クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

07-11 No.22

2007年11月23日 13時40分33秒 | Weblog
<MEMORIES>
MR2040/41 2枚組 \3380
カラヤン指揮
ベルリンフィル、ウィーンフィル(フィデリオとレオノーレ)
CD1
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
1953年9月8日、ティタニア・パラストに於けるライヴ、
「フィデリオ」序曲、レオノーレ序曲第3番
1957年7月27日ザルツブルク音楽祭フェルゼンライトシューレ・ライヴ
CD2
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」、
ブラームス:交響曲第1番
1955年2月27日ワシントン・コンスティチューションホールステレオ・ライヴ
2008年に生誕100年を迎える巨匠カラヤン。フルトヴェングラー生前の1953年
にベルリンフィルを指揮した「英雄」は、カラヤンにとって戦後初のベルリン
フィルとの共演となりました。近い時期にフルトヴェングラーも録音を残して
いることもあり、その比較に興味は尽きません。この当時からスピード感を伴
った流麗な足取りがすでに完成していることを教えてくれます。余白は、ウィ
ーンフィルとのザルツブルク音楽祭におけるフィデリオで、「レオノーレ」
序曲第3番の熱狂的な盛り上がりには鳥肌がたちそうな位です。そしてCD2は
フルトヴェングラーで予定されていた、ベルリンフィル戦後初のアメリカ公演
の内大成功に終ったワシントン公演。カラヤンは代役として全公演を指揮し、
公演中にベルリンフィル芸術監督兼常任指揮者に就任します。特筆すべきは
音質で、かつてVIRTUOSOで出ていたCDは、劣悪な音質で耳を覆いたくなるばか
りでしたが、こちらはステレオ・プレゼンスが認められる良好な音質で、もち
ろん年代もあり横の広がりは狭いものの、ベルリンフィルを自由自在に操る
指揮振りが目に見えるようだとのことです。




<PREISER>
PRCD 91128 \2080
ツィーラー エディション Vol.1 わが心はウィーンに
ツィーラー:
(1)アウアーシュペルク行進曲Op.111 
(2)ワルツ「わが心はウィーンに」Op.500 
(3)ポルカ「軽やかな心」Op.182 
(4)オペレッタ「3つの望み」-「あなたのためだけに私は歌う」 
(5)意地悪ポルカOp.424 
(6)愛のワルツOp.537 他 全14曲
ハンス・シャーデンバウアー(指)オリジナル・C.M.ツィーラー管弦楽団
マリア・ローゼンドルフスキー(Sp)マルコ・ディ・サピア(Tn)

PRCD 91132 \2080
ツィーラー エディション Vol.2 笑って、いちゃついて、踊って
ツィーラー:
(1)ワルツ「文化の絵」Op.563 
(2)ポルカ「笑って、いちゃついて、踊って」 
(3)オペレッタ「美しきリゴ」-「我が美しきハンガリー」 
(4)「小さな未亡人」行進曲Op.487 
(5)ポルカ「男心」Op.54 
(6)ガヴォット「黄金の青春時代」Op.523 他全15曲
ハンス・シャーデンバウアー(指)オリジナル・C.M.ツィーラー管弦楽団
ユリア・コツィ(Sp) マルティン・ミューレ(Tn)

PRCD 91136 \2080
ツィーラー エディション Vol.3 軍隊で
ツィーラー:
行進曲(1)「軍隊で」 (2)「勇敢な」 (3)「軍服の魔力」 
(4)「カール皇帝」 (5)「トルコの祭り」(6)「軍隊」他全18曲
ハンス・シャーデンバウアー(指)オリジナル・C.M.ツィーラー管弦楽団

PRCD 91123 \2080
ツィーラー エディション Vol.4 古きウィーンのメルヒェン
ツィーラー:
(1)オペレッタ「放浪者たち」序曲 
(2)ワルツ「古きウィーンのメルヒェン」Op.458 
(3)行進曲「ウィーンは二つとない!」Op.475 
(4)「ドナウの娘」ポルカOp.46 
(5)エレクトリシュ・ポルカOp.492 
(6)ワルツ「ウィーン、我がウィーン」遺作 他全16曲
ヘルベルト・モック(指)ミュンヘン放送響

PRCD 91124 \2080
ツィーラー エディション Vol.6 ツィーラーへの挨拶 
ツィーラー:
(1)行進曲「新世紀へ」 
(2)ツィーラー作品パラフレーズ「ツィーラーへの挨拶」 
(3)「ノイローゼ」ポルカ 
(4)「ライプチッヒのクプレ」ポルカ 
(5)「コロンブス」行進曲 
(6)ウィーンの劇場のカドリーユ 他全14曲
ハンス・シャーデンバウアー(指)オリジナル・C.M.ツィーラー管弦楽団

PRCD 91125 \2080
ツィーラー:
オペレッタ「3つの望み」-(1)序曲 
(2)偽善者行進曲 
(3)オペレッタ「観光案内人」序曲 
(4)フランツ・ヨーゼフ行進曲 
(5)オペレッタ「放浪者たち」-ワルツ「ミミ」 
(6)ミロステンカ・スケルツォ・ポルカ 他全13曲
フランツ・バウアー・トイスル、ヘルベルト・モック(指)ウィーン放送響



<Profil>
PH 07005 \2180
モノラル
(1)ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
(2)チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調Op.36
ダヴィド・オイストラフ(Vn)
フランツ・コンヴィチュニー(指)シュターツカペレ・ドレスデン
録音:(1)1954年2月(2)1953年11月6日ドレスデン、国立劇場(ライヴ)
名匠コンヴィチュニーがドレスデンを振ったチャイコフスキーの4番。DDRゼン
ダー・ドレスデンの正規音源による初出という注目の内容です。この年1953年
にドレスデン国立歌劇場総監督に就任したコンヴィチュニーは、もともとモラ
ヴィア出身のスラヴ系。チャイコフスキーとの相性はとてもよく、加えてドレ
スデン固有の響きの魅力も尽きません。カップリングのブラームスはチャイコ
&モツ5番(PH.05011)とならんで、初出の独DGG以来、ETERNAほかより出ていた
有名演奏。2007年の最新リマスタリングです。

PH 07058 \2180
モノラル
ワーグナー:オペラからの名場面集
(1)「タンホイザー」より序曲 / 第2幕の大行進曲
(2)「さまよえるオランダ人」より序曲
(3)「ローエングリン」より第2幕“エルザの大聖堂への行列”/ 第3幕前奏曲
(4)「同」より第3幕“婚礼の合唱”
(5)「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
(6)「同」より第2幕“ザックスのモノローグ”
(7)「同」より第3幕前奏曲
(8)「同」より第3幕“親方たちを蔑んではならぬ”
(6)ヨーゼフ・ヘルマン、(8)ハンス・ヘルマン・ニッセン(Br:ザックス)
ドレスデン国立歌劇場合唱団
カール・べーム(指)シュターツカペレ・ドレスデン
録音:(1)(2)(3)1939年8月、9月ごろ(4)1939年1月ごろ(5)1939年7月
(6)1940年12月(7)(8)1938年8月ごろドレスデン、シュターツオーパー
(以上、すべてエレクトローラSP復刻)
ドレスデン音楽監督時代(1934-43年)のべームによるワーグナーの続篇がProfil
より登場です。あらたに復刻された音質は良好で、壮年期のベームが溌剌とし
て剛直なスタイルでワーグナーの真髄に迫ります。マイスタージンガーのザッ
クスにはベスト・チームからのヨーゼフ・ヘルマンに加え、バイエルン国立歌
劇場からのゲスト、ハンス・ヘルマン・ニッセン。かれが歌うのは「マイスタ
ージンガー」第3幕(PH.05038)からのナンバー。ワーグナー歌いとして当時た
いへんな人気がありました。なお、このたびもブックレットが充実。ベームや
歌手らのほか、劇場、舞台風景、衣装、公演ポスターなど多数の写真が掲載さ
れていて、これらを眺める楽しみもあります。




<CASCAVELLE>
VEL 3094 \2080
フランク:
(1)ピアノ五重奏曲ヘ短調
(2)ヴァイオリン・ソナタ イ長調
フィリップ・アントルモン(P)
ダン・チュウ(Vn)
アロン四重奏団
録音:(1)2006年3月22 & 23日ウィーン(2)2006年2月3 & 4日パリ
指揮者としての活躍もめざましいフランスの名手アントルモン。最新アルバム
は、ピアノのパートに難度と比重が高いことで知られるフランクの室内楽。名
作ヴァイオリン・ソナタで共演するダン・チュウは、ジェラール・プーレやル
ッジェーロ・リッチに師事した北京生まれの若手。いっぽう、弟子オルメスへ
の激しい想いに全曲が染め上げられたピアノ五重奏は、1998年にウィーンの音
楽家たちで結成されたアロン四重奏団との共演。こちらは、メンバー全員がア
ルバン・ベルク四重奏団の薫陶を受けたアンサンブルです。
どちらも1934年生まれの大家が弾くピアノは、なまめかしい香気を漂わせて魅
力たっぷり。ここでアントルモンは、五重奏でベーゼンドルファーを、ソナタ
ではファツィオーリ(F 278)とふたつの楽器を弾き分けているのも注目です。




<harmonia mundi FRANCE>
HMC 901906 3枚組 \5080
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集Vol.3
[CD 1]
(1)第1番ヘ短調Op.2-1 (2)第2番イ長調Op.2-2 (3)第3番ハ長調Op.2-3
[CD 2]
(4)第4番変ホ長調Op.7 (5)第22番ヘ長調Op.54 (6)第23番ヘ短調Op.57「熱情」
[CD 3]
(7)第12番変イ長調Op.26(「葬送行進曲」) 
(8)第13番変ホ長調Op.27-1(「幻想曲風」) 
(9)第14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」
ポール・ルイス(P)
録音:2006年3月30日、10月31日&11月1-3日・2007年2月3-6日
ベルリン、テルデックス・スタジオ
2005年から2007年にかけて、ポール・ルイスが母国イギリスをはじめ欧米で敢
行しているベートーヴェンのソナタ全曲演奏会。これに並行して進むハルモニ
アムンディのプロジェクトはそのまま実演での確かな手応えを感じさせます。
人気の「月光」や「熱情」が登場する第3弾でも、ちょうど若き日の師ブレン
デルの録音がそうであったように、若さにまかせてバリバリ弾くというより、
じっくりていねいに聴かせてゆくスタイルに共鳴する方も多いのでは。なお、
シリーズは2008年春リリース予定、最後の3曲をふくむ第4集でついに完成とな
ります。




<オーパス蔵>
OPK 7035 \2250
サン-サーンス:交響曲第3番ハ短調作品78‘オルガン付き’
エルガー:エニグマ変奏曲作品36
アルトゥーロ・トスカニーニ(指)NBC交響楽団
【原盤:英HMV LP】
従来伝説的に語られていた英HMVプレス盤LPによるトスカニーニ/NBC響の音の
よさが、噂から真実になったことを喜びたい。サン・サーンスの第1楽章第2部
ポコ・アダージョで密やかに現れるオルガンの重厚なペダル音。オルガンと弦
の美しい和声のコラボレーションでは、かつてのトスカニーニ/NBCのディス
クからは絶えて聴かれなかった響きの豊かさ、しなやかさを満喫できるし、ス
ケルツォ風の第2楽章第1部ではトスカニーニらしく控え目な打楽器群にピアノ
も参加して多彩な音がかけめぐる。そして一瞬の空白をぶち破る豪然たるオル
ガンの大音響から絢爛たるクライマックスに突入する。エニグマは意外にも親
しみやすい「優しさと愛と微笑ましいユーモア」にあふれる音楽なのに気付か
せてくれる。トスカニーニ一流の品位を持った演奏でもあり、イギリスの作曲
家の作品には英HMVの音感が冴える。(小林利之)
トスカニーニとNBC交響楽団の一連のLPで米RCA盤よりも英HMV盤の方が音がよ
いという話を耳にして以来HMV盤を入手するようにしてきた。
確かにRCA/Victor盤に比べて音にふくらみがありトスカニーニの音楽も迫力
というより音楽的な豊かな響きがある。ただしHMV盤のトスカニーニ録音は余
り多くない。アメリカのRCAがヨーロッパ向けに自分で手掛けるようになりHMV
盤はなくなったためである。新しく出た英RCA盤は当然ながらきつく痩せたあ
のトスカニーニの音になっている。今回の2曲はいずれも英HMV-LPを用いてい
る。両者を比べるとセッション録音のエルガーの「エニグマ」変奏曲が実に豊
かな響きで、チェロが歌うところなどチェロはトスカニーニの楽器であったこ
とを思い起こさせてくれる。
他方のサン・サーンスはRCA盤やCDに比べて音に厚味はあるが、第4楽章のクラ
イマックスなど迫力は満点であってもかなりヒステリックな音である。これは
ライブ録音でありそんなものかという気もするが、実はこの日の前半の曲はロ
ッシーニの弦楽ためのソナタ第3番で、オーパス蔵で既発売(OPK2059)の音を聴
くと豊かな美しい音である。この音源はRCAではないが録音は同じ装置で行っ
ている可能性が高く、RCAが迫力優先の音作りをしたのではないかと想像して
しまう。今回の音はHMV盤のままでもよいのであるが、前半のロッシーニの音や
エニグマの音を参考にして多少バランスを変えてみた。晩年のトスカニーニの
音楽は骸骨化しているという批判もあるが、レコード製作にも責任があるので
はないかという提起でもある。(相原 了)


OPK 7036 2枚組(1枚価格) \2250
マーラー:「大地の歌」
1 現世の苦を詠う酒宴歌(8'31")
2 秋に寂しき者(9'11")
3 青春について(3'00")
4 美について(6'45")
5 春に酔えるもの(4'26")
6 別れ(28'21")
リュッケルトの詩による3つの歌
7 私は俗世から消え失せた(5'25")
8 優しい香りを吸った(2'45")
9 真夜中に(6'18")
フェリアー/パツァーク
ワルター(指)ウィーン・フィル(1952Deccaセッション録音)
【音源:UK-London LP(2種)】
歌詞対訳 甲斐貴也
ことの始まりは、安原氏の永年の親友であった浜田氏が亡くなり、残されたレ
コードコレクションの整理を安原氏が任されたことにあります。多くは日本盤
LPでしたが中にワルター「大地の歌」の英ロンドン盤がありました。非常にき
れいなものでほとんど聴かれてない様子のものです。この浜田盤の音が従来LP
やCDで流布しているものとは響きが違い、オーケストラが前面に出てディテー
ルもクリアに入っている音でした。いままで音が違うという記述を見たことが
ないので、音の違う理由はわかりません。単にカッティングマシンの特性が違
ったのか、テープの修正を行ったのか、あるいはこれはヴォーカルのバランス
を修正したのか、いずれにせよ通常聴く音と浜田盤の音は違っています。ヴォ
ーカル主体の曲なので流布版の音でよいと思いますが、ワルターがウィーン・
フィルにどう要求していたのかは浜田盤の方が興味深く聴くことができます。
発売に当たってどちらを採用するか迷いに迷った挙句、それぞれに音響的にも
音楽的にも意味があると考え両方を残すことにしました。流布しているバラン
スのものは、最も音がしっとりしていて発売も古そうな安原盤(英ロンドンLL
オレンジラベル)を採用しました。(相原 了)
近頃、予期せぬ出来ごとが多い。こちら年の功も手伝って、よほどの事件でな
ければ驚かなくなっているのだが、これには驚いてしまった。なにしろブルー
ノ・ワルター指揮のウィーン・フィルが、カスリーン・フェリアー、ユリウス
・パツァークと1952年に録音、英デッカの古今不滅の名盤と称えられているマ
ーラーの“Das Lied von der Erde”『大地の歌』には、従来から親しまれて
いるものの他に、オーケストラの多彩な演奏をより前面に出し、精緻な表現の
ディテールをクリア・アップして、声楽パートとの総合的な音響バランスを整
えた別のプレスがあったのだから。(中略)
もう一度、今回のオーケストラ主体の新しい(と思われる)プレスの英ロンドン
黒ラベル盤による復刻を聴き直してみると、これは!と思うほど、全曲、ワル
ターの指揮がいちだんと精彩を発揮、凄みさえ感じさせる楽章があるのを再確
認させられる。劈頭の「現世の苦を詠う酒宴歌」での中間部、今回の歌詞の翻
訳者甲斐貴也氏が指摘された“第3連を「悲歌」と考える”解釈を正当化する
ようなワルターの指揮は、ウィーン・フィルから冷え冷えとした血も凍るよう
な寂寥感を響かせるのが明瞭化して絶妙だし、続く「秋に寂しき者」の16分音
符で動く第1vnの抑制した表情、オーボエの哀愁を含んだ節回し、「美につい
て」における奔放多彩な表現と鮮やかな対応、「春に酔える者」の感心するほ
かない精妙かつ的確なマーラーの譜面の指示の再現力など、従来の素晴らしさ
にさらにヴェール一枚ほど剥がしたかのような、オーケストラの響きのみずみ
ずしさを聴きながら、以前にも書いたことだが、この愛する名盤も、知らず知
らずのうちに自分と一緒に年をとり、録音も古びて聴きづらくなるのか、と諦
めていたところ、今回の奇蹟の復刻盤にふれて、ああ良かった!これを聴けて
と、満足感に頬がゆるむのを覚えた。 (小林利之)

OPK 2071 \2250
グルック:「アルチェステ」序曲 (Decca SP)(1935年)
シューベルト:「ロザムンデ」序曲 (Telefunken SP)(1938年)
シューベルト:
交響曲第8(9)番ハ長調D944 「ザ・グレート」 (Telefunken SP)(1942年)
ウィレム・メンゲルベルク(指)
アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団
【原盤:Telefunken SP, Decca SP】
・・・さて、演奏そのものについてだが、シューベルトでは意外なほどに古典
的な端正さをもったもの、という印象を受けた。とりわけ《ザ・グレート》で
その感は強い。ロマン派演奏の「最後の恐竜」的存在で、恣意的な緩急強弱を
つけると思われがちなメンゲルベルクだが、ここではキビキビと、遅滞なく音
楽を進めている。同じ1942年録音のフルトヴェングラー指揮BPOの同曲の激しく
うねり、爆発する演奏はもちろん、半年後に同じオーケストラとセッション録
音したケンペンと較べても、ずいぶん違っている。
特にケンペンの演奏との差は、条件が似ているだけに興味深い。ケンペンの方
がよほどロマン的で、フレーズを大きく深く息づかせ、緩急の幅を広くとって
音楽のドラマを強調している。オランダ人でありながら早くから活動の舞台を
ドイツに移し、そこでヴァイオリニストから指揮者へと転じてキャリアを築い
てきたケンペンの演奏には、フルトヴェングラーと共通するドロドロとしたロ
マン性がのたうっている。それに較べればメンゲルベルクの演奏はもっとイン
・テンポで、リズミックなのだ。その分、コンセルトヘボウならではの弦の絹
のような音色の美しさなどは、より明確に響き、聴きとれる。メンゲルベルク
の持つ古典性という要素に着目させてくれる演奏だった。
(山崎浩太郎)」
※《アルチェステ》は1935年にメンゲルベルクがデッカに録音した2曲のひと
つであり、SP盤が出回るのは珍しいものです。

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