A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二/JOJO広重/ドラびでお/七尾旅人@秋葉原CLUB GOODMAN 2014.11.1(sat)

2014年11月03日 01時36分39秒 | 灰野敬二さんのこと


Alchemy Records Presents
<頂上決戦!激闘編>
灰野敬二 / JOJO広重 / ドラびでお / 七尾旅人


去年の12月に開催された「JOJO広重vs七尾旅人」(出演:jOJO広重/七尾旅人/ドラびでお)と今年の7月に行われた「頂上決戦!」(出演:灰野敬二/JOJO広重/ドラびでお 共にこの時の仕切りはドラびでお氏)というふたつのイベントを足して2で割らない様な凄まじいイベントです!!!!!JOJO広重×灰野敬二×七尾旅人×ドラびでお という、この字面だけでもくらくらしますが、とにかく、前に開催された2つのイベントも音楽とそれ以外が凄い勢いでぶつかり合い混ぜ合わさったり反発しあったりホント凄い事になっていたので、それの集大成となるこのイベント見逃す手はないですよ。
秋葉原CLUB GOODMAN公式サイトより



上記の紹介文にある以外に、灰野×ドラびでおはバンド静寂他何度も、灰野×七尾は2010年と2014年の2回、筆者は経験した。人の縁が産んだ果実といえるコラボレーションの集大成は、極端音楽のベテラン3人に若き闘士・七尾旅人が加わることで、未体験の刺激が得られるに違いない。TAVITOガールズの目立つ会場は、そんな期待にWKTK気分で開演前から賑やか。静謐が立ち籠める灰野ライヴや男子率が高過ぎるマル非現場とは異なる華やかさが新鮮。


●JOJO広重

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

憑き物が取れたように精力的な活動をするJOJO広重&非常階段は、前日ハロウィンの夜に同じグッドマンで初音階段ワンマンライヴを敢行。仮装割引でコスプレ女子が多数来場し萌え上がったらしい。そんな愉快な夜を満悦した翌日、一転して広重はノイズの鬼と化した。ギターのプラグを突き刺したアンプからどす黒い音塊が噴き出す。マイクに向かって怒鳴り散らす声はあまりにも激烈。「生きている価値なし」。10年以上前に筆者を支えた歌が、若いオーディエンスの心を少しでも軽くすれば嬉しい。


●ドラびでお


この日会場に集まった若い聴衆は、ドラびでおこと一楽儀光がドラマーだったことを知っているだろうか?そんなことを考えてしまう程、ドラびでおの現在のスタイルは強烈且つ印象的である。最近はBLACK SMOKER界隈の地下ヒップホップ・シーンとリンクする超ヘヴィなエレクトロビートとレーザービーム攻撃は、頭脳破壊殺人兵器まであと一息。死と隣り合わせのスリルを味わいたい方におススメDEATH。


●七尾旅人


若き闘士と前述したが、デビュー16年目の35才は正真正銘ベテランの七尾旅人。雑誌等で話題になったゼロ年代半ば頃は、一風変わったフォークシンガーというイメージしかなかったが、2010年に灰野との初共演で予想外の自由な即興精神に触れ、2011年の大震災以降の積極的な行動力に感服した。昨年3月の灰野&マニ・ノイマイヤーとのコラボも素晴らしかった。今回、短かいながら完全ソロパフォーマンスは初めて。エフェクトをかけた声とサイレンや水流のサンプル音を駆使して描き出す世界は一遍の音楽劇のよう。所々強烈なノイズと化したのはこの日の共演者を意識したのか、それともいつものことなのか。なかなか興味深い。


●灰野敬二


てっきりエアシンセだと思ったテーブルの布の下には、先日のラストワルツで使った円盤パーカッション。ふたつ並べハンマーで叩く。流暢なリズムフローが心地よい。続いてエレクトリック・サズで英語の歌を歌う。歌詞は意外に平易な英語だが、元曲が何かは判らない。息の溜め方、抑揚の付け方、何よりも情念の籠り方が日本語と遜色がない。灰野の歌は言葉ひとつひとつの意味は明瞭でも、曲として歌われると言葉と音符がリエゾン&エリジオンし、意味性が昇華されるので、日本語でも英語でも聴取体験の本質に違いはないといえる。だとしても、日本語を解しない外国人が交感し易いことは間違いない。


●灰野敬二+JOJO広重+ドラびでお+七尾旅人


最後に4人のコラボレーション。灰野×広重×ドラびでおの時はレーザーギターに目が眩んで演奏者がまったく見えなかったが、今回はレーザー抜きでよく見える。灰野はギター(SG)に持ち替える。ステージ下手のドラびでおと広重が重層的に電子雑音を放ち、センターの灰野が単音フレーズで点描画を描く。唯一人ステージ上手に孤立し七尾が必然的にベテラン三者と対峙する構図になる。



七尾はソロ演奏での流水のサンプル音と電気変幻ヴォーカリゼーションをフル活用。ヒップホップ世代ならではのリズム感のあるラップが、ノイズ放射の塊にグルーヴの波を加え、ともすれば重苦しい轟音地獄を表情豊かな物語に変化させる。際限なく高まるノイズの壁に風穴を開けようとするように、エンディングは客席にダイヴし、客に担がれたままでマイクアピールを続けた。アキバの地下に風通しのいいカオスが発生し、4者のコラボで極上の果実が実ったことを証明した。




コラボとは
フルーツポンチ
かき混ぜること

●解体的交歓


人の縁を自ら作り出そうとする姿勢をもっとも積極的に打ち出す存在が非常階段(JOJO広重)に違いない。30年来のノイズ道を武器にロック、パンク、プログレ、フォーク、ジャズ、アイドル、ボカロとジャンルレスなコラボを実現し、単なる共演を超えた新たな地平を拓く錬金術(アルケミー)を産み落として来た。その最新の果実がアイドルユニット「ゆるめるモ!」とのコラボである。

『非常階段 featuring ゆるめるモ!/解体的交歓』
定価:\ 2,571(税込)
品種:CD
商品番号:TECH-25423
発売日:2014/12/17
発売元:(株)テイチクエンタテインメント

非常階段とゆるめるモ!が合体してお互いの音楽が解体されながらも寄り添い、融合し、別次元のアイドル&ノイズ音楽を完成しました。メンバー全員楽しく演奏できたのはまさに”解体的交歓”でした。アルバムタイトルは、そういうことです。(JOJO広重)
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