十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

春時雨

2015-05-01 | Weblog
潮騒をぬらしてゆきぬ春時雨     井芹眞一郎

「潮騒」は、三島由紀夫の小説のタイトルにもなっているように、どこかロマンと郷愁を覚える言葉である。それは、波音とも違う、遥か彼方から届く便りとでも言えるだろうか。さて、春時雨が、潮騒を濡らして、通り過ぎて行ったという。潮騒は本来濡れるはずもないものではあるが、一瞬きらきらと潮騒が耀いて見える詩情高い作品である。「阿蘇」5月号より抄出。(Midori)