイム・心拍データ・補給関係等は明日にでも。
※ハリマネ撮影の写真をヤフーフォトアルバムにアップしました。4本に分割してあります。

【本日のトレーニング】
・43min.slow-jog/6.11km

緑風堂鍼灸院WEBSITE
ハリ天狗マネージャーの笑顔いっぱい!

コメント (18)
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