goo blog サービス終了のお知らせ 

ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

タテスジヒメジンガサハムシ

2013年06月14日 | 動物:昆虫-甲虫目

 姫が被る陣笠

 戦国時代を舞台にしたテレビドラマや映画で足軽たちが被っているもの、それを陣笠という。上から見ると円形、横から見ると三角形の黒いやつ。薄い鉄、革、木などでできでいて強固では無い、銃弾を防ぐヘルメットのような役には立たない。武将たちは兜を被っている。兜は重い分、ヘルメットの役にはまあまあ立つものと思われる。
 姫が薙刀を手に敵を迎え撃つ際、彼女は兜も陣笠も被らない。

 「姫、危のうございます。兜を被りなさりませ。」
 「髪を結うておる。頭が大きくて兜など入らぬわ。」
 「ならば、陣笠だけでも被りなさりませ。」
 「たわけ、陣笠など足軽、雑兵が被るもの、わらわが被れるものか!」
 「いや、しかし、それでは鉄砲も弓矢も防げませぬ。」
 「えーい、煩い!白い手ぬぐいを持って参れ、気合で矢も鉄砲も防いで見せるわ。」

  なんてことがあったかどうか、少なくとも私がこれまでに観た「戦国時代を舞台にしたテレビドラマや映画」でそういうセリフを聞いたことは無い。が、私がこれまでに観た限りで言えば、姫、に限らず、戦場での女たちはたいてい白い鉢巻を締めている。

 ヒメジンガサハムシは「お姫様の陣笠のような形をしたハムシ」という意味では無い。ヒメは姫だが「お姫様」では無く、「小さなもの、可愛らしいもの」を喩えた姫。その通り体長5ミリ内外と小さい。可愛いかどうかは人それぞれの感性による。

 日本髪に上手く収まるような形で、兜のようにそれなりの厚みがある陣笠を当時発明していれば、姫、に限らず、戦場の女たちに売れたかもしれない、かな?

 
 タテスジヒメジンガサハムシ(縦筋姫陣笠葉虫):甲虫目の昆虫
 ハムシ科 琉球列島、台湾、フィリピン、インドなどに分布 方言名:不詳
 名前の由来、ハムシは広辞苑に「コウチュウ目ハムシ科の昆虫の総称・・・成虫・幼虫ともに植物の葉を食害」とあり、「葉を食害」でハムシ(葉虫)なのであろう。ジンガサは『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「成虫の形が戦場で武士がかぶった陣笠に似ているため」とあった。ヒメは小さいから、タテスジは上翅に黒い縦筋があるからであろう。
 2006年4月に本種とよく似た虫の写真を撮っているが、それには縦筋が無くて、本種の親戚であろうと思っていた。が、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「上翅中心部は金緑色で黒紋を有するが、なかには黒紋のない固体もいる」とあって、それは黒紋のない個体ということなのであろう。2012年8月に黒紋のある個体を見つけた。
 体長は5ミリ内外。成虫の出現は5月から10月。寄主はサツマイモ、ノアサガオなどのヒルガオ科植物。死ぬと、光沢のある金緑色は光沢の無い黄色に変わるとのこと。
 
 筋無し

 記:2013.6.8 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


雲の流れに身を任せ

2013年06月07日 | 通信-社会・生活

 今週は水曜日まで梅雨空、昨日(6日)は晴れて今日も晴れ。昨日は12時から2時の間は日陰で大工仕事をし、今日はガジ丸アップ作業があるので、畑仕事は9時頃には引き上げた。よって、今週は太陽がガンガン照りつける下での畑仕事は少なかった。
 先週は梅雨の晴れ間が続いた。太陽がガンガン照りつける中、日中も畑仕事をした。非常に暑かった。太陽はしかし、まだ本気では無い。7月8月が彼のマックスだ。5月、6月の太陽で参っていては、それこそ生きていけない。先週は、太陽はまだ助走段階だと判断して日中も畑仕事をしたわけだが、ギラギラ太陽に照りつけられて「死ぬ、もう死ぬ、これ以上太陽の下にいたら死ぬ」とブツブツ呟きながらの作業となった。

  水曜日は夜中から雨、夜が明けても雨、しかも土砂降りだった。午前10時を過ぎると小降りになったので出かけた。畑へでは無く法務局。実家の抵当権抹消手続き、そのための3回目の訪問。法務局には相談員がいて、諸手続きの相談を受け付け、必要な書類から書類の書き方まで教えてくれる。彼らの言う通りすれば大丈夫なはず。
 2010年に登記移転手続きを自分でやった。しかし、それはとても煩雑で、相談員も一遍に教えることは無く、行くたんびにあれがダメこれがダメとなって、完了までに半年も費やした。だったので、今回も「あと1、2回は通うことになるだろうな」と思っていたのだが、「これでいいでしょう、窓口へ提出してみてください」と相談員は言う。ということで、すんなりと抵当権抹消手続き書類を提出することができた。

  ところがである。相談員はやはり曲者だったのである。昨日、畑で草刈りをしている時に法務局から電話があって、「書類に不備がある」とのこと。足りない書類が2つあるとのことだが、その2つの書類は相談員に見せている。だけど、彼がそれを提出書類の中に含めなかったのだ。「司法書士を使わず、個人が簡単に手続き完了なんて、世の中そう甘くは無いぜ」と彼は私に教えたかったのだろうか?
 でもまあ、あと1回行けば終了するのだ。「アノヤロー!」などとは思わないようにしたい。事態はその(あと1回、法務局へ行く)ように流れる定めになっていたのだ。流れに身を任せ、淡々と目の前の作業をこなしていけば、いつかはゴールに辿り着く。
 ただ、あの日、窓口に書類を収めた後、相談員の部屋に行き、頭を下げ、「どうも有難うございました。お陰で無事に終わりました」と挨拶した。その時彼はどう思ったのかについては少々興味がある。「まだ終わってねーよ」とでも思っていただろうか?

 「流れに身を任せ、淡々と目の前の作業をこなしていけば、いつかはゴール」については、私はこれまで概ねそのように生きてきた。そのお陰で「貧乏で結婚もできない」身分となっているのかもしれないが、生きていればいいさ、生きていることそのものがゴールさと思っているので、貧乏も独りもさほど苦痛では無い。
 「流れに身を任せ」と言えば、農夫となった今は「雲の流れに身を任せ」という心境にある。「雲に乗ってのんびり漂いたい」ということでは無い。「農夫がその日一日どのように過ごすか」から「食って行けるかどうか」まで全ては天気次第ということ。雨が続いても日照りが続いても、淡々と目の前の作業をこなして行くしかない。
          
          

 記:2013.6.7 島乃ガジ丸


ヨツモンカメノコハムシ

2013年06月07日 | 動物:昆虫-甲虫目

 亀の子?亀の甲?

 自給自足芋生活を目指している私は、宜野湾の小さな畑にも西原のなっぴばるにも芋を植えてある。今でも掘ればたぶん食える芋が出てくるはずだが、雨のせいと、他にやるべき作業が多くあったという理由でしばらく芋掘りをやっていない。
 掘った芋を洗うのに私は束子(たわし)を使っている。なっぴばるにはナイロンの束子があって、それで大雑把に泥落としをし、家には昔ながらの亀の子束子があり、それで仕上げ洗いをしている。束子でごしごしやると皮も一部剥けてしまうが、昔ながらの亀の子束子は棕櫚(しゅろ)などの繊維でできていて、自然の有機物だ、ごしごしもちょっと優しい、皮もさほど剥けない。なので仕上げに使っているわけ。

 亀の子束子、広辞苑に「形が亀に似ているから」と名前の由来があった。「亀の子供に似ている」とまでは書いていない。亀は大人も子供も同じ形なので特に「子供」で無くても良いわけだが、ならば、何故、漢字で「亀の子」と表記するのか不明。

  カメノコハムシのカメノコ、名前の由来は「危険を感じると脚と頭を体の中に隠し、それが亀のようであることから」とあった。漢字表記は文献に無かったが、カメノコタワシ同様「亀の子」かもしれないが、私は「亀の甲」としたい。そうするとカメノコウハムシという読みになってしまうが、それでも「亀の甲」としたい。
 沖縄の伝統的な墓に亀甲墓というものがある。キッコウバカとも発音されるが、一般的にはカメコウバカと読む。ウチナーグチ(沖縄口)発音ではカーミナクーバーカとなる。形が亀の甲に似ているのでその名がある。カメノコハムシも亀の甲に形が似ている。ウチナーンチュの私としては、「であれば亀の甲であろう」と思ったわけ。

 
 ヨツモンカメノコハムシ(四紋亀の甲葉虫):甲虫目の昆虫
 ハムシ科 沖縄島以南、台湾、中国南部~インドに分布 方言名:なし
 危険を感じると脚と頭を体の中に隠し、それが亀のようであることからカメノコ、葉を食べることからハムシとつく。背に黒く模様が入っていて、それがヨツモンの名の由来と思われるが、黒い模様は4つの班でも無く「四」の形にも私には見えない。
 四つ門という字も思い付いたが、四つ門は「江戸時代の遊郭で、夜の四つ時に太鼓を打ち回って大門を閉じたこと」(広辞苑)で、関連は無さそう。
 体長8ミリ内外で、日本に生息するカメノコハムシ類では最大とのこと。背面はでこぼこしている。上翅と前胸背板の縁が外にせせり出ていて、そこに脚、頭を隠す。
 成虫の出現は6月から11月。寄主はノアサガオ、サツマイモ。

 記:2013.5.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行