<DHM>
88697078112 \1980
「フランス・リュート作品集」
エヌモン・ゴーティエ:「Canaries ニ短調」、
作者不詳:「Ouvrez-Moy la Porte, Petite Nannon ニ短調」
「Gigue d'Angleterre ニ短調」「Canaries ニ短調」、
ロベール・ド・ヴィセ:「組曲 嬰ヘ短調」「ミュゼット イ長調」、
ジャック・ギャロ:「組曲 嬰ヘ短調」、
エザイアス・ロイスナー:「組曲 ハ短調」、
フランソワ・デュ・フォー:
「ガヴォット ハ長調」「Blanroches 氏へのトンボー ト短調」、
ドニ・ゴーティエ:「組曲 イ長調」、他
ルッツ・キルヒホフ(リュート)
リュートは、中世以前からバロック時代まで最もポピュラーな楽器で、ヨーロ
ッパ中で使用され、様々なサイズと種類、非常に高い次元にあった楽器でもあ
りました。17世紀半ばまではリュートはパリを中心として新しい様式の音楽が
作曲されていました。当時「リュート音楽は常に新しい発展を続けていかなけ
ればならなく、毎日が同じように演奏されるべきではない」ともベルリン出身、
パリで学んだリュートの先駆者ロイスナーは唱えています。当時のリュート作
品は毎小節ごとに異なったリズムで演奏されるべきで、それはジャズのように
も感じられるでしょう。また「天国の音楽」「平和な音楽」とも表現されてい
ました。フランスには無数の作曲家による膨大な作品が残されています。キル
ヒホフはしばらく録音からは遠ざかっていましたが、このアルバムでは、その
中から、キルヒホフが選曲した「夢のような音楽とダンス」「幻想よりも上品
な神秘的な作品」と語る作品を収録しました。
【ルッツ・キルヒホフ】
1953 年フランクフルト生まれ。14歳よりリュートを本格的に学び、19歳でド
イツ青年のためにコンクールで優勝。フランクフルト音楽大学及び古い音楽の
ためのフランクフルト・スタジオで、歴史的リュートと当時の演奏法を研究し
その第一人者となる。その研究した奏法を使用することにより、独特な表現、
顕著な妙技、幅広いトーンを再現することに成功。したがって彼のレパートリ
ーは、通常のリュート演奏者が演奏しえないような作品を中心としている。
ドイツ・リュート・フェスティバル、ドイツ・リュート・ソサエティーを設
立。SEONを中心に多数のCDを発売。
【録音:2006年10月9-11日 Studio Kai Arend, Weilburg】
<OEHMS CLASSICS>
OC587 \1450
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
第7番ニ長調Op.10-3、第9番ホ長調Op.14-1、
第14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」、第23 番ヘ短調Op.57「熱情」
イゴール・カメンツ(p)
カメンツは以前にリストなどの、どちらかというと超絶技巧系の作品の録音
で評価が高いのだが(AM13192、AM12632)、今回はベートーヴェンという、い
わゆる「正統派」の作品でその真価を問う。音色は録音のせいもあってか柔
らかめ。ベートーヴェンの初期の作品の中でもとりわけ躍動的な第7番のソナ
タや第14番“月光”では、良く回る指を活かし眼の覚めるような鮮やかさで
駆け抜けていく。第9番で一息入れて、最後の第23番“熱情”で面白さ爆発。
終楽章のテンポ設定は???。彼の主張を想像するだけで楽しいだろう。
【イゴール・カメンツ】
1968年ハバロフスク生まれの指揮者&ピアニスト、イゴール・カメンツ。
1974年からノヴォシビルスク・ジュニア音楽学校で指揮法をアルノルド・カッ
ツに学び、そして市立コンセルヴァトワールでヴァイオリンをザハール・ブロ
ン、ピアノをマリー・リーベンソンに学ぶ。彼が指揮者としてデビューした
のは、なんと1975年。ノヴォシビルスク・フィルハーモニーと共にハイドン
の第94番の交響曲「驚愕」を演奏。それからはピアニストとしても頭角を現す
【録音:2005年4月4-7日 シュトゥットガルト・カンマームジーク・スタジオ】
OC569 \1450
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ:
3つの幻想曲、3つのフーガ、3つのソナタ集
「幻想曲 ハ短調 from MSP883」「フーガ ハ短調 FK31/2」「ソナタ ニ長調
FK3」 「フーガ ニ短調 FK31/4」「幻想曲 ホ短調 FK20」「フーガ ホ短調
FK31/6」 「ソナタ ニ長調 from MSP883」「幻想曲 イ短調 FK23」「ソナタ
ト長調 from MSP883」
アントニー・スピリ(p)
偉大なる父親に最も溺愛されたと言われる大バッハの長男、W.F.バッハ。
もちろん才能には恵まれていたのだが、その才能をきっちりと開花させるだけ
のハングリー精神にも欠けていた(らしい)彼の作品。聴いてみれば、「恐ら
くこの人は大変な夢想家であったに違いない」と思わせる作風で、曲を構成す
るメロディは当時の様式なのだが(バロック風というよりハイドン風)、その
展開は予想を超えたもの。あとからあとから沸いてくるメロディをそのまま書
き付けた感のある「ファンタジア」に至っては、まるでシューマンやブラーム
スの作品を彷彿させるもの。一度聴いたら忘れられない楽曲集。古楽器鍵盤奏
者でもあるA・スピリはあえて現代ピアノを使用し、独創幻想的な世界を強調
しているようにも感じられる。
【アントニー・スピリ】
ニュージャージーに生まれる。7 歳でピアノと作曲のレッスンを始め、声楽の
トレーニングも受ける。その後クリ-ヴランドとボストンで修業を積むが、と
くに古典鍵盤楽器に強い興味を持つ。1977年、ワトソン基金から奨学金を受け
ヨーロッパに渡り、さらに古典的な演奏法を学ぶ。E.フリース、H.ライグラー
フ、E.ヴェルバ、P.シルハウスキー、K.ギルバートに師事。1970 年、ザルツ
ブルク・モーツァルテウム音楽院を優秀な成績で卒業すると同時に同音楽院で
教鞭をとる。現在ピアニスト、チェンバリスト、ハンマーフリューゲル奏者と
して、独奏、室内楽等に活躍し、著名な音楽家、数多くのオーケストラ、アン
サンブルと共演、ヨーロッパ各地の主要な音楽祭にも招かれている。又、E.マ
ティス、P.シュライヤー、M.リポセックはじめ世界的な歌手たちが最も信頼を
寄せている伴奏者として広く知られている。バロック、クラシックから現代曲
まで幅広いレパートリーを有しCDも多数。ザルツブルク・モーツァルテウム音
楽院で歌曲解釈、ケルン音楽大学で室内楽の教授を務める。
【録音:2004年12月21-23日】
<TELOS>
TLS055 \2080
K.A.ハルトマン(1905-1963):ピアノ作品集
小組曲第1番、小組曲第2番、トッカータ、フーガ、ソナチネ、
ソナタ第1番(トッカータ/ゆっくりした舞曲/終曲)、
ソナタ《1945年4月27日》
演奏:ベネディクト・ケーレン(Pf)
録音:2004-2005年
近年再評価の著しいカール・アマデウス・ハルトマンは管弦楽曲、弦楽四重奏
曲など多作だがピアノ作品だけを集めたCDは珍しい。作風は無調、厳格な対位
法、ジャズなど多様なイディオムの折衷がクルシェネクあたりを思い出させる。
ピアノのケーレンはゲザ・アンダらに師事した。ハルトマンの他、ヤナーチェ
ク、ストラヴィンスキー、アンタイル、サティなどもテロス・レーベルに録音
している。
TLS105 \2080
ヴァレリオ・サニカンドロ:室内楽作品集
私は照射する(2000)-A.Fl,B.Cl,Vc,Pf(prepared),Perc、
Repercussio(2002)-Vc,Pf(prepared)、
重点のコバルト(2001/2003)-Ob,Cl,Va,Vc,、
新しい形(2000)-Pf
ルネサンス(2000)-Vn,Pf(prepared)
救うためには影で覆いなさい(2002)-Fl,Cl,Vn,Vc,Pf(prepared)
演奏:E-Mex現代音楽アンサンブル
録音:2000-2004年
サニカンドロはヨーク・ヘラーとハンス・ツェンダーに師事した作曲家。
2002年にはダルムシュタット夏期国際現代音楽講習会でも教鞭をとっている。
作風は点描的、静謐さ、突然の音響爆発など、ここ20年くらいのヨーロッパ
現代音楽界のトレンドを反映している。
TLS120 \2080
J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲
ヴォルフガング・ディメトリク(アコーディオン)
2001年9月録音
右手で鍵盤、左手でボタンを操作して2つの鍵盤を弾くように演奏できるアコー
ディオンが1950年頃から現れました。それぞれの音域は5オクターヴ以上にわ
たり、ボタンによって3通りまたは4通りの音色を出すことができます。「ゴル
トベルク変奏曲」が本来書かれた鍵盤楽器の演奏者にとってさえ困難なこの大
作を、ディメトリクは鮮やかに演奏しています。けれども、この作品に長い間
に心を奪われていたディメトリクは、ポリフォニーを演奏できるこの楽器でこ
の作品に挑戦するのは自分にとって当然なことだと述べています。
ディメトリクは1974年オーストリアで生まれ、グラーツ音楽院とヴュルツブル
クのヘルマン・ツィルヒャー音楽院のほか、多くのマスター・クラスで学びま
した。ウィーンのファメ・コンクール、グラーツの国内音楽学校コンクールほ
か多数の賞を受賞し、1998年からバイエルンのアルテティング音楽専門学校で
教えています。
TLS121 \2080
ハイドン:「ピアノ・ソナタ集(アコーディオン用編曲)」
ニ長調Hob. XVI-42/へ長調Hob. XVI-29/ニ長調Hob. XVI-33/
変ホ長調Hob. XVI-28
ヴォルフガング・ディメトリク(アコーディオン)
2003年4月録音
ハイドンのピアノ・ソナタと現在称される作品のうち初期のものは、チェンバ
ロでもフォルテピアノでも演奏されましたが、ここに収録された、1770年代以
降の作品は、音量を変化させることのできるピアノを想定して作曲されました。
一方、上述した型のアコーディオンは、風圧によって音を出すという管楽器の
特性を持つと同時に、ボタンによって音色やニュアンスを変化させることがで
きます。ディメトリクは、ハイドンのピアノ・ソナタの音の特質や、異なる声
部の透明な組み合わせ方によって、アコーディオンに内在する力を発揮させら
れると考え、これらの作品の新しい解釈を企てたと述べています。
TLS125 \2080
ダーフィト・フィリップ・ヘフティ(1975-):「創始者」
無伴奏ヴァイオリンのための「日記」
無伴奏クラリネットのためのモザイク「おお、星よ」
フルート、打楽器とピアノのための「メランコリア1」
クラリネット協奏曲「創始者」
シュテファン・テンツ(Vn)、
ヴァレンティン・ヴァンデラー(Cl、バセットホルン)、
フィリップ・ラシーヌ(Fl)、マティアス・ヴュルシュ(Perc)、
オリヴァー・シュナイダー(P)
2003・2005・2006年録音
スイスで生まれたヘフティは作曲をヴォルフガング・リーム、クラリネットを
ヴォルフガング・マイアに学び、ジョルジュ・エネスコ・コンクールで1位を
受賞しました。指揮者・クラリネット奏者としても活躍しています。「メラン
コリア1」はサントリー音楽財団サマーフェスティバル2005<Music today 21>
で演奏されました。この曲名はデューラーが制作した「メランコリア」と題す
る一連の銅版画のうち、1514年の「メランコリア1」に由来し、そこには魔方
陣が描かれています。「創始者」は5連作の第1作で、管弦楽部分は伝統的手法
で作られているのに対して、独奏パートには現代的技法が多数用いられていま
す。
<MEGADISC>
MDC7801 \2250
「ジョン・ケージ:14-7-10-3」
フォーティーン(1990)-Pf,Fl/picc&bass,Cl,B-Cl,Hrn,Trp,2Perc,2Vn,Va,Vc,Cb
セヴン(1988)-Fl,cl,Perc,Pf,Vn,Va,Vc、
テン(1991)-Fl,Ob,Cl,Trb,Perc,Pf,2Vn,Va,Vc、
スリー(1991)-3Perc
ザ・バートン・ワークショップ
録音:2002-2005年
オランダの現代音楽アンサンブル、バートン・ワークショップはケージの、数
字だけの風変わりなタイトルの作品シリーズの第3弾。数字はどれも演奏者の
数を表していて、編成によっていくらか様相は異なるがいずれも全楽器のトゥ
ッティはなく、2、3の楽器が少しずつ弱音で長い音符を奏でてゆく瞑想的な音
楽。THREEは3人の打楽器奏者のための作品だがシュールな音が最弱音で延々と
続く。こんな音楽だがケージが純然たる打楽器作品を書いたのは久しぶりだっ
た。
MDC7802 \2250
アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー: タントラのカップリング
(1)協奏交響曲「マイトゥーナ」
(2)協奏交響曲「ジアオ」-弦楽オーケストラ、増幅されたヴィブラフォン、
鐘、チェレスタ、クラヴィノヴァのための
(1)ラビノヴィチ=バラコフスキー指揮 パドヴァ・ヴェネト管弦楽団
(2)ジャン=ポール・デシー指揮 ムジク・ヌーヴェル・アンサンブル
録音:
(1)2005年12月17日ミラノ、ライヴ
(2)2004年2月8日、ベルギー、ライヴ
ラビノヴィチはアルゲリッチとの共演でも知られる作曲家、ピアニスト、指揮
者で、最近は何故かラビノヴィチ=バラコフスキーと名乗っている。このアル
バムはMEGADISCレーベルでの5枚目の作品集。今回はインドの宗教的なタイト
ルの作品です。タントラ教は、世界最古の信仰とされ、性愛(性交)を通し、
宇宙の最高真理を知る事を目的としているそうですが、実際の音はいつものラ
ビノヴィチ節でミニマルぽくチャカチャカと軽やかに明るく鳴っている作品で
す。
<DORON>
DRC3015 \2080
リスト:「3つの交響詩(オルガンとピアノ用編曲)」
マゼッパ/オルフェウス/タッソ、悲哀と勝利
ジャン・フランソワ=ヴォシェ(Org)、
クリスティアン・ファーヴル(P)
1987年4月録音
リストはすべての交響詩を2台ピアノに編曲していましたが、この演奏者たち
は交響詩をオルガンとピアノ用に編曲したいと考えました。ピアノ的な部分は
ピアノに、管弦楽的な部分はオルガンに割り当て、2つの楽器の間に対話が保
たれ、管弦楽版に劣らない壮麗な響きが作り出されています。
フランソワ=ヴォシェはベルンで生まれ、1975年ジュネーヴ音楽院を1等を得
て卒業しました。1985年からローザンヌ音楽院教授となり、独奏者としても活
動しています。ファーヴルは1955年ローザンヌで生まれの作曲家、ピアニスト。
ローザンヌ音楽院を1等で卒業後、カール・エンゲル、ステファン・アスケナ
ーゼ、グイド・アゴスティに師事しました。ローザンヌ音楽院教授を務めてい
ます。
DRC5027 \2080
フランソワ・パンティヨン(1928-):合唱作品集
(1)無伴奏合奏曲集(16の合唱曲とピアノのための間奏曲、
「アデライデの夢」「夢想」
(2)混声合唱とピアノのためのカンタータ「ダフネ」(オヴィディウスのラテ
ン語の歌詞による)
(3)ソプラノ独唱、混声合唱とオルガンのためのカンタータ「羊飼いたちのク
リスマス」(アルヌル・グレバンの歌詞による)
フランソワ・パンティヨン指揮
ベルン声楽アンサンブル
(1)ベルトラン・ルレ(P)、
(2)マルク・パンティヨン(P)、
(3)クリスタ・ゲッツェ(S)、フィリップ・ラウプシャー(Org)
録音:2005年1991年1995年
パンティヨンはラ・ショー・ド・フォンで生まれ、ブリュッセル王立音楽院で
ヴァイオリンと指揮を学びました。ルツェルン音楽祭で師事したカラヤンに独
奏ヴァイオリン奏者として雇われましたが、間もなく指揮することを勧められ、
1972年から1997年までトゥーン市立管弦楽団の指揮者・芸術監督を務めました。
室内管弦楽団「カペラ・ベルネンシス」を創設し、スイス国内外を演奏旅行も
しています。若い時から作曲し、いくつかの賞を受賞し、1986年のカンタータ
「世界の叫び」の成功によって作曲家としての地位を確立しました。歌劇、管
弦楽曲、協奏曲なども作曲しています。「ダフネ」でピアノを演奏しているマ
ルクはフランソワの甥です。
「羊飼いたちのクリスマス」の大部分は伝統的な様式によっているのに対し、
「ダフネ」はやや現代的ですが、いずれも響きの美しさを重視していることが
感じられます。
88697078112 \1980
「フランス・リュート作品集」
エヌモン・ゴーティエ:「Canaries ニ短調」、
作者不詳:「Ouvrez-Moy la Porte, Petite Nannon ニ短調」
「Gigue d'Angleterre ニ短調」「Canaries ニ短調」、
ロベール・ド・ヴィセ:「組曲 嬰ヘ短調」「ミュゼット イ長調」、
ジャック・ギャロ:「組曲 嬰ヘ短調」、
エザイアス・ロイスナー:「組曲 ハ短調」、
フランソワ・デュ・フォー:
「ガヴォット ハ長調」「Blanroches 氏へのトンボー ト短調」、
ドニ・ゴーティエ:「組曲 イ長調」、他
ルッツ・キルヒホフ(リュート)
リュートは、中世以前からバロック時代まで最もポピュラーな楽器で、ヨーロ
ッパ中で使用され、様々なサイズと種類、非常に高い次元にあった楽器でもあ
りました。17世紀半ばまではリュートはパリを中心として新しい様式の音楽が
作曲されていました。当時「リュート音楽は常に新しい発展を続けていかなけ
ればならなく、毎日が同じように演奏されるべきではない」ともベルリン出身、
パリで学んだリュートの先駆者ロイスナーは唱えています。当時のリュート作
品は毎小節ごとに異なったリズムで演奏されるべきで、それはジャズのように
も感じられるでしょう。また「天国の音楽」「平和な音楽」とも表現されてい
ました。フランスには無数の作曲家による膨大な作品が残されています。キル
ヒホフはしばらく録音からは遠ざかっていましたが、このアルバムでは、その
中から、キルヒホフが選曲した「夢のような音楽とダンス」「幻想よりも上品
な神秘的な作品」と語る作品を収録しました。
【ルッツ・キルヒホフ】
1953 年フランクフルト生まれ。14歳よりリュートを本格的に学び、19歳でド
イツ青年のためにコンクールで優勝。フランクフルト音楽大学及び古い音楽の
ためのフランクフルト・スタジオで、歴史的リュートと当時の演奏法を研究し
その第一人者となる。その研究した奏法を使用することにより、独特な表現、
顕著な妙技、幅広いトーンを再現することに成功。したがって彼のレパートリ
ーは、通常のリュート演奏者が演奏しえないような作品を中心としている。
ドイツ・リュート・フェスティバル、ドイツ・リュート・ソサエティーを設
立。SEONを中心に多数のCDを発売。
【録音:2006年10月9-11日 Studio Kai Arend, Weilburg】
<OEHMS CLASSICS>
OC587 \1450
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
第7番ニ長調Op.10-3、第9番ホ長調Op.14-1、
第14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」、第23 番ヘ短調Op.57「熱情」
イゴール・カメンツ(p)
カメンツは以前にリストなどの、どちらかというと超絶技巧系の作品の録音
で評価が高いのだが(AM13192、AM12632)、今回はベートーヴェンという、い
わゆる「正統派」の作品でその真価を問う。音色は録音のせいもあってか柔
らかめ。ベートーヴェンの初期の作品の中でもとりわけ躍動的な第7番のソナ
タや第14番“月光”では、良く回る指を活かし眼の覚めるような鮮やかさで
駆け抜けていく。第9番で一息入れて、最後の第23番“熱情”で面白さ爆発。
終楽章のテンポ設定は???。彼の主張を想像するだけで楽しいだろう。
【イゴール・カメンツ】
1968年ハバロフスク生まれの指揮者&ピアニスト、イゴール・カメンツ。
1974年からノヴォシビルスク・ジュニア音楽学校で指揮法をアルノルド・カッ
ツに学び、そして市立コンセルヴァトワールでヴァイオリンをザハール・ブロ
ン、ピアノをマリー・リーベンソンに学ぶ。彼が指揮者としてデビューした
のは、なんと1975年。ノヴォシビルスク・フィルハーモニーと共にハイドン
の第94番の交響曲「驚愕」を演奏。それからはピアニストとしても頭角を現す
【録音:2005年4月4-7日 シュトゥットガルト・カンマームジーク・スタジオ】
OC569 \1450
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ:
3つの幻想曲、3つのフーガ、3つのソナタ集
「幻想曲 ハ短調 from MSP883」「フーガ ハ短調 FK31/2」「ソナタ ニ長調
FK3」 「フーガ ニ短調 FK31/4」「幻想曲 ホ短調 FK20」「フーガ ホ短調
FK31/6」 「ソナタ ニ長調 from MSP883」「幻想曲 イ短調 FK23」「ソナタ
ト長調 from MSP883」
アントニー・スピリ(p)
偉大なる父親に最も溺愛されたと言われる大バッハの長男、W.F.バッハ。
もちろん才能には恵まれていたのだが、その才能をきっちりと開花させるだけ
のハングリー精神にも欠けていた(らしい)彼の作品。聴いてみれば、「恐ら
くこの人は大変な夢想家であったに違いない」と思わせる作風で、曲を構成す
るメロディは当時の様式なのだが(バロック風というよりハイドン風)、その
展開は予想を超えたもの。あとからあとから沸いてくるメロディをそのまま書
き付けた感のある「ファンタジア」に至っては、まるでシューマンやブラーム
スの作品を彷彿させるもの。一度聴いたら忘れられない楽曲集。古楽器鍵盤奏
者でもあるA・スピリはあえて現代ピアノを使用し、独創幻想的な世界を強調
しているようにも感じられる。
【アントニー・スピリ】
ニュージャージーに生まれる。7 歳でピアノと作曲のレッスンを始め、声楽の
トレーニングも受ける。その後クリ-ヴランドとボストンで修業を積むが、と
くに古典鍵盤楽器に強い興味を持つ。1977年、ワトソン基金から奨学金を受け
ヨーロッパに渡り、さらに古典的な演奏法を学ぶ。E.フリース、H.ライグラー
フ、E.ヴェルバ、P.シルハウスキー、K.ギルバートに師事。1970 年、ザルツ
ブルク・モーツァルテウム音楽院を優秀な成績で卒業すると同時に同音楽院で
教鞭をとる。現在ピアニスト、チェンバリスト、ハンマーフリューゲル奏者と
して、独奏、室内楽等に活躍し、著名な音楽家、数多くのオーケストラ、アン
サンブルと共演、ヨーロッパ各地の主要な音楽祭にも招かれている。又、E.マ
ティス、P.シュライヤー、M.リポセックはじめ世界的な歌手たちが最も信頼を
寄せている伴奏者として広く知られている。バロック、クラシックから現代曲
まで幅広いレパートリーを有しCDも多数。ザルツブルク・モーツァルテウム音
楽院で歌曲解釈、ケルン音楽大学で室内楽の教授を務める。
【録音:2004年12月21-23日】
<TELOS>
TLS055 \2080
K.A.ハルトマン(1905-1963):ピアノ作品集
小組曲第1番、小組曲第2番、トッカータ、フーガ、ソナチネ、
ソナタ第1番(トッカータ/ゆっくりした舞曲/終曲)、
ソナタ《1945年4月27日》
演奏:ベネディクト・ケーレン(Pf)
録音:2004-2005年
近年再評価の著しいカール・アマデウス・ハルトマンは管弦楽曲、弦楽四重奏
曲など多作だがピアノ作品だけを集めたCDは珍しい。作風は無調、厳格な対位
法、ジャズなど多様なイディオムの折衷がクルシェネクあたりを思い出させる。
ピアノのケーレンはゲザ・アンダらに師事した。ハルトマンの他、ヤナーチェ
ク、ストラヴィンスキー、アンタイル、サティなどもテロス・レーベルに録音
している。
TLS105 \2080
ヴァレリオ・サニカンドロ:室内楽作品集
私は照射する(2000)-A.Fl,B.Cl,Vc,Pf(prepared),Perc、
Repercussio(2002)-Vc,Pf(prepared)、
重点のコバルト(2001/2003)-Ob,Cl,Va,Vc,、
新しい形(2000)-Pf
ルネサンス(2000)-Vn,Pf(prepared)
救うためには影で覆いなさい(2002)-Fl,Cl,Vn,Vc,Pf(prepared)
演奏:E-Mex現代音楽アンサンブル
録音:2000-2004年
サニカンドロはヨーク・ヘラーとハンス・ツェンダーに師事した作曲家。
2002年にはダルムシュタット夏期国際現代音楽講習会でも教鞭をとっている。
作風は点描的、静謐さ、突然の音響爆発など、ここ20年くらいのヨーロッパ
現代音楽界のトレンドを反映している。
TLS120 \2080
J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲
ヴォルフガング・ディメトリク(アコーディオン)
2001年9月録音
右手で鍵盤、左手でボタンを操作して2つの鍵盤を弾くように演奏できるアコー
ディオンが1950年頃から現れました。それぞれの音域は5オクターヴ以上にわ
たり、ボタンによって3通りまたは4通りの音色を出すことができます。「ゴル
トベルク変奏曲」が本来書かれた鍵盤楽器の演奏者にとってさえ困難なこの大
作を、ディメトリクは鮮やかに演奏しています。けれども、この作品に長い間
に心を奪われていたディメトリクは、ポリフォニーを演奏できるこの楽器でこ
の作品に挑戦するのは自分にとって当然なことだと述べています。
ディメトリクは1974年オーストリアで生まれ、グラーツ音楽院とヴュルツブル
クのヘルマン・ツィルヒャー音楽院のほか、多くのマスター・クラスで学びま
した。ウィーンのファメ・コンクール、グラーツの国内音楽学校コンクールほ
か多数の賞を受賞し、1998年からバイエルンのアルテティング音楽専門学校で
教えています。
TLS121 \2080
ハイドン:「ピアノ・ソナタ集(アコーディオン用編曲)」
ニ長調Hob. XVI-42/へ長調Hob. XVI-29/ニ長調Hob. XVI-33/
変ホ長調Hob. XVI-28
ヴォルフガング・ディメトリク(アコーディオン)
2003年4月録音
ハイドンのピアノ・ソナタと現在称される作品のうち初期のものは、チェンバ
ロでもフォルテピアノでも演奏されましたが、ここに収録された、1770年代以
降の作品は、音量を変化させることのできるピアノを想定して作曲されました。
一方、上述した型のアコーディオンは、風圧によって音を出すという管楽器の
特性を持つと同時に、ボタンによって音色やニュアンスを変化させることがで
きます。ディメトリクは、ハイドンのピアノ・ソナタの音の特質や、異なる声
部の透明な組み合わせ方によって、アコーディオンに内在する力を発揮させら
れると考え、これらの作品の新しい解釈を企てたと述べています。
TLS125 \2080
ダーフィト・フィリップ・ヘフティ(1975-):「創始者」
無伴奏ヴァイオリンのための「日記」
無伴奏クラリネットのためのモザイク「おお、星よ」
フルート、打楽器とピアノのための「メランコリア1」
クラリネット協奏曲「創始者」
シュテファン・テンツ(Vn)、
ヴァレンティン・ヴァンデラー(Cl、バセットホルン)、
フィリップ・ラシーヌ(Fl)、マティアス・ヴュルシュ(Perc)、
オリヴァー・シュナイダー(P)
2003・2005・2006年録音
スイスで生まれたヘフティは作曲をヴォルフガング・リーム、クラリネットを
ヴォルフガング・マイアに学び、ジョルジュ・エネスコ・コンクールで1位を
受賞しました。指揮者・クラリネット奏者としても活躍しています。「メラン
コリア1」はサントリー音楽財団サマーフェスティバル2005<Music today 21>
で演奏されました。この曲名はデューラーが制作した「メランコリア」と題す
る一連の銅版画のうち、1514年の「メランコリア1」に由来し、そこには魔方
陣が描かれています。「創始者」は5連作の第1作で、管弦楽部分は伝統的手法
で作られているのに対して、独奏パートには現代的技法が多数用いられていま
す。
<MEGADISC>
MDC7801 \2250
「ジョン・ケージ:14-7-10-3」
フォーティーン(1990)-Pf,Fl/picc&bass,Cl,B-Cl,Hrn,Trp,2Perc,2Vn,Va,Vc,Cb
セヴン(1988)-Fl,cl,Perc,Pf,Vn,Va,Vc、
テン(1991)-Fl,Ob,Cl,Trb,Perc,Pf,2Vn,Va,Vc、
スリー(1991)-3Perc
ザ・バートン・ワークショップ
録音:2002-2005年
オランダの現代音楽アンサンブル、バートン・ワークショップはケージの、数
字だけの風変わりなタイトルの作品シリーズの第3弾。数字はどれも演奏者の
数を表していて、編成によっていくらか様相は異なるがいずれも全楽器のトゥ
ッティはなく、2、3の楽器が少しずつ弱音で長い音符を奏でてゆく瞑想的な音
楽。THREEは3人の打楽器奏者のための作品だがシュールな音が最弱音で延々と
続く。こんな音楽だがケージが純然たる打楽器作品を書いたのは久しぶりだっ
た。
MDC7802 \2250
アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー: タントラのカップリング
(1)協奏交響曲「マイトゥーナ」
(2)協奏交響曲「ジアオ」-弦楽オーケストラ、増幅されたヴィブラフォン、
鐘、チェレスタ、クラヴィノヴァのための
(1)ラビノヴィチ=バラコフスキー指揮 パドヴァ・ヴェネト管弦楽団
(2)ジャン=ポール・デシー指揮 ムジク・ヌーヴェル・アンサンブル
録音:
(1)2005年12月17日ミラノ、ライヴ
(2)2004年2月8日、ベルギー、ライヴ
ラビノヴィチはアルゲリッチとの共演でも知られる作曲家、ピアニスト、指揮
者で、最近は何故かラビノヴィチ=バラコフスキーと名乗っている。このアル
バムはMEGADISCレーベルでの5枚目の作品集。今回はインドの宗教的なタイト
ルの作品です。タントラ教は、世界最古の信仰とされ、性愛(性交)を通し、
宇宙の最高真理を知る事を目的としているそうですが、実際の音はいつものラ
ビノヴィチ節でミニマルぽくチャカチャカと軽やかに明るく鳴っている作品で
す。
<DORON>
DRC3015 \2080
リスト:「3つの交響詩(オルガンとピアノ用編曲)」
マゼッパ/オルフェウス/タッソ、悲哀と勝利
ジャン・フランソワ=ヴォシェ(Org)、
クリスティアン・ファーヴル(P)
1987年4月録音
リストはすべての交響詩を2台ピアノに編曲していましたが、この演奏者たち
は交響詩をオルガンとピアノ用に編曲したいと考えました。ピアノ的な部分は
ピアノに、管弦楽的な部分はオルガンに割り当て、2つの楽器の間に対話が保
たれ、管弦楽版に劣らない壮麗な響きが作り出されています。
フランソワ=ヴォシェはベルンで生まれ、1975年ジュネーヴ音楽院を1等を得
て卒業しました。1985年からローザンヌ音楽院教授となり、独奏者としても活
動しています。ファーヴルは1955年ローザンヌで生まれの作曲家、ピアニスト。
ローザンヌ音楽院を1等で卒業後、カール・エンゲル、ステファン・アスケナ
ーゼ、グイド・アゴスティに師事しました。ローザンヌ音楽院教授を務めてい
ます。
DRC5027 \2080
フランソワ・パンティヨン(1928-):合唱作品集
(1)無伴奏合奏曲集(16の合唱曲とピアノのための間奏曲、
「アデライデの夢」「夢想」
(2)混声合唱とピアノのためのカンタータ「ダフネ」(オヴィディウスのラテ
ン語の歌詞による)
(3)ソプラノ独唱、混声合唱とオルガンのためのカンタータ「羊飼いたちのク
リスマス」(アルヌル・グレバンの歌詞による)
フランソワ・パンティヨン指揮
ベルン声楽アンサンブル
(1)ベルトラン・ルレ(P)、
(2)マルク・パンティヨン(P)、
(3)クリスタ・ゲッツェ(S)、フィリップ・ラウプシャー(Org)
録音:2005年1991年1995年
パンティヨンはラ・ショー・ド・フォンで生まれ、ブリュッセル王立音楽院で
ヴァイオリンと指揮を学びました。ルツェルン音楽祭で師事したカラヤンに独
奏ヴァイオリン奏者として雇われましたが、間もなく指揮することを勧められ、
1972年から1997年までトゥーン市立管弦楽団の指揮者・芸術監督を務めました。
室内管弦楽団「カペラ・ベルネンシス」を創設し、スイス国内外を演奏旅行も
しています。若い時から作曲し、いくつかの賞を受賞し、1986年のカンタータ
「世界の叫び」の成功によって作曲家としての地位を確立しました。歌劇、管
弦楽曲、協奏曲なども作曲しています。「ダフネ」でピアノを演奏しているマ
ルクはフランソワの甥です。
「羊飼いたちのクリスマス」の大部分は伝統的な様式によっているのに対し、
「ダフネ」はやや現代的ですが、いずれも響きの美しさを重視していることが
感じられます。