JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

泥沼のスパイラル

2008年02月04日 | s-u

今日は雪空からうって変わって好天の一日で、気温も昨日に比べればずいぶん高かったようですが、『立春』と呼ぶにはまだまだ寒さが身にしみます。

昨日、ブログ仲間の67camperさんから「ミルクかソースかそれが問題だ!?」という記事にコメントをいただきました。
「アービンいいですね。
バブさんのログにあるように、みんなに聞いてもらいたいテナーマンです。
そしてこのアルバムでは共演のストロージャーが聞けるところもポイントと思います。彼も聞いてほしいアルトマンですね。」
というもの、
これを受けて、やはりフランク・ストロージャーを聴きたくなるのは心情でありまして、以前ここでも紹介した「FANTASTIC」ではなく、リヴァーサイドの傍系ジャズランドに残る二枚のアルバム「LONG NIGHT」と「MARCH OF THE SIAMESE CHILDREN」を聴き始めました。
そんでもって「LONG NIGHT」を聴いていたら、今度は同盤のピアニスト、クリス・アンダーソンが気になってきて、同じジャズランドの「INVERTED IMAGES」を聴き始め・・・・・・

つまり、何が言いたいかといいますと、ジャズにのめり込む典型がここにあるような気がふとしたのです。

たまたま耳にしたジャズメンのサックスが気に入ったとします。すると、
それ以外の彼が吹くサックスを聴いてみたい → 何それのアルバムで彼と共演しているピアノの○△もいいジャン → ○△のリーダー盤も聴いてみよう → → → →
と続いていくスパイラルというか・・・
他の音楽にも無いとは言いませんよ。だけど、同一メンバーでずっと活動を続けるということが少ないジャズの場合、このスパイラルはとりとめなく続き、さらに拡がっていく率が高いように思うのです。
そして、この泥沼のような世界に一度足を踏み入れると、抜け出そうともがくどころか「もっと深みに手足を取られたい」みたいな。(う~ん、ひょっとしてMかもしんない。笑)
だから、ふと考えてみると、自分が聴いているジャズ・レコードも、お昼の笑って何とかのテレホン何とかよろしく、たどっていくとつながりのあるものがじつに多いように思うのです。
たしかに「そんなこと今さら」ではありますし、「だから何なんだ」という話でもありますけど。

こうしてみると、ジャズ・ファンが増えていくためには、やはり環境が必要だということにもなりますよね。
私がジャズにのめり込んだ頃は、いかに田舎であってもちょっと街に出かけると『ジャズ喫茶』が普通にありましたから「この前聴いた○○のベーシスト、□□のアルバムがあったらリクエストしてみようかなぁ」みたいなことは容易に出来ましたし、始めて聴くドラムの音に心奪われ、必至に名前を覚えておいて参加アルバムを探す。なんて事も間々ありました。

中央でのライブ・ハウスは、昔に比べ数も増えましたし、内容も充実してきたと思います。でも気軽に「泥沼のスパイラル」を楽しめる『ジャズ喫茶』は現状どうなのでしょうか?
いやいや、本来、レコードやCDで「泥沼のスパイラル」を楽しむ方が邪道で、ライブを追いかけるのが本道なのかもしれません。
それでも、私のように「泥沼のスパイラル」にはまり込んだ方も多くいらっしゃると思います。
どなたか、またそんな邪道の同士を増やす活動をなさってみては頂けませんかねぇ・・・
常に他力本願のバブ君でありましたとさ。(笑)

さて、そんなわけで今日の一枚は、フランク・ストロージャーのこのアルバムにしました。
彼のサックスの魅力は何かと訊かれると、私は「いやらしさ」って答えるかもしれません。
「これ以上だと鼻につきそうだけど、ここだと気持ちいい」みたいな「いやらしさ」?この気持ちよさにはまると、ちょっとやそっとじゃ抜け出せないような感じがします。(これには異論をお持ちの方も多いと思いますけど)
67camperさんがおっしゃるとおり、私もこのアルト奏者の過小評価には納得のいかない一人です。
ちなみに、同じジャズランドの「MARCH OF THE SIAMESE CHILDREN」と合わせたワンセットCDも発売になっているようですので、「FANTASTIC」とともにぜひ一度お聴きになってみて下さい。

ついでといっちゃ何ですが、盲目であり、他にも障害を持っていた伝説のピアニスト、クリス・アンダーソン、バリー・ハリスに「彼の後には私などピアノを弾くのも嫌になってしまう」とまで言わしめた彼の演奏にもご注目あれ。

LONG NIGHT / FRANK STROZIER
1961年9月12 日録音
FRANK STROZIER(as,fl) GEORGE COLEMAN(ts) PAT PATRICK(bs,fl) CHRIS ANDERSON(p) BILL LEE(b) WALTER PERKINS(ds)

1.LONG NIGHT
2.HOW LITTLE WE KNOW
3.THE NEED FOR LOVE
4.THE MAN THAT GOT AWAY
5.HAPPINESS IS A THING CALLED JOE
6.THE CRYSTAL BALL
7.PACEMAKER
8.JUST THINK IT OVER