クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

07-11 No.9

2007年11月08日 17時25分02秒 | Weblog
<Avie>
AV2119 2枚組 \3250
J・S・バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲) ――
トレヴァー・ピノック(指揮&チェンバロ)、
ヨーロピアン・ブランデンブルク・アンサンブル
2006年12月16日で60歳を迎えたイギリスが生んだ古楽界の巨星トレヴァー・ピ
ノック。この世界的名匠の60歳記念プロジェクトによって実現したピノックに
とって2度目となる「ブランデンブルク協奏曲」の新録音がアヴィー(Avie)か
ら遂に登場!
ピノックの代名詞でもある「ブランデンブルク協奏曲」から名前を取った「ヨ
ーロピアン・ブランデンブルク・アンサンブル」
(http://www.europeanbrandenburg.com/)とは、イングリッシュ・コンソート、
キングズ・コンソート、アムステルダム・バロック・オーケストラ、エイジ・
オブ・エンライトメント管弦楽団、イル・ジャルディーノ・アルモニコ、ガブ
リエリ・コンソートなど世界に名立たるピリオド・オーケストラで活躍する当
代一流の名手たちがピノックの下に集い結成された古楽界のオールスター集団
なのである
ピノックの60歳記念のためだけに結成され、、イタリア、スイス、マレーシア、
韓国、スペイン、ドイツ、イギリスなどでのコンサートや今回リリースとなる
バッハの収録を行ってきたヨーロピアン・ブランデンブルク・アンサンブル。
11月13日のイギリスでの最終公演を経て11月17日のミュンヘン公演が活動の最
後を飾るラスト・コンサートとなる。
1982年にイングリッシュ・コンソートとのコンビによってアルヒーフに録音さ
れた1度目の録音から25年の歳月を経て実現した今回の新録音。




<Collegium>
COLCD132 2枚組 \2180
G・F・ヘンデル:オラトリオ《メサイア》(全曲)
ジョアン・ラン(ソプラノ)、メラニー・マーシャル(メゾソプラノ)、
ジェイムス・ギルクリスト(テノール)、
クリストファー・パーヴェス(バス・バリトン)、
ロバート・クィニー(オルガン)、ベンジャミン・ベイル(チェンバロ)、
ティム・ギル(チェロ)、
ジョン・ラッター(指揮)、
ケンブリッジ・シンガーズ、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
24日間という僅かな期間で完成させたと言われているこのヘンデルの大作を、
これまでに数々の名作&名録音を世に送り出してきたイギリスの生きる合唱神
ジョン・ラッターが遂に録音!
合唱はもちろんジョン・ラッターが弟子たちと共に創設し手塩にかけて育てて
きた世界有数の名門ケンブリッジ・シンガーズ。
ラッター&ケンブリッジ・シンガーズのコンビは、ラッター自身の作品で数多
くの名盤を残しているがフォーレ(COLCD109)やプーランク(CSCD506)、ベネッ
ト(CSACD901)などラッター以外の作品を取り上げたアルバムもその素晴らしい
演奏によって名盤としての評価を確立している。
2007年3月にゴスペル・オークのオール・ハロウズ教会で収録されたこの「メサ
イア」では、ラッターが信頼を置く4人の実力派ソリストが集結。ソリストに
高い技術と音楽性が要求される「メサイア」に対して万全の環境を整えている。
芸術性や作品のイメージを意識してデザインされた美しいパッケージもこの
「メサイア」の価値を高めている。

CSCD519 \1780
G・F・ヘンデル:オラトリオ《メサイア》(抜粋) ――
序曲/人々よ、慰めなさい/すべての谷は高められ/かくして主の栄光は/
見よ、乙女がみごもって/よい訪れをシオンに伝える者よ/見よ、暗闇が地
をおおい/暗い中を歩いた人々は/ひとりのみどり子が、われらのために生
まれた/シンフォニア・パストラーレ/このあたりに羊を飼うものがいたが
/神に栄光あれ/その時、盲人の目は開かれ/主は牧者のように/主のくび
きはやすく/主はわれらの悲しみを担われた/主の受けられた傷によって/
われらは皆羊のごとく迷いて/あざけりが主の心を砕いて/これにまさる悲
しみがあろうか/主は生きている者たちの地から断たれた/エホヴァはわが
魂を冥府に捨て置かれはしない/ハレルヤ!/我は知る、我をあがなう者は
永遠に生きることを/人によって死ぬということが始まり/見よ、私は奥義
を告げよう/ラッパ鳴る時、死者は蘇り/小羊は栄光を受けるべきもの/ア
ーメン
ジョアン・ラン(ソプラノ)、メラニー・マーシャル(メゾソプラノ)、
ジェイムス・ギルクリスト(テノール)、
クリストファー・パーヴェス(バス・バリトン)、
ロバート・クィニー(オルガン)、ベンジャミン・ベイル(チェンバロ)、
ティム・ギル(チェロ)、
ジョン・ラッター(指揮)、
ケンブリッジ・シンガーズ、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
こちらは上記全曲盤(COLCD132)の中から特に人気の高い30曲を抜粋したハイラ
イト盤。




<VAI>
VAIDVD4433(DVD-Video) \3650
アレクサンダー・ガヴリリュク ・リサイタル
バッハ(ブゾーニ編):トッカータとフーガ ニ短調BWV565
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第17番 ニ長調K.576
シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番 イ長調D.664, Op.120
ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」Op.39
モシュコフスキ:練習曲 変イ長調Op.72-11
バラキレフ:イスラメイ
ラフマニノフ:前奏曲 嬰ト短調 Op.32-12
モーツァルト(ヴォロドス編):トルコ行進曲
アレクサンダー・ガヴリリュク(Pf)
2007年5月8日,フロリダ,アマチューロ劇場(ライヴ)
リージョン・フリー、STEREO、カラー、105m
俊英ピアニスト、アレクサンダー・ガヴリリュクの最新映像がDVDで発売。
2000年、第4回浜松国際ピアノコンクールで圧倒的な優勝を収め、一躍その名
を知らしめたガヴリリュク。あれから7年が経ち、「20世紀後半最高の16歳」
と絶賛されたピアニストはさらなる進化を遂げている。その「今」を見事に捉
えた映像である。ガヴリリュクは2007年11月、12月に日本を演奏旅行する予定
で、バッハのトッカータとフーガ、モーツァルトのピアノ・ソナタ第17番、
シューベルトのピアノ・ソナタ第13番、ラフマニノフの「音の絵」など、公演
予定曲目が多く収録されているのもありがたいものだろう。

VAIDVD4431(DVD-Video) \3380
フローレンス・フォスター・ジェンキンスの世界(ドキュメンタリー)
フローレンス・フォスター・ジェンキンス(ソプラノ)
収録:1963年7月27日、
リージョン・オール、NTSC、カラー・白黒、モノラル、字幕なし、89分
伝説的な米国の歌手、フローレンス・フォスター・ジェンキンス(1868-1944)の
ドキュメンタリー。富豪の娘であった彼女は、莫大な遺産を手にすると、念願
だった歌を学び、壮絶な「音痴」だったにもかかわらず、自らをプリマドンナ
と信じて疑わず、「魔笛」の夜の女王のような高難易度のアリアを歌って、絶
大な「人気」を博した。亡くなる1944年には、カーネギーホールでのリサイタ
ルまで開いている程だ。彼女の名はオペラファンには有名なものの、その生涯
はあまり知られていなかった。このDVDでは映像を用いて、彼女を単なる「冗
談」ではなく、20世紀前半のアメリカ合衆国だからこそ生まれた文化現象とし
て論じている。だが、流れてくる彼女の歌声には、やはり腹を抱えて笑ってし
まう。

VAI DVD4400(DVD-Video) \3380
メノッティ:「アマールと夜の訪問者」
(ボーナス映像)
ローズマリー・クールマンへのインタビュー(2007年)
コロンバス少年合唱団によるクリスマス・キャロル(1955年)
ジョン・マカイヴァー(BS アマール)
ローズマリー・クールマン(S 母)
アンドルー・マッキンリー(T カスパール王)
デイヴィッド・エイキン(メルキオ-ル王)
レオン・ライシュナー(バルタザール王)

トーマス・シッパーズ(指揮)
シンフォニー・オブ・ジ・エアの団員
演出:ジャン・カルロ・メノッティ
1955年12月25日放送
リージョン・オール、NTSC、白黒(特典はカラー含む)、モノラル、4:3、
字幕:英独仏伊西、本編55分 ボーナス30分
2007年2月に亡くなった、ジャン・カルロ・メノッティの代表作の一つ、「ア
マールと夜の訪問者」の映像。元々テレビ放送用に依頼された作品で、1951年
のクリスマスに放送、大変な成功を収め、以来毎年クリスマスに放送されるよ
うになった。このDVDには1955年の映像が収録されている。物語は、足の不自
由なアマール少年の元に、東方の三賢者が訪れる、奇跡がおきるというもの。
白黒の古い映像ながら、作曲者自身の演出によるセットでの撮影で、十分見応
えがある。



<VAIディストリビューションSMHレーベル>
SMH7878(DVD-Video) \3650
「アーロン・ロザンド 音楽に人生を捧げて」
ブラームス(ハイフェッツ編):瞑想
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV.1001から,
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調BWV.1004-シャコンヌ
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調-第3楽章
ヨアヒム:ロマンス 変ロ長調
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番Op.108-第2楽章
アーロン・ロザンド(ヴァイオリン)
ヒュー・サング(ピアノ)
オクサーナ・ヤブロンスカヤ(ピアノ)
リージョン・オール、NTSC、カラー、ステレオ、4:3、65m
アーロン・ロザンドの演奏と語りで、彼の人物像に迫る映像。ロザンドは1927
年生まれの米国の偉大なヴァイオリニストだが、どういう訳か日本では人気が
ブレイクしないまま今日に至っている。しかし彼はイザイの流れも、アウアー
の流れも(名ヴァイオリニスト、エフレム・ジンバリストを経て)継承しており、
芳醇な美音と朗々とした歌の艶やかさは比類ないものである。教師としても高
名で、吉田恭子の師でもある。ここに収録されているものは様々な機会の演奏
で、断片しか聞けないものもあるが、いずれも近年のロザンドがいまだ高みに
あることを知らしめるものである。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

07-11 No.8

2007年11月08日 15時40分07秒 | Weblog
<BMG>
JMM24XR03 \3465
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」
アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮)NBC交響楽団
アイリ-ン・ファーレル(ソプラノ)
ナン・メリマン(メッゾ・ソプラノ)
ジャン・ピアース(テノール)
ノーマン・スコット(バス)
ロバート・ショウ合唱団[合唱指揮:ロバート・ショウ]
[録音]1952年3月31日&4月1日、
ニューヨーク、カーネギー・ホール[モノラル]
[オリジナル・プロデューサー]リチャード・モア
[オリジナル・レコーディング・エンジニア]ルイス・レイトン
[リマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVCマスタリング・センター)
[マスターテープ・トランスファー]
アンドレアス・マイヤー(ニューヨーク・ソニー・スタジオ)
[LP初出] LM-6009[October1952, coupled with Beethoven: Symphony No.1
as2LP set]
[第9のみ単独での LP初出] LSX-2001[October1957(Japanese reissue)]
[国内LP初出] LS2012-3[July1954 as2 LP set]
トスカニーニ本人が満足し発売を認めた唯一の「第9」、XRCD24で登場
「ローマ三部作」「新世界」に続くトスカニーニの XRCD24化第2弾。RCA所蔵
のオリジナル・モノラル・マスターテープ(76cm/30ips)を使用して最高の状態
で復刻する「XRCD24 RCAトスカニーニ・オリジナル・エディションの第2回発
売は、1952年録音のベートーヴェン「第9」と1954年の引退後に発売された
「名管弦楽曲集」。
トスカニーニがミラノ・スカラ座で初めてベートーヴェンの「第9」全曲を指揮
したのは1902年のこと。それ以来、メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク・
フィル、ロンドンの BBC響との重要な演奏会で取り上げ、さらに17年間にわた
る NBC響時代には5回演奏している(そのうち1回は TV中継された)。RCAは、レ
コード発売を前提としてニューヨークでの演奏会を何度か録音したが、トスカ
ニーニが発売を許可したのは、1952年3月31日と4月1日にカーネギー・ホール
で行なわれた録音セッションで収録された当盤の演奏のみだった。編集テープ
を試聴したトスカニーニは、「これまで50年、この作品を研究、指揮してきた
が、この録音が私の考えるベートーヴェンの『第九』に最も近い。今回の出来
にはほぼ満足している」と語ったという。
今回の復刻に当たっては、これまでの XRCD24の原則通り、最もオリジナルな
アナログ・マスターテープにさかのぼり、細心の注意を払ってマスタリングを
敢行している。それにより、リビングステレオ・シリーズでRCAの録音黄金時
代を築き上げたリチャード・モアとルイス・レイトンの名コンビが捉えたトス
カニーニ=NBC交響楽団の輝かしいサウンドが、前代未聞の明晰さと色彩感を
伴って瑞々しくよみがえっている。4人の独唱と四部混声合唱、シンバル、ト
ライアングルを含む倍管のオーケストラという大編成ながら、全体の響きと細
部の明晰さが奇跡的なレベルで同居しており、トスカニーニの中では比較的触
れられることの少ない隠れた名演が今回のリマスタリングでようやく正統的な
評価を得ることになろう。
■画期的なリマスタリングで蘇るトスカニーニの「第九」
ミュンシュやライナーなどRCAの誇る往年の名指揮者たちの演奏のすばらしさ
を、より一層すぐれた音質で再現するXRCD24シリーズにいよいよ本命ともいう
べきトスカニーニが登場した。トスカニーニの「第九」はフルトヴェングラー
のバイロイト音楽祭のライヴ録音の対極に立つ演奏と思っているが、こんどの
XRCD24を聴いて不思議だったのは、もう何十回も聴いているのに最初に聴いた
ときのような感動をおぼえたことである。それは多分、音の明晰度や透明感が
これまでより増し、また響きも全体に薄い膜がとり払われた豊かになったため、
ディテールが鮮明に聴けるとともに演奏の美しさと気迫も一段もストレートに
伝わってくるからではないだろうか。例えば第1楽章の冒頭、第2ヴァイオリン
とチェロの6連音に「絶対的な汚れのなさ」を求めたのは「トスカニーニ以来
の伝統」と言ったのはガーディナーだったと思うが、今回のXRCD24では6連音
がこれまでよりはっきりと聴きとれるし、第2楽章のティンパニも乾いた音で
はなく全体の響きと調和しながらはっきりと聴こえ、独唱と合唱も加わる終楽
章の凄まじいまでの迫力とともに常に明晰さを失わないトスカニーニならでは
の演奏のすばらしさを味わうことができる。その意味でも画期的な CDといえ
るだろう。[浅里公三(ライナーノーツより)]

JMM24XR04 \3465
「ザンパ」序曲&時の踊り-トスカニーニ・管弦楽名演集
ベートーヴェン:
1:「エグモント」序曲 Op.84
ブラームス
2:ハンガリー舞曲第1番ト短調
3:ハンガリー舞曲第17番嬰ヘ短調
4: ハンガリー舞曲第20番ホ短調
5: ハンガリー舞曲第21番ホ短調
[管弦楽編曲:ブラームス(2)、ドヴォルザーク(3-5)]
ベルリオーズ
6:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9
フェルディナン・エロール(1791-1833)
7:歌劇「ザンパ」序曲
ポンキエルリ
8: 歌劇「ジョコンダ」より時の踊り
ジャン・シベリウス(1865-1957)
9: 交響詩「フィンランディア」Op.26
アルトゥーロ・トスカニーニ NBC交響楽団
[録音]1952年7月29日(8)、1952年8月5日(7&9)、1953年1月19日(1&6)、
1953年2月17日(2-5)
ニューヨーク、カーネギー・ホール[モノラル]
[オリジナル・プロデューサー]リチャード・モア
[オリジナル・レコーディング・エンジニア]ルイス・レイトン
[リマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVCマスタリング・センター)
[マスターテープ・トランスファー]
アンドレアス・マイヤー(ニューヨーク・ソニー・スタジオ)
[LP初出] LM-1834[September1954]
[国内 LP初出] LS2124[July1957]
当アルバムは、1954年4月のトスカニーニの引退の直後、同年9月に発売された
オリジナルの小品集で、1952年と1953年に行われた4回の録音セッションで収
録されている。ベートーヴェンからシベリウスまで、6人の作曲家の有名オー
ケストラ曲が収められており、いずれもトスカニーニにとっては唯一の録音と
なったもの。中でもエロールの「ザンパ」序曲とポンキエルリの「時の踊り」
は、トスカニーニのような巨匠が取り上げるのは比較的珍しいポピュラー名曲
であるが、モノラル時代これらの作品の代表的名演とされていた。弾力溢れる
リズムにのってトスカニーニならではの熱いカンタービレと熱狂的な興奮が凝
縮されている。
米盤初出ジャケットに記されている通り、「指揮台の約16フィート(約4.8メー
トル)上に吊り下げられたコンデンサー・マイクロフォン1本」によって収録さ
れたサウンドは、各声部の明晰さを保ちつつ、全体の響きのバランスをも味わ
うことのできる名録音として名高い。
■オリジナル LPの曲順で鮮度高く蘇る「TOSCANINI PLAYS YOUR FAVOTIRES」
過去の名演をオリジナル・マスターテープから忠実に復刻し、修復された絵画
のように鮮明な音質に甦らせ、多くのファンに注目されているXRCD24シリーズ
にいよいよトスカニーニが加わることを喜んではいたが、この「『ザンパ』序
曲-トスカニーニ名演集」が4枚目に登場するとは思いもよらなかっただけに大
変うれしい。多分、同好の士がいるのだろうが、「TOSCANINI PLAYS YOUR
FAVORITES」というオリジナル・タイトルのこのLPは、筆者にとっては忘れも
しない最初に入手したトスカニーニの外国盤LPだったからである。演奏がすば
らしいのはもちろんだが、国内盤にはなかった外国盤の美しい光沢のある盤質
と美しいレーベル印刷、そしてもちろん音質のよさである。当時のレコード雑
誌などでは、トスカニーニのレコードは「演奏はともかく録音がドライで」と
いわれていたが、このLPはそうではないことを教えられたし、少なくともわが
コレクションでは最高のハイ・ファイ録音であり、しばらくして発売された国
内盤を買った友人のレコードと比較してみても、音質の差は明らかだった。
今回のXRCD24ではオリジナルどおりの曲順で甦る。それも「エグモント」序曲
の最初の強靭の和音からも明らかなように、どの曲もトスカニーニとNBC交響
楽団のとびきりの名演がかつて聴いたことのないすばらしい豊かな音でまたコ
レクションに加わることになる。家出した子猫が立派な親猫になって帰ってき
たようなうれしさ、といったら大巨匠に失礼だろうか。
[浅里公三(ライナーノーツより]




<DELTA CLASSICS>
DCCA-0042 \2625
カリンニコフ:交響曲第1番
カリンニコフ:交響曲第2番
(以上、全て21,Sep,2007東京芸術劇場でのライヴ録音)
曽我 大介(指揮)
東京ニューシティ管弦楽団
カリンニコフは知る人ぞ知る的な存在で半ば「秘曲」みたいな扱いだったが、
20世紀前半はトスカニーニ、シェルヘン、ゴロヴァノフあたりが録音もしてい
る。近衛秀麿がベルリン・フィルにデビューしたときも1番をプログラムに入
れている。近年クチャル盤をはじめ、スヴェトラーノフ、ヤルヴィ等のCDもあ
り少しずつ注目されてきているが、未だに数ある日本のオケの演奏会で取り上
げる回数は極端に少ない。1番はアマオケ等が積極的に取り上げているものの、
2番に関してはプロ・アマ限らず演奏会そのものが皆無と言って良いだろう。
その中、曽我&東京ニューシティ管が果敢に2曲同時演奏会というプログラム
を敢行。ライヴ故細かな傷はあるが、曽我の演奏はスヴェトラーノフの様な
爆演系ではなく、つぼを押さえ、素朴に叙情的でありながら見事な構成を実演
に反映させている。トスカニーニに近いテンポ設定で、スピード感と切れがあ
りその上で聞かせどころ(両曲の2楽章)はコールアングレなどたっぷりと歌わ
せ変幻自在にその魅力を余すことなく引き出している。1番、2番は若くして世
を去ったカリンニコフの想いが形になった集大成であり、ロシアの作曲に共通
する素朴なメロディは一度聴いたら心を奪われる事だろう。





<BMC>
BMC CD129 2枚組 \3960
「クルターク生誕80周年コンサート・ライヴ」
ジェルジ・クルターク:
(1)…コンチェルタンテ…Op.42(2002-03、2006改訂)
(ヒロミとケンのために)
(2)(ジェルジ・クルタークJr共作):対話(1999-2006)
(3)ヒパルティータOp.43(2000-04)(ヒロミのために)
(4)「ヤテコク」からの抜粋と編曲集
(1)(3)菊池裕美(Vn)、
(1)波木井 賢(Va)、
(1)ゾルタン・コチシュ指揮ハンガリー国立フィル、
(2)ケラー四重奏団、
ジェルジ・クルタークJr(シンセサイザー)
(4)マルタ・クルターク(P)、ジェルジ・クルターク(P)
録音:2006年2月15-19ブダペスト、ライヴ
2006年2月15-19日にブダペストで行われたクルターク生誕80歳を祝うコンサー
ト・ライヴ。リゲティ亡き後、現代音楽の重鎮ともいうべきクルタークの近作
ばかりを集めた、老いても全く衰えることのないエネルギッシュな音のスペク
タクル。昨今の作曲界の様々な潮流とは常に一線を画し、厳しく自己を凝視し
てきた最後の前衛の現在が聴ける。最後のクルターク近年の代表作「ヤテコク」
抜粋も貴重。アンコールはクルターク夫妻の演奏するバッハで閉じられる。

BMC CD128 \1980
「聖ミヒャエルと聖マルティンの日のためのポリフォニック晩課」
(1)聖ミヒャエルの日のための晩課
(2)聖マルティンの日のためのミサ
(3)聖マルティンの日のための晩課
スコラ・フンガリカ
ヤンカ・センドレイ&ラースロー・ドブサイ(指揮)
11月11日は聖マルティンの日ですが、それに因んだ音楽を集めた1枚。ブラティ
スラヴァで発見された15-16世紀の写本に基づく演奏です。男女混声による心洗
われるポリフォニー。えも言われぬ美しさは古楽ファンのみならずヒーリング
としてもお薦めできる内容となっております。

BMC CD046 \1980
「スプリンターズ-イルディコ・ヴェコニー」
(1)クルターク:スプリンターズOp.6/c、
(2)ラースロー・ヴィドフスキー:1つまたは2つのツィンバロンのために
(3)クルターク:8つのデュエット
(4)アダム・コンドル:ハンガリー民謡の形式で
(5)クルターク:フェレンツ・ベレニ70歳へのオマージュ
(6)ラースロー・シャーリ:遅く、そして活発に
(7)ソルト・シェライ:ザ(the)ヴァージョンA
(8)クルターク:ヴィトルドへの一本のヒース(ルトスワフスキの思い出に)
(9)ゾスタン・イェネイ:ひげそり
イルディコ・ヴェコニー(ツィンバロン)
(3)アンドラーシュ・ケラー(Vn)
(4)フェレンツ・ヴァルガ(Va)
先ごろバッハをツィンバロンで弾いたアルバムで注目を集めたヴェコニーのア
ルバムで、オール現代ハンガリー・プログラム。前回もバッハの合間にコンド
ルとイェネイの作品を弾いていたが、今回は昨年80歳を迎えたクルタークの作
品を加え、より先鋭的にヴァージョン・アップ。ツィンバロンはブーレーズも
「レポン」で使用しているように、いまや現代音楽に欠かせない楽器となった。

BMC CD047 \1980
(1)J.S.バッハ:パルティータ ニ短調BWV.1004、
(2)クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース
(3)イザイ:ソナタOp.27-3-バラード(エネスコのために)
(4)エミール・ペトロヴィチ:狂詩曲第1番
アンタル・サライ(Vn)
サライは近年、将来を嘱望されるハンガリーの若手を代表するヴァイオリニス
トでブダペスト音楽院で学んだ後、ティボール・ヴァルガ、ジェルジ・パウク
らに指導を受けた。彼の才能はメーニューイン、アイザック・スターンにも絶
賛されている。艶やかで甘い音色が特徴。

BMC CD052 \1980
「オーヴァー・ザ・フェイス・オヴ・ザ・ディープ」-
バルナバス・ドゥカイ(1950-)作品集
海の表面上にただよう霧(4つのヴァージョン)、岩に向かう風のように、
沈み行く太陽に、炎のまばゆさ、
シルヴィア・カルパティ(Vn)
ヤーノシュ・ラーポシ(Va)
ゾルタン・ジェンジェシー(fl)
タマシュ・ブブノ(Vo)
アマディンダ・パーカッション・グループ、他多数
バルナバス・ドゥカイはハンガリーの中堅世代の作曲家。調的な音響、聖歌を
思わせる清冽な響きとクラスターの混在、特にクライマックスのない構成は
フェルドマン、ペルトを思わせる。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

07-11 No.7

2007年11月08日 15時38分58秒 | Weblog
<haenssler>
98281 \2080
メンデルスゾーン:
(1)弦楽のための交響曲第7番ニ短調
(2)弦楽のための交響曲第12番ト短調
(3)交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア」
トーマス・ファイ(指)ハイデルベルクSO.
録音:2007年3月16-17日、5月8-12日
プファッフェングルント、ハイデルベルク・ゲゼルシャフトハウス
目下ピリオド・アプローチの最右翼として大きな注目を集めるファイ&ハイデ
ルベルク響のメンデルスゾーン・シリーズ第2弾。ついに待ちに待った人気作
「イタリア」が登場します。とにかくスゴイ。からっと晴れ渡った空を思い描
かせるアレグロに、なんともすさまじいサルタレッロ。演奏時間5分を切るフィ
ナーレの超快速テンポに象徴されるように、これまでに知り得る作品の印象を
一新するショッキングな演奏です。カップリングのシンフォニアもとびきりの
活きのよさ。内容的に古典派様式が顕著なため、看板のハイドンでならした彼
らにはお手のものといえるでしょう。




<ALIA VOX>
AVSA9856(SACD-Hybrid) 2枚組 \4500
「東方への道/フランシスコ・ザビエル(1506-1553)」
[CD1]:人文主義時代のヨーロッパ
I.誕生と幼少期
1トッカータとロトゥンデッルス
1506年:ザビエル城での誕生
2エスコバル:ビリャンシーコ「祝福されし聖母マリア」(CMP416)
1509年:エラスムス「愚神礼賛」刊行、トマス・モアに献呈
3(作曲者不詳、ヘンリー8世写本):コンソート第21番
1512年:フェルナンド2世、フランスに宣戦、ナバラ王国を征服
4フアン・ポンセ:ビリャンシーコ「フランスよ、利益を計算せよ」(CMP443)
II.青年期
1513年:マキャベリ「君主論」刊行
5(ヴェネツィア写本):パドゥアーナ
1516年:フェルナンド2世死去
6ビリャンシーコ「神よ、救いたまえ、貴重なる十字架は」(CMP434)
:トマス・モア「ユートピア」刊行
7(作曲者不詳、ヘンリー8世写本):ロイド。パズル=カノン1
1517年:マルティン・ルター「95か条の提題」提示
8イザーク/ルター:
「おお世よ、われ汝より離れざるを得ず」(「インスブルックよ、さらば」に
よる)
III.パリ大学での研鑽(1525-1536)
1525年:パヴィアの戦い、パリへの旅
9パヴァーヌ「戦争」
1528年:イグナシオ・デ・ロヨラと知り合う
10セルミジ:「わが魂を祝福したまえ」
1534年:宗教的誓願
11「おお、栄光の聖母よ」(プサルテリウムによる即興)
12(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」1
13ベネガス・デ・エネストローサ:讃歌第20番「おお、栄光の聖母よ」
14(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」2
15ナルバエス:「おお、栄光の聖母よ」によるディフェレンシア1
1535年:ヘンリー8世ローマ・カトリックより英国国教会を分離、トマス・モ
アを処刑
16(作曲者不詳、ヘンリー8世写本):ロイド。パズル=カノン2
:最初の誓願
17ビリャンシーコ「主をたたえ」(CMP420)
IV.イタリア-イェズス会
1536年:ヴェネツィアへの旅
18イザーク:「ベネディクトゥス」(3声)
19(ヴェネツィア写本):サルタレッロ
1540年:パウロ3世「イェズス会」を認可する
20モラレス:「サンクトゥス」
:フランシスコ・ザビエル、東洋への「教皇使節」に任命される
21フアン・デル・エンシーナ:ビリャンシーコ「天の女王、あなたゆえに」
(CMP442)
V.リスボンからアフリカとインドへ
1541年:リスボンからケープ・ヴェルデ、ギニア、モザンビークへ
22アフリカの打楽器
23「印象」(ウードと打楽器)
1542年:ゴア到達
24ビリャンシーコ「世界の母」(声、プサルテリウム、サロド、タブラ)
(CMBP第74、ポルトガル音楽第23)
1545-63年:対抗宗教改革:トレント公会議
25「神よ、救いたまえ、貴重なる十字架は」(器楽曲)(CMP434)
1547-49年:マラッカとモルッカ諸島の伝道
26(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」1
27「おお、栄光の聖母よ」によるラーガ
[CD2]:日本到達
VI.新世界-日本到達
1549年:鹿児島到達
1「篠の音取り」(篠笛)
1549年:教皇パウロ3世死去
2モラレス:「生きとし生ける者の王の御前に」(「レクイエム」より)
1550年:都(京都)の朝廷への旅
3「本能寺」(琵琶、歌)
1551年:山口に日本初の教会設立
「隠れキリシタンのおらしょ」
4「おお、栄光の聖母よ」(プサルテリウム)1
5(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」1
6「おお、栄光の聖母よ」(琵琶、篠笛)3A
7(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」2
8「おお、栄光の聖母よ」(尺八)
9(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」3
10「おお、栄光の聖母よ」(琵琶)
11(グレゴリオ聖歌):「おお、栄光の聖母よ」4
12「おお、栄光の聖母よ」(琵琶、尺八)
13(グレゴリオ聖歌)「おお、栄光の聖母よ」1
14「おお、栄光の聖母よ」アーメン
15「おお、栄光の聖母よ」(プサルテリウム)9
16「霊慕」(尺八)
1551年:日本と2000人のキリスト教徒の共同体から去る
17「主をたたえ」(CMP444)
VII.中国の閉ざされた門へ
1552年:ゴア帰還、マラッカ、コーチン、シンガポールへの旅
18「世界の母」(タブラ、サロドによる即興)
1552年:上川(サンチャン)島(広東省)到達
19「アヴェ・マリア」(導入部)(ベル、琵琶、尺八)
20「おお、栄光の聖母よ」によるディフェレンシア1(ビウエラ)
1553年:12月3日に死去(上川(サンチャン)島にて)
21モラレス:「わが罪を思い出したもうな」(「レクイエム」第2夜課より)
1554年:マラッカ、後にゴアへ遺骸移送
22「神よ、救いたまえ、貴重なる十字架は」(器楽曲)(CMP434)
:日本は西洋とのそれ以上の接触を断つ
23乱曲(能管)
:フランシスコ・ザビエルの遺産
24「アヴェ・マリア」(五音音階)(中国)
ジョルディ・サヴァール(指)、
エスペリオンXXI、ラ・カペッラ・レイアル・デ・カタルーニャ
昨年、生誕500年を迎えたフランシスコ・ザビエル(スペイン語読みでハビエル、
バスク語読みでシャビエル)は、言うまでもなく、日本とかかわりの深いスペ
イン、バスク地方の聖人。彼の鹿児島への上陸が聖母被昇天の祝日だったこと
や、「隠れキリシタンのおらしょ」に「おお、栄光の聖母よ」をもととした曲
が伝わっていることなどから、聖母マリアに関する曲を中心として、日本の伝
統曲やイベリア半島で聞かれていた曲も加え、録音が構成されています。
ドン・キホーテ、コロンブスと非常に綿密なアプローチで録音してきたサヴァ
ールは、このザビエルについてのアルバムにおいて同様のアプローチを堅持し
ており、また、従来通り、解説も日本語のものも含めて300ページ以上と豪華
なものとなっております。




<ORFEO>
ORFEO029071 \2450
ミヒャエル・ハイドン:セレナード ニ長調MH68(1764年ザルツブルク)
ディーター・クレッカー(Cl)
ゲアノート・シュマルフス(指)プラハ室内O.
録音:2006年9月25-30日プラハ、ドモヴィナ・スタジオ
18世紀末当時、ミヒャエル・ハイドンはたいへんな人気作曲家でした。ザルツ
ブルグ司教に仕えている間じゅう、その命により宗教曲だけでなく独創性に富
んだ室内楽作品を数多く作曲しています。1764年に書かれたニ長調のセレナー
ドは全体が9つの楽章から成り、その中に2つのコンチェルティーノ(ひとつは
クラリネットのための、もうひとつはトロンボーンのための)をも含む大掛か
りなものです。
第1楽章は弦楽主導でオケとファゴットの妙技を示すのに対して、第5、第6楽
章では独奏クラリネットを登場させ、美しいメロディと極上のカンタービレで
酔わせます。ここでのカデンツァはもちろん名手クレッカーの独壇場。さらに
第6楽章には驚くべき仕掛けが!なんと、このセレナードから数えて23年後に
作曲されたモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でおなじみ
の上昇音型のモチーフが聞き取れます。ミヒャエルがモーツァルトに多大な影
響を与えたことはよく知られていますが 、こんなところにもその片鱗がみられ
思わずニヤリとさせられます。また、解説文中クレッカー書き下ろしのくだり
も、コンチェルティーノに関する専門家ならではの鋭い考察で興味が尽きま
せん。

ORFEOR747071 \2080
モノラル
(1)ブラームス:交響曲第3番ヘ長調Op.90
(2)ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92
オットー・クレンペラー(指)ウィーンSO.
録音:1956年3月8日ウィーン、コンツェルトハウス(ライヴ)・音源:ORF
巨匠クレンペラーがウィーン響を振った大注目のライヴ。それもプログラムの
中身がベートーヴェンとブラームスというのだからもう最高です。両曲とも快
速で、きびしいまでの造形美を打ち出した辛口演奏。とくにブラームス3番は
きわめて貴重です。対位法の鬼クレンペラーの巨大な芸風がORFの正規音源に
よるたいへんなまなましい音質で味わえます。

ORFEOR746071 \2080
モノラル
(1)ブラームス:交響曲第3番ヘ長調Op.90
(2)シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54
(3)R.シュトラウス:
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」Op.28
フリードリヒ・グルダ(P)
ヨゼフ・カイルベルト(指)ウィーンSO.
録音:1955年5月4日ウィーン、ムジークフェライン大ホール(ライヴ)・音源:
ロート・ヴァイス・ロート放送グループ
ケルン放送響とのブル8ライヴ(ORFEOR.724071)につづく、ドイツの名匠カイル
ベルトの貴重なライヴ。才気と若さいっぱいのグルダとのシューマンだけでも
大満足なところへ、メインのブラームスがまたさらなる聴きもの。バイエルン
放送響との2番(66年ライヴ / ORFEOR.553011)がファンを大いに沸かせました
が、この3番でも旋律を情感たっぷりに歌わせてグイグイと引き込みます。奇
しくもクレンペラーが同じくウィーン響を振った同曲の演奏が同時にリリース
となるため、両者によるアプローチの違いを確かめてみるのも興味の尽きない
作業といえるでしょう。ロート・ヴァイス・ロートの正規音源。

ORFEOR745071 \2080
モノラル
ベートーヴェン:
(1)ピアノ協奏曲第1番ハ長調Op.15
(2)ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
フリードリヒ・グルダ(P & 指)ウィーンSO.
録音:1953年1月21日ウィーン、コンツェルトハウス大ホール(ライヴ)・音源:
ロート・ヴァイス・ロート放送グループ
なんと22歳の若さのグルダ弾き振りライヴによるベートーヴェンが登場します。
ともに曲調とうまくはまって、目の前で音楽がいきいきと弾み駆け抜けてゆく
さまはたまらなくスリリング。よく知られるグルダのキーワード、ジャズのス
タイルにちょうど開眼する時期にあたることもあり、とにもかくにも即興性に
あふれる音楽づくりはちょっとほかに見当たらないほど個性的です。ロート・
ヴァイス・ロートの正規音源より復刻。

ORFEOR748071 \2080
モノラル
(1)ブラームス:アルト・ラプソディOp.53
(2)マーラー:「大地の歌」
オラリア・ドミンゲス(A) セット・スヴァンホルム(T)
ウィーン楽友協会男性Cho.
パウル・クレツキ(指)ウィーンSO.
録音:1954年11月12日ウィーン、ムジークフェライン大ホール(ライヴ)・
音源:ロート・ヴァイス・ロート放送グループ
アナログ初期にかけてマーラーの普及に大きく貢献したエキスパート、クレツ
キによる「大地の歌」ライヴ。クレツキではこれまで59年のスタジオ盤が唯一
の録音でしたが、ここでもユダヤ系を理由に悲惨をきわめた自身の生涯を重ね
合わせるかのような痛切にして濃厚な表現が胸を打ちます。魅力のソリストは
伝説のヘルデンテノール、スヴァンホルムに加え、1928年メキシコ生まれのド
ミンゲス。カラスと同時代を生きたコントラルトはエキゾチックな独特の声質
で人気を集めました。特異な世界観に彩られた当作品でもスパイスの役目を果
たしています。ロート・ヴァイス・ロートの正規音源より復刻。



<Disc Auvers>
●新レーベルのご案内
準・メルクル指揮、フランス国立リヨン管弦楽団の来日ツアーで、ラヴェルの
ピアノ協奏曲を演奏する若きピアニスト、ジャン・フレデリックのCDの取り扱
いを開始します。

DAS002 \1550
ショパン:
練習曲作品10(全曲)、作品25(全曲)、3つの新しい練習曲
ジャン・フレデリック(P)
録音:2003年7月
練習曲作品10の1は「大洋」という名前で呼ばれることもある、非常にダイナ
ミックな曲で、アルペジオがちりばめられた難曲でもあります。ジャン・フレ
デリックのこの演奏は、実に伸びやかかつ鮮烈に聴き手に切り込んでくる演
奏。ふとした拍子に見せるほんのわずかのテンポ・ルバートのかけ方に、こ
の青年の底知れぬ才能とセンス、テクニックを感じます。1曲1曲トラックを
進めていくごとに、新しいピアニストの到来を確信することのできる1枚。
ジャン・フレデリックは1986年生まれですから、この録音のときはまだ17歳
前後。おそるべきピアニストの誕生でございます。

DAS004 2枚組 \2080
オーヴェル・シュル・オワーズ音楽祭2005年ライヴ
[Disc1]
ショパン:
(1)エロールの「ルドヴィク」のロンド・ファヴォリ「私は僧衣を売る」によ
る華麗なる変奏曲 変ロ長調op.12
(2)タランテッラ 変イ長調op.43
(3)ノクターン ハ短調(遺作)
(4)3つのエコセーズop.72-3(ニ長調、ト長調、変ニ長調)
(5)ワルツ第17番変ホ長調「ソステヌート」(遺作)
(6)アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 変ホ長調op.22
(7)ノクターン第19番ホ短調op.72-1
(8)フーガ イ短調
(9)序奏とボレロ イ長調op.19
(10)コントルダンス 変ト長調
[Disc2]
(1)J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
(2)ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調op.109
(3)ブラームス:4つの小品op.119
(4)ショパン:練習曲 ハ長調op.10-1
(5)ラヴェル:メヌエット(「クープランの墓」より)
(6)インタビュー
ジャン・フレデリック(P)
録音:2005年5月、ライヴ
ライヴならではの熱気、お客さんの盛り上がり方も納得の、怒涛の演奏が続き
ます。19歳にしてこの表現力と音楽性、清潔感のあるタッチ、迸るエネルギー。
テクニックはもちろんものすごいのですが、一つ一つの音に生気と喜びが満ち
溢れていて、どこまでも自然そのもの。ふとした瞬間に見せる一粒の涙のよう
なテンポ・ルバートでもう心はわしづかみにされます。彼の演奏を聴いている
と、さわやかな高原に立ち、心地よい風を身体いっぱいに受けているような気
分になります。ノクターンは、熟年ピアニストによる芳醇なワインのような演
奏とはまた違って、若さならではのデリケートさを感じさせる演奏。これから
が、実に実にたのしみなピアニストです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする