JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

セコイのはどっち?!

2008年11月22日 | j-l

いやいや、日本海側の方々にはほんと申し訳ないような良い天気が続いて、風は冷たいものの車の中じゃワイシャツ一枚でも汗が出てきそうな毎日です。

「バブさん、レイ持ってる?レイ?」
「レイ、レイって、なにかい、俺はおまえのクビに優しくそれをかけて、キスでもしろってぇのかい?それとも多少ブームが去りつつあるフラでも踊れと・・・」
「違いますよぉ、映画、映画のレイ、ほら、レイ・チャールズの伝記みたな」
「あ~~・・・だったら持ってるか?じゃなくて見たか?だろ」

一昨日の晩、友達との飲み会だったというO君、二次会でその友達の一人がサザンの「愛しのエリー」を歌ったんだそうで
「それをきっかけにレイ・チャールズの話で盛り上がったんですよ。そんでね、映画の『RAY』を見た見ないって・・・・あはは、みんなが見たって言うもんですから、僕も見たって嘘ついちゃったんですけど、じつは見てないんですよ・・・・僕、レイ・チャールズが大好きで、だから逆に『RAY』を見るのを拒んでいたというか・・・・だけど、話しているうちにもう見てもいいかなぁなんて思ったりして、だからバブさんなら持ってんじゃないかなぁみたいな」
「なんじゃそりゃ、だったらレンタルしてくりゃいいだろ」
「だって、バブさんが持ってたらレンタル代もったいないじゃないですか」
「おいおい」

レンタル代が惜しいというのはなんともセコイ話ですが
「レイ・チャールズが大好きで、だから逆に『RAY』を見るのを拒んでいたというか・・・・」
というのは、なんとなく分からなくもないわけでして、
昔、「バカじゃねぇ」ってくらいチャリー・パーカーを崇め奉る『熱狂的パーカー狂い』のオッサンがおりまして、その方も映画『バード』を「どうしても見られないんだよね」と言っていたことを思い出したのです。

「本や文章だと、ほら載っている写真も本人のものだし、自分で内容をこなすっていう余裕もあんジャン、だから問題ないんだけど・・・・映像になっちゃうとなぁ・・・・いや演奏している本人の映像ならいいよ。でも、誰かが作り上げたチャリー・パーカーの一生みたいな気がして、どうしても受け入れられないんだよなぁ」
てなこと言いながらね。

噂によれば、クリント・イーストウッドがコルトレーンの伝記的映画を制作している?計画している?との話を聞きます。
それが出来上がったとき、私は素直にその映画を観るのでありましょうか?
まっ、できてもいない映画を観るか観ないか迷う必要もないのですが、そんなことをふと思ったのであります。

てなわけで、午後からはMさんのお店のお手伝い、今日の午前中は、明後日O君に貸すことを約束した『RAY』を見ていました。
いやぁ、内容が「誰かが作り上げたレイ・チャールズ・ロビンソンの一生」かどうかは別としても、ジェイミー・フォックスのナリキリ方は、何度見ても半端じゃありませんよねぇ、『バード』のフォレスト・ウィテカーもなかなかのもんでありましたけど、それ以上に思えます。

「なんだか貸すの惜しくなってきたなぁ、やっぱり自分で金出してレンタルしてこいって言おうか?」
「あ~あ、ヤダヤダ、人のセコさより自分のセコさを考えるべきだね」

さて、今日の一枚は、映画『RAY』では取り上げられていませんでしたが、レイ・チャールズがアトランタ時代に残したボーカル抜きのジャズ・アルバムです。
本当はミルト・ジャクソン、ケニー・バレルと組んだ「SOUL MEETING」を紹介しようかと思ったのですけど、67camperさんがつい先日紹介されていましたので、私はもう一枚の方、このアルバムにしてみました。

この二枚のアルバムを聴くと、レイ・チャールズという人がジャズメンとしても一流であったことを実感させられます。
彼の根底に流れるブルース魂は、たとえジャズだろうとR&Bだろうと「そんなの関係ねぇ」(すでに古いな)なんでありましょう、歌声がきこえなくとも充分伝わってきます。

同時に私などはミルト・ジャクソンの偉大さに触れる思いもあります。
MJQをスタートした当初、本来ならリーダーと呼ばれるべきジャクソンが、リーダーと呼ばれる事を完全拒絶した真意が、こういった他者とのジョイントを聴くたびに伝わってくると思えてならないからです。

ともかく、たまには歌のないレイ・チャールズもよろしいんじゃないでしょうか。

SOUL BROTHERS / MILT JACKSON & RAY CHARLES
1957年9月12日録音
MILT JACKSON(vib,g) RAY CHARLES(p,as) BILLY MITCHELL(ts) SKEETER BEST(g)[1,2,4,5] OSCAR PETTIFORD(b) CONNIE KAY(ds)

1.SOUL BROTHERS
2.HOW LONG BLUES
3.COSMIC RAY
4.BLUE FUNK
5.BAG'S GUITAR BLUES