<NAXOS> 各1枚 \1000
8.559677
ウィテカー:合唱作品集
1.彼女の聖なる魂が舞い上がる/2.少年と少女/3.水の夜/4.結婚/5.ルクス
・アルムク(黄金の光)/6.小さな木/7.ダビデ王が息子アブサロムの戦死を聞
いた時/8.レオナルドは空飛ぶマシーンを夢見る/ 9.私はこの素晴らしき日
を神に感謝する/10.眠り/11.小鳥
演奏:エローラ・フェスティバル・シンガーズ/
レスリー・デアス(ピアノ)…6.11/キャロル・バウマン (パーカッション)…8
/ノエル・エジソン(指揮)
熟練した指揮者、および作曲家であるウィテカー(1970-)。彼は精巧なテキス
トと、ユニークな響きを用いて、この世のものとも思われぬ美しい音楽を作り
出します。瞬間の美と調和の確かな表出、そして流動的な時間。これらを軸に、
荘厳で光に満ちた音を組み上げ、神秘的で詩情豊かな世界を描いていきます。
多声部からなるクラスターの続出は、同時代のペルトやタヴナーの声楽曲との
類似性も感じさせますが、全ての聴き手に微笑みをもたらす彼の曲には、暖か
さがより強く宿っているようです。聴いているうちに不思議な気分になれるこ
とでしょう。
8.572413
カセッラ:交響曲第1番ロ短調 Op.5 他
1-3.交響曲第1番ロ短調 Op.5(世界初録音)
4-6.ピアノ,ティンパニ ,パーカッションと弦楽のためのOp.69
演奏:デシレ・スクックリア(ピアノ)…4-6/アントニオ・セラヴォーロ(パー
カッション)…4-6/ローマ交響楽団/フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
最近、人気が復興しつつあるイタリアの作曲家、カセッラ(1883-1947)の管弦
楽作品を4枚のアルバムに収録するシリーズの第1作です。世界初録音となる交
響曲第1番は、作曲家の23歳の誕生日の前日に完成された作品です。パリ音楽
院でフォーレに作曲を学んだ彼らしく、先人の影響も多分に認められますが、
至るところに若き自信のようなものも感じられ、独自の道を切り開こうとする
青年の苦悩が散りばめられているかのようです。暗く垂れこめた雲の間から光
が射すかのように美しい第2楽章に心惹かれぬ人はいないでしょう。かたや
1943年に作曲された「協奏曲」はまるで筋肉が収斂するかのようなメカニカル
で躍動的な音楽です。40年ほどの年月を経ると人はこのように変化していくの
ですね。しかし終楽章にはまたロマンティックな風景に立ち返ります。これが
彼における原風景なのかもしれません。
8.660293-94 2枚組
ウォレス:歌劇「ラウリーン」全曲
演奏:若き貴族ルパート…キース・ルイス(T)/ルパートの友人、グィルヘルム
…ポール・フェリス(T)/河の王ラインバーグ…デイヴィッド・ソール(B-Br)
/トゥルエンフェルス男爵…ドナルド・マクスウェル(Br)/地の精ツェリエッ
ク…ロデリック・アール(B)/ラインの妖精ラウリーン(ローレライ)…サリー・
シルヴァー(S)/男爵の娘ギーヴァ…フィオーナ・ジェーンズ(Ms)/ラインの
精霊リバ…バーナデット・キューレン(Ms)
ヴィクトリア・オペラ管弦楽団&合唱団/リチャード・ボニング(指揮)
アイルランドのウォーターフォードで生まれたウォレス(1812-1865)は、軍楽
隊の楽長であった父親から音楽の手ほどきを受け、10代の半ばですでに熟練し
たヴァイオリニスト&ピアニストとして知られていました。
このオペラはライン河の伝説で名高いローレライを主人公にした作品です。序
曲などの雰囲気はウェーバーそのものですが、なかなか楽しい場面が盛りだく
さんです。リチャード・ボニングによる新しい版を使用した演奏でお楽しみく
ださい。
8.572241
リスト:ピアノ作品全集第31集 ベルリーニのオペラ編曲集
1.ベルリーニの「夢遊病の女」の主題による幻想曲 S393/R132/2.ノルマの回
想 S394/R133/3.ベルリーニの歌劇「清教徒」の回想 S390/R129/4.ヘクサメ
ロン(演奏会用小品)-「清教徒」の行進曲による華麗な大変奏曲 S392/R131
演奏:ウィリアム・ウォルフラム(ピアノ)
☆オペラの中の名旋律を用いて、華麗なピアノ作品に仕上げることは、19世紀
のピアニストたちにとって必要不可欠な腕の見せ所でした。なかでもリスト
(1811-1886)は自らの超絶技巧を惜しげもなく注ぎ込み、数々の作品をこの世
に送りだしたのです。このアルバムはベルリーニの美しいメロディをふんだん
につかった聞きごたえのある曲が並びます。なかでも「ノルマの回想」はピア
ニストの限界に挑戦する難所が次々と出現する、難攻不落の名曲。ウォルフラ
ムの妙技をとくとお聴きください。また、秘曲「ヘクサメロン」はオペラ「清
教徒」の中のメロディに、リストの他、ショパン、タールベルク、エルツ、
チェルニー、ピクシスの 6人の作曲家が変奏曲を書き、リストがまとめたも
の。各々の作曲家の個性を楽しみながら、音の奔流に耳を傾けてみてください。
8.570999
ヒナステラ:ポポル・ヴー(マヤ世界の創造)
1-5.バレエ音楽「エスタンシア」Op.8より
6-10.クレオール舞踊組曲 Op.15(S.コーエン管弦楽編)/
11-15.バレエ音楽「パナンビ」 Op.1より
16-18.交響的三部作「オジャンタイ」 Op.17
19-26.ポポル・ヴー(マヤ世界の創造)Op.44
※1-5.11-15…世界初録音
演奏:ロンドン交響楽団… 1-5.11-15/エルサレム交響楽団…6-10/BBCウェー
ルズ・ナショナル管弦楽団…16-26/ジセル・ベン=ドール (指揮)
アルゼンチン生まれの大作曲家ヒナステラ (1916-1983)の5つの作品です。彼
の作品の中でもとりわけ知られる「エスタンシア」と「パナンビ」、インカ文
明から霊感を得た「オジャンタイ」、ピアノ曲として書かれた「クレオール舞
踊組曲」、そして8年間の作曲期間を経ても、なおも未完成で終わってしまっ
たマヤ神話をもとにする大作「ポポル・ヴー」。とどれもが野性味と強烈な色
彩を放つ魅力的な曲です。このジセル・ベン=ドールの演奏は、録音当時世界
初録音だった2つの作品を含む、ヒナステラのパイオニア的存在。世界を元気
にするために、もう一度ブームを巻き起こしたい熱き名演の登場です。
8.570799
ベック:交響曲集 Op.3
1-4.交響曲ヘ長調 Op.3-1(Callen 13)
5-8.交響曲変ロ長調 Op.3-2(Callen 14)
9-12.交響曲ト短調 Op.3-3(Callen 15)/
13-16.交響曲変ホ長調 Op.3-4(Callen 16)
演奏:トロント室内管弦楽団/ケヴィン・マロン (指揮)
マンハイム楽派の一人、フランツ・イグナツ・ベック(1734-1809)の交響曲集
です。彼は父親から音楽の手ほどきを受け、様々な楽器を習得し、シュターミ
ッツの弟子としてマンハイムの宮廷楽団の奏者となります。彼の才能があまり
にも素晴らしかったのでしょう。同業者からいわれのない嫉妬と中傷を受け
(例えば、決闘の相手が死んでしまったなど)、結局のところ、彼はマンハイム
を離れヴェネツィアに移住することになります。そこから先も波乱の人生を送
った彼の作品は、その生涯に似て、とても劇的で大胆さを備えています。大胆
な和声進行、柔軟なリズム、これらが溶け合い絶妙な効果を持つこれらの作品。
もっと聴きたい方は「6つの交響曲 Op.1」(8.554071)もどうぞ。
8.579003
パヴロワ:交響曲第6番他
1-4.交響曲第6番/5-9.サンベリーナ組曲 序曲(主題「サンベリーナの放浪」)
/ワルツ-幻覚/タンゴ/悲しみの歌/王子との出会い
演奏:ミハイル・シェスタコフ(ヴァイオリン)…1-4
モスクワ・チャイコフスキー交響楽団
パトリック・ベイトン (指揮)
ロシア生まれで、現在アメリカで活躍している女性作曲家、アラ・パヴロワ
(1952-)の最新録音です。彼女はとてもロマンティックな音楽で幅広い称賛を
得ていて、既にNAXOSからも 4枚のアルバムが発売されており、そのどれもが
聴き手を魅了してやみません。今回の作品は、大画家ヴィンセント・ヴァン・
ゴッホに捧げられた「交響曲第6番」と、北欧の童話作家アンデルセンのおと
ぎ話「おやゆび姫」に基づいたバレエ「サンベリーナ」からの組曲です。苦渋
の生涯を送ったゴッホの代表作「星月夜」からインスピレーションを受けたと
いう交響曲は、哀しみを表す「ト短調」の調性を得て、臆面もなく身悶えする
姿を晒すのです。対して、サンベリーナはもっと快活な作品。彷徨うサンベリ
ーナが優しい王子と出会い、幸せをつかむまでが描かれます。これでまた彼女
のファンが増えるかも知れません。
8.579004
カサブランカス:ハムレットの7つの情景他
1-7.ハムレットの7つの情景(1989)(プロローグ/王宮にて/生きるべきか、死ぬ
べきか/オフェーリア/選手たちのパーティ/ヨリック-オフェーリアの埋葬/終
曲)/8-10.新しい警句(1997)/11.パッサカリアの旋法による(1993-1996)/
12-14.警句(1990)/15-16.小さい夜の曲(1992)
演奏:パウル・ユトスム (ナレーター)…1-7/バルセロナ 216
マネル・バルディビエソ (指揮)
カタロニアの作曲家カサブランカス(1956-)は、音の持つ官能性を徹底的に追
及します。この特性は彼の代表作である「ハムレットの7つの情景」にも顕著
に表れ、曲を構成する全ての音には命が宿り、登場人物と背景をたくさんの音
で塗り重ねていくのです。第1の情景の冒頭はチェレスタが用いられ、幽玄な
雰囲気を醸し出します。また怯える弦の音色は、薄氷を踏むような脆い人生を
表しているかのようです。ハムレットの最も有名な独白は、複雑な対位法に織
り込まれてしまいます。そして無垢の象徴オフェーリアは、柔らかい叙情性を
帯びた旋律で表されます。シェーンベルクの影響もかすかに感じられる、そし
て、救いようもないほど悲劇的な物語の結末には、不可解な響きと深い静寂が
用意されていました。
8.572264
クラリネット・ハイヴ
1-4.ピアソラ(1921-1992):タンゴの歴史(B.エドワーズによるクラリネット四
重奏編)/5-8.ハービソン(1938-):トリオ・ソナタ(2本のクラリネットとバス
・クラリネット編 )/9-11.シュラー(1925-):デュオ・ソナタ/12.トーマス・
E=バーカー(1954-1988):シングル・シックス/ 13-19.パーシケッティ(1915
-1987):セレナーデ第13番 Op.95/20.ジポリン(1959-):ハチの巣
演奏:テオドーレ・シェーン(バス・クラリネット…1-12.20)、(第2クラリネッ
ト… 13-19)/ローラ・アーダン(第1クラリネット… 6-11.20)、(第2クラリネ
ット…1-8)/リチャード・モラレス(第1クラリネット…1-4.13-19)/ティモシ
ー・パラダイス(第1クラリネット… 5-8)、(第2クラリネット… 20)/ジェー
ムズ・オグニベーネ(バセット・ホルン…1-4)/エヴァン・ジポリン(バス・ク
ラリネット…20)
このアルバムの最後に収録されている、ジポリンの「ハチの巣」をタイトル名
にした、ちょっとオシャレなクラリネット・アルバムです。様々なサイズのク
ラリネットのために書かれた 20世紀の作品を、まるでハチが蜜を集めるかの
ように並べてあります。耳にする機会の多いピアソラの「タンゴの歴史」も、
クラリネット・アンサンブルで聴くと、感傷的な音色のせいか、いい具合に鋭
角さが取れて、まことに穏やかで美しい作品へと変貌するのが興味深いところ
です。全ての楽章に「速く」と書かれたハービソンのトリオ・ソナタも楽しい
曲です。他にもジャズ風味あり、古典的な作品ありと、クラリネットの可能性
を極限まで追求した作品がぎっしり詰まっています。
8.559636
グラス:弦楽四重奏曲第1番-第4番
1-4.弦楽四重奏曲第2番「カンパニー」(1983)/5-10.弦楽四重奏曲第3番「ミ
シマ」(1985)/11-12.弦楽四重奏曲第1番(1966)/13-15.弦楽四重奏曲第4番
「バツァク」(1989)
演奏:カードゥッチ弦楽四重奏団
マシュー・デントン(ヴァイオリン)/マイケル・フレミング(ヴァイオリン)/
オーエン・シュミット=マーティン(ヴィオラ)/エンマ・デントン(チェロ)
フィリップ・グラス(1937-)が本格的に弦楽四重奏のジャンルに足を踏み入れ
たのは、いくつかのオペラや映画音楽を書いた後のことで、それ以来、この
ジャンルにおける彼の貢献度は非常に高いものになりました。このアルバムに
は 4つの作品が収録されています。1966年、フランス時代に書かれた第1番は
まだ禁欲的ですが、その後の作品はどれも特徴的で幾分強迫観念的な響きを持
ち、聴く者を不安に陥れ絶望の淵でうごめかせると共に、仄かな美しさを感じ
させます。魅惑的な第2番、清廉潔白な響きに満たされた映画音楽「ミシマ」
から派生した第3番、最小限の音形が爆発的なエネルギーを有する瞬間を楽し
む第4番、これらの独特な音楽は、多くのファンをつかんで離すことはありま
せん。
8.570353
ランジバラン:覚醒・エレジー他
1.覚醒/2.常動曲/3.チェロと弦楽合奏のためのエレジー/4.弦楽のためのエ
レジー/5-10.ヴァイオリン・デュオのための6つのカプリース/11-13.弦楽四
重奏曲
演奏:セジョンのソリストたち… 1-4/チェン・シ(ヴァイオリン)…2.5-10/
フランク・ホアン(ヴァイオリン)…5-13/ウェイン・リン(ヴァイオリン)…
11-13/ベス・グターマン(ヴィオラ)…11-13/オーレ・アカホシ(チェロ)…
3.1-13
イラン生まれでアメリカにベースを置く作曲家、ランジバラン(1955-)の作品
集です。「とても高貴で光り輝く思いつき」とアメリカの音楽ガイドでも大絶
賛された彼の音楽は、好奇心に溢れた聴衆の心をうまく刺激するようです。戦
争に関する平和の勝利を祝す「覚醒」、活発なエネルギーの放出が気持ちよい
「常動曲」、命の循環を音で描いた「チェロと弦楽合奏のためのエレジー」そ
して、そこから派生したチェロのためのエレジー。どれもが何かに突き動かさ
れるような煽情的な音楽です。ヴァイオリンの技法と音色を徹底的に追及した、
「6つのカプリース」、生命と夢、その他儀式めいたもの全てを包括する弦楽
四重奏曲も、屈強なる意志の力を感じさせる逸品です。
8.572221
ベートーヴェン:弦楽五重奏曲集
1-4.弦楽五重奏曲ハ長調 Op.29/5-8.弦楽五重奏曲ハ短調 Op.104/9.フーガ
ニ長調 Op.137
演奏:ジル・シャロン(ヴィオラ)/ファインアーツ四重奏団
ラルフ・エヴァンス(ヴァイオリン)/エフィム・ボイコ(ヴァイオリン)/チャウ
ンシー・ペターソン(ヴィオラ)/ヴォルフガンク・ロイファー(チェロ)
かなりのベートーヴェン・ファンでもなかなか手を出さないジャンルの一つ、
弦楽五重奏曲をお聴きいただきましょう。何しろ、4曲ある弦楽五重奏のうち、
1曲はこの盤にも収録されている単一楽章のフーガ Op.137であり、Op.4とさ
れる1曲は、自身の八重奏曲 Op.103のベートーヴェン(1770-1827)自身による
編曲であり、また Op.104は自作のピアノ三重奏曲 Op.1-3を誰かが編曲したも
の。純然たる弦楽五重奏は 1800年-01年に書かれた Op.29の1曲だけというわ
けです。こんな扱いだけど、決してベートーヴェンが手を抜いたというわけで
はないという事は、このアルバムを聴いていただければ納得するはずです。
弦楽四重奏に、ヴィオラが1本加わるだけでこんなにも幽玄な音色が生まれる
事実を再確認。そしてベートーヴェンの精緻な書法に改めて敬服。ファインア
ーツ弦楽四重奏団とヴィオラのシャロンの織り成す見事な演奏にうっとり。そ
して、飛ぶように駆け抜けるフーガに耳を奪われる・・・まさに通向けの音楽
です。
8.572177
ボッシ:主題と変奏 Op.115
1-9.主題と変奏 Op.115/10.5つの小品より「神聖なる家」 Op.132-4/11.英
雄的小品 Op.128/12.5つの小品より「喜びの時」 Op.132-5/13.聖フランチェ
スコの 3つの契機より「炎熱」 Op.140-1/14-16.小協奏曲ハ短調 Op.130a/
17.聖フランチェスコの 3つの契機より「つばめたちとの対話」 Op.140-2
演奏:ピエール・ダミアーノ・ペレッティ(オルガン)
☆イタリアのオルガニスト、エンリコ・ボッシ(1861-1925)の作品集です。当
時のイタリアはオペラ全盛でありましたが、彼は終生オルガニストとして活躍、
「イタリア器楽曲復興」に貢献した人です。また、ボッシはプッチーニの親友
であり、多くの示唆を彼から受けたことでも知られています。このアルバムは、
彼の素晴らしいオルガン作品を収録したもので、フランクから受け継がれた重
厚な音に、ドビュッシーの印象派的な響きを加えたこの時代特有の音色を心か
ら堪能できることでしょう。これらの曲をあますことなく弾ききったオルガニ
スト、ペレッティは 1974年生まれの新進気鋭。ウィーンを中心に世界中を飛
び回る名手です。
8.559633
ロックバーグ:ピアノ曲集第3集
1-13.パルティータ -変奏曲(1976)(前奏曲/間奏曲/ブルレスケ/葬列/即興曲/
深き鐘/バラード /狂詩曲/メヌエット /カノン/夜想曲/アラベスク/三声のフ
ーガ)/14.バッハによる(1966)/15.ソナタ -幻想曲(1956)
演奏:サリー・ピンカス(ピアノ)
ロックバーグ(1918-2005)のピアノ作品集第3集です。第1集(8.559631)や第2集
(8.559632)の難解で複雑な響きに比べると、この第3集に収録されている「パ
ルティータ -変奏曲」はどことなく耳に優しい瞬間もあり、聴き手はやすやす
と彼の世界へ引き込まれてしまいます。しかし、そこはロックバーグ。すぐに
音の迷宮へと私たちを連れ去ってしまうのですが・・・。古典的な手法から、
最先端の語法まで、様々なテクニックを用いて描かれた 12の作品には、悲劇、
原罪、愛など予測不能の世界が描かれていて、まさに目が覚めるほどの面白さ
です。なかでも「夜想曲」でのなりすましロマン派ぶりには誰しも唖然とする
ことでしょう。ハープシコード奏者、イーゴリ・キプリスのために書かれた
「バッハによる」は2人の作曲家による親密な対話です。暗く苦痛に満ちた
「ソナタ」にも時折抒情的な音が見え隠れするのがロックバーグの持ち味で
しょう。
8.559677
ウィテカー:合唱作品集
1.彼女の聖なる魂が舞い上がる/2.少年と少女/3.水の夜/4.結婚/5.ルクス
・アルムク(黄金の光)/6.小さな木/7.ダビデ王が息子アブサロムの戦死を聞
いた時/8.レオナルドは空飛ぶマシーンを夢見る/ 9.私はこの素晴らしき日
を神に感謝する/10.眠り/11.小鳥
演奏:エローラ・フェスティバル・シンガーズ/
レスリー・デアス(ピアノ)…6.11/キャロル・バウマン (パーカッション)…8
/ノエル・エジソン(指揮)
熟練した指揮者、および作曲家であるウィテカー(1970-)。彼は精巧なテキス
トと、ユニークな響きを用いて、この世のものとも思われぬ美しい音楽を作り
出します。瞬間の美と調和の確かな表出、そして流動的な時間。これらを軸に、
荘厳で光に満ちた音を組み上げ、神秘的で詩情豊かな世界を描いていきます。
多声部からなるクラスターの続出は、同時代のペルトやタヴナーの声楽曲との
類似性も感じさせますが、全ての聴き手に微笑みをもたらす彼の曲には、暖か
さがより強く宿っているようです。聴いているうちに不思議な気分になれるこ
とでしょう。
8.572413
カセッラ:交響曲第1番ロ短調 Op.5 他
1-3.交響曲第1番ロ短調 Op.5(世界初録音)
4-6.ピアノ,ティンパニ ,パーカッションと弦楽のためのOp.69
演奏:デシレ・スクックリア(ピアノ)…4-6/アントニオ・セラヴォーロ(パー
カッション)…4-6/ローマ交響楽団/フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
最近、人気が復興しつつあるイタリアの作曲家、カセッラ(1883-1947)の管弦
楽作品を4枚のアルバムに収録するシリーズの第1作です。世界初録音となる交
響曲第1番は、作曲家の23歳の誕生日の前日に完成された作品です。パリ音楽
院でフォーレに作曲を学んだ彼らしく、先人の影響も多分に認められますが、
至るところに若き自信のようなものも感じられ、独自の道を切り開こうとする
青年の苦悩が散りばめられているかのようです。暗く垂れこめた雲の間から光
が射すかのように美しい第2楽章に心惹かれぬ人はいないでしょう。かたや
1943年に作曲された「協奏曲」はまるで筋肉が収斂するかのようなメカニカル
で躍動的な音楽です。40年ほどの年月を経ると人はこのように変化していくの
ですね。しかし終楽章にはまたロマンティックな風景に立ち返ります。これが
彼における原風景なのかもしれません。
8.660293-94 2枚組
ウォレス:歌劇「ラウリーン」全曲
演奏:若き貴族ルパート…キース・ルイス(T)/ルパートの友人、グィルヘルム
…ポール・フェリス(T)/河の王ラインバーグ…デイヴィッド・ソール(B-Br)
/トゥルエンフェルス男爵…ドナルド・マクスウェル(Br)/地の精ツェリエッ
ク…ロデリック・アール(B)/ラインの妖精ラウリーン(ローレライ)…サリー・
シルヴァー(S)/男爵の娘ギーヴァ…フィオーナ・ジェーンズ(Ms)/ラインの
精霊リバ…バーナデット・キューレン(Ms)
ヴィクトリア・オペラ管弦楽団&合唱団/リチャード・ボニング(指揮)
アイルランドのウォーターフォードで生まれたウォレス(1812-1865)は、軍楽
隊の楽長であった父親から音楽の手ほどきを受け、10代の半ばですでに熟練し
たヴァイオリニスト&ピアニストとして知られていました。
このオペラはライン河の伝説で名高いローレライを主人公にした作品です。序
曲などの雰囲気はウェーバーそのものですが、なかなか楽しい場面が盛りだく
さんです。リチャード・ボニングによる新しい版を使用した演奏でお楽しみく
ださい。
8.572241
リスト:ピアノ作品全集第31集 ベルリーニのオペラ編曲集
1.ベルリーニの「夢遊病の女」の主題による幻想曲 S393/R132/2.ノルマの回
想 S394/R133/3.ベルリーニの歌劇「清教徒」の回想 S390/R129/4.ヘクサメ
ロン(演奏会用小品)-「清教徒」の行進曲による華麗な大変奏曲 S392/R131
演奏:ウィリアム・ウォルフラム(ピアノ)
☆オペラの中の名旋律を用いて、華麗なピアノ作品に仕上げることは、19世紀
のピアニストたちにとって必要不可欠な腕の見せ所でした。なかでもリスト
(1811-1886)は自らの超絶技巧を惜しげもなく注ぎ込み、数々の作品をこの世
に送りだしたのです。このアルバムはベルリーニの美しいメロディをふんだん
につかった聞きごたえのある曲が並びます。なかでも「ノルマの回想」はピア
ニストの限界に挑戦する難所が次々と出現する、難攻不落の名曲。ウォルフラ
ムの妙技をとくとお聴きください。また、秘曲「ヘクサメロン」はオペラ「清
教徒」の中のメロディに、リストの他、ショパン、タールベルク、エルツ、
チェルニー、ピクシスの 6人の作曲家が変奏曲を書き、リストがまとめたも
の。各々の作曲家の個性を楽しみながら、音の奔流に耳を傾けてみてください。
8.570999
ヒナステラ:ポポル・ヴー(マヤ世界の創造)
1-5.バレエ音楽「エスタンシア」Op.8より
6-10.クレオール舞踊組曲 Op.15(S.コーエン管弦楽編)/
11-15.バレエ音楽「パナンビ」 Op.1より
16-18.交響的三部作「オジャンタイ」 Op.17
19-26.ポポル・ヴー(マヤ世界の創造)Op.44
※1-5.11-15…世界初録音
演奏:ロンドン交響楽団… 1-5.11-15/エルサレム交響楽団…6-10/BBCウェー
ルズ・ナショナル管弦楽団…16-26/ジセル・ベン=ドール (指揮)
アルゼンチン生まれの大作曲家ヒナステラ (1916-1983)の5つの作品です。彼
の作品の中でもとりわけ知られる「エスタンシア」と「パナンビ」、インカ文
明から霊感を得た「オジャンタイ」、ピアノ曲として書かれた「クレオール舞
踊組曲」、そして8年間の作曲期間を経ても、なおも未完成で終わってしまっ
たマヤ神話をもとにする大作「ポポル・ヴー」。とどれもが野性味と強烈な色
彩を放つ魅力的な曲です。このジセル・ベン=ドールの演奏は、録音当時世界
初録音だった2つの作品を含む、ヒナステラのパイオニア的存在。世界を元気
にするために、もう一度ブームを巻き起こしたい熱き名演の登場です。
8.570799
ベック:交響曲集 Op.3
1-4.交響曲ヘ長調 Op.3-1(Callen 13)
5-8.交響曲変ロ長調 Op.3-2(Callen 14)
9-12.交響曲ト短調 Op.3-3(Callen 15)/
13-16.交響曲変ホ長調 Op.3-4(Callen 16)
演奏:トロント室内管弦楽団/ケヴィン・マロン (指揮)
マンハイム楽派の一人、フランツ・イグナツ・ベック(1734-1809)の交響曲集
です。彼は父親から音楽の手ほどきを受け、様々な楽器を習得し、シュターミ
ッツの弟子としてマンハイムの宮廷楽団の奏者となります。彼の才能があまり
にも素晴らしかったのでしょう。同業者からいわれのない嫉妬と中傷を受け
(例えば、決闘の相手が死んでしまったなど)、結局のところ、彼はマンハイム
を離れヴェネツィアに移住することになります。そこから先も波乱の人生を送
った彼の作品は、その生涯に似て、とても劇的で大胆さを備えています。大胆
な和声進行、柔軟なリズム、これらが溶け合い絶妙な効果を持つこれらの作品。
もっと聴きたい方は「6つの交響曲 Op.1」(8.554071)もどうぞ。
8.579003
パヴロワ:交響曲第6番他
1-4.交響曲第6番/5-9.サンベリーナ組曲 序曲(主題「サンベリーナの放浪」)
/ワルツ-幻覚/タンゴ/悲しみの歌/王子との出会い
演奏:ミハイル・シェスタコフ(ヴァイオリン)…1-4
モスクワ・チャイコフスキー交響楽団
パトリック・ベイトン (指揮)
ロシア生まれで、現在アメリカで活躍している女性作曲家、アラ・パヴロワ
(1952-)の最新録音です。彼女はとてもロマンティックな音楽で幅広い称賛を
得ていて、既にNAXOSからも 4枚のアルバムが発売されており、そのどれもが
聴き手を魅了してやみません。今回の作品は、大画家ヴィンセント・ヴァン・
ゴッホに捧げられた「交響曲第6番」と、北欧の童話作家アンデルセンのおと
ぎ話「おやゆび姫」に基づいたバレエ「サンベリーナ」からの組曲です。苦渋
の生涯を送ったゴッホの代表作「星月夜」からインスピレーションを受けたと
いう交響曲は、哀しみを表す「ト短調」の調性を得て、臆面もなく身悶えする
姿を晒すのです。対して、サンベリーナはもっと快活な作品。彷徨うサンベリ
ーナが優しい王子と出会い、幸せをつかむまでが描かれます。これでまた彼女
のファンが増えるかも知れません。
8.579004
カサブランカス:ハムレットの7つの情景他
1-7.ハムレットの7つの情景(1989)(プロローグ/王宮にて/生きるべきか、死ぬ
べきか/オフェーリア/選手たちのパーティ/ヨリック-オフェーリアの埋葬/終
曲)/8-10.新しい警句(1997)/11.パッサカリアの旋法による(1993-1996)/
12-14.警句(1990)/15-16.小さい夜の曲(1992)
演奏:パウル・ユトスム (ナレーター)…1-7/バルセロナ 216
マネル・バルディビエソ (指揮)
カタロニアの作曲家カサブランカス(1956-)は、音の持つ官能性を徹底的に追
及します。この特性は彼の代表作である「ハムレットの7つの情景」にも顕著
に表れ、曲を構成する全ての音には命が宿り、登場人物と背景をたくさんの音
で塗り重ねていくのです。第1の情景の冒頭はチェレスタが用いられ、幽玄な
雰囲気を醸し出します。また怯える弦の音色は、薄氷を踏むような脆い人生を
表しているかのようです。ハムレットの最も有名な独白は、複雑な対位法に織
り込まれてしまいます。そして無垢の象徴オフェーリアは、柔らかい叙情性を
帯びた旋律で表されます。シェーンベルクの影響もかすかに感じられる、そし
て、救いようもないほど悲劇的な物語の結末には、不可解な響きと深い静寂が
用意されていました。
8.572264
クラリネット・ハイヴ
1-4.ピアソラ(1921-1992):タンゴの歴史(B.エドワーズによるクラリネット四
重奏編)/5-8.ハービソン(1938-):トリオ・ソナタ(2本のクラリネットとバス
・クラリネット編 )/9-11.シュラー(1925-):デュオ・ソナタ/12.トーマス・
E=バーカー(1954-1988):シングル・シックス/ 13-19.パーシケッティ(1915
-1987):セレナーデ第13番 Op.95/20.ジポリン(1959-):ハチの巣
演奏:テオドーレ・シェーン(バス・クラリネット…1-12.20)、(第2クラリネッ
ト… 13-19)/ローラ・アーダン(第1クラリネット… 6-11.20)、(第2クラリネ
ット…1-8)/リチャード・モラレス(第1クラリネット…1-4.13-19)/ティモシ
ー・パラダイス(第1クラリネット… 5-8)、(第2クラリネット… 20)/ジェー
ムズ・オグニベーネ(バセット・ホルン…1-4)/エヴァン・ジポリン(バス・ク
ラリネット…20)
このアルバムの最後に収録されている、ジポリンの「ハチの巣」をタイトル名
にした、ちょっとオシャレなクラリネット・アルバムです。様々なサイズのク
ラリネットのために書かれた 20世紀の作品を、まるでハチが蜜を集めるかの
ように並べてあります。耳にする機会の多いピアソラの「タンゴの歴史」も、
クラリネット・アンサンブルで聴くと、感傷的な音色のせいか、いい具合に鋭
角さが取れて、まことに穏やかで美しい作品へと変貌するのが興味深いところ
です。全ての楽章に「速く」と書かれたハービソンのトリオ・ソナタも楽しい
曲です。他にもジャズ風味あり、古典的な作品ありと、クラリネットの可能性
を極限まで追求した作品がぎっしり詰まっています。
8.559636
グラス:弦楽四重奏曲第1番-第4番
1-4.弦楽四重奏曲第2番「カンパニー」(1983)/5-10.弦楽四重奏曲第3番「ミ
シマ」(1985)/11-12.弦楽四重奏曲第1番(1966)/13-15.弦楽四重奏曲第4番
「バツァク」(1989)
演奏:カードゥッチ弦楽四重奏団
マシュー・デントン(ヴァイオリン)/マイケル・フレミング(ヴァイオリン)/
オーエン・シュミット=マーティン(ヴィオラ)/エンマ・デントン(チェロ)
フィリップ・グラス(1937-)が本格的に弦楽四重奏のジャンルに足を踏み入れ
たのは、いくつかのオペラや映画音楽を書いた後のことで、それ以来、この
ジャンルにおける彼の貢献度は非常に高いものになりました。このアルバムに
は 4つの作品が収録されています。1966年、フランス時代に書かれた第1番は
まだ禁欲的ですが、その後の作品はどれも特徴的で幾分強迫観念的な響きを持
ち、聴く者を不安に陥れ絶望の淵でうごめかせると共に、仄かな美しさを感じ
させます。魅惑的な第2番、清廉潔白な響きに満たされた映画音楽「ミシマ」
から派生した第3番、最小限の音形が爆発的なエネルギーを有する瞬間を楽し
む第4番、これらの独特な音楽は、多くのファンをつかんで離すことはありま
せん。
8.570353
ランジバラン:覚醒・エレジー他
1.覚醒/2.常動曲/3.チェロと弦楽合奏のためのエレジー/4.弦楽のためのエ
レジー/5-10.ヴァイオリン・デュオのための6つのカプリース/11-13.弦楽四
重奏曲
演奏:セジョンのソリストたち… 1-4/チェン・シ(ヴァイオリン)…2.5-10/
フランク・ホアン(ヴァイオリン)…5-13/ウェイン・リン(ヴァイオリン)…
11-13/ベス・グターマン(ヴィオラ)…11-13/オーレ・アカホシ(チェロ)…
3.1-13
イラン生まれでアメリカにベースを置く作曲家、ランジバラン(1955-)の作品
集です。「とても高貴で光り輝く思いつき」とアメリカの音楽ガイドでも大絶
賛された彼の音楽は、好奇心に溢れた聴衆の心をうまく刺激するようです。戦
争に関する平和の勝利を祝す「覚醒」、活発なエネルギーの放出が気持ちよい
「常動曲」、命の循環を音で描いた「チェロと弦楽合奏のためのエレジー」そ
して、そこから派生したチェロのためのエレジー。どれもが何かに突き動かさ
れるような煽情的な音楽です。ヴァイオリンの技法と音色を徹底的に追及した、
「6つのカプリース」、生命と夢、その他儀式めいたもの全てを包括する弦楽
四重奏曲も、屈強なる意志の力を感じさせる逸品です。
8.572221
ベートーヴェン:弦楽五重奏曲集
1-4.弦楽五重奏曲ハ長調 Op.29/5-8.弦楽五重奏曲ハ短調 Op.104/9.フーガ
ニ長調 Op.137
演奏:ジル・シャロン(ヴィオラ)/ファインアーツ四重奏団
ラルフ・エヴァンス(ヴァイオリン)/エフィム・ボイコ(ヴァイオリン)/チャウ
ンシー・ペターソン(ヴィオラ)/ヴォルフガンク・ロイファー(チェロ)
かなりのベートーヴェン・ファンでもなかなか手を出さないジャンルの一つ、
弦楽五重奏曲をお聴きいただきましょう。何しろ、4曲ある弦楽五重奏のうち、
1曲はこの盤にも収録されている単一楽章のフーガ Op.137であり、Op.4とさ
れる1曲は、自身の八重奏曲 Op.103のベートーヴェン(1770-1827)自身による
編曲であり、また Op.104は自作のピアノ三重奏曲 Op.1-3を誰かが編曲したも
の。純然たる弦楽五重奏は 1800年-01年に書かれた Op.29の1曲だけというわ
けです。こんな扱いだけど、決してベートーヴェンが手を抜いたというわけで
はないという事は、このアルバムを聴いていただければ納得するはずです。
弦楽四重奏に、ヴィオラが1本加わるだけでこんなにも幽玄な音色が生まれる
事実を再確認。そしてベートーヴェンの精緻な書法に改めて敬服。ファインア
ーツ弦楽四重奏団とヴィオラのシャロンの織り成す見事な演奏にうっとり。そ
して、飛ぶように駆け抜けるフーガに耳を奪われる・・・まさに通向けの音楽
です。
8.572177
ボッシ:主題と変奏 Op.115
1-9.主題と変奏 Op.115/10.5つの小品より「神聖なる家」 Op.132-4/11.英
雄的小品 Op.128/12.5つの小品より「喜びの時」 Op.132-5/13.聖フランチェ
スコの 3つの契機より「炎熱」 Op.140-1/14-16.小協奏曲ハ短調 Op.130a/
17.聖フランチェスコの 3つの契機より「つばめたちとの対話」 Op.140-2
演奏:ピエール・ダミアーノ・ペレッティ(オルガン)
☆イタリアのオルガニスト、エンリコ・ボッシ(1861-1925)の作品集です。当
時のイタリアはオペラ全盛でありましたが、彼は終生オルガニストとして活躍、
「イタリア器楽曲復興」に貢献した人です。また、ボッシはプッチーニの親友
であり、多くの示唆を彼から受けたことでも知られています。このアルバムは、
彼の素晴らしいオルガン作品を収録したもので、フランクから受け継がれた重
厚な音に、ドビュッシーの印象派的な響きを加えたこの時代特有の音色を心か
ら堪能できることでしょう。これらの曲をあますことなく弾ききったオルガニ
スト、ペレッティは 1974年生まれの新進気鋭。ウィーンを中心に世界中を飛
び回る名手です。
8.559633
ロックバーグ:ピアノ曲集第3集
1-13.パルティータ -変奏曲(1976)(前奏曲/間奏曲/ブルレスケ/葬列/即興曲/
深き鐘/バラード /狂詩曲/メヌエット /カノン/夜想曲/アラベスク/三声のフ
ーガ)/14.バッハによる(1966)/15.ソナタ -幻想曲(1956)
演奏:サリー・ピンカス(ピアノ)
ロックバーグ(1918-2005)のピアノ作品集第3集です。第1集(8.559631)や第2集
(8.559632)の難解で複雑な響きに比べると、この第3集に収録されている「パ
ルティータ -変奏曲」はどことなく耳に優しい瞬間もあり、聴き手はやすやす
と彼の世界へ引き込まれてしまいます。しかし、そこはロックバーグ。すぐに
音の迷宮へと私たちを連れ去ってしまうのですが・・・。古典的な手法から、
最先端の語法まで、様々なテクニックを用いて描かれた 12の作品には、悲劇、
原罪、愛など予測不能の世界が描かれていて、まさに目が覚めるほどの面白さ
です。なかでも「夜想曲」でのなりすましロマン派ぶりには誰しも唖然とする
ことでしょう。ハープシコード奏者、イーゴリ・キプリスのために書かれた
「バッハによる」は2人の作曲家による親密な対話です。暗く苦痛に満ちた
「ソナタ」にも時折抒情的な音が見え隠れするのがロックバーグの持ち味で
しょう。