ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

粋より恋

2013年06月21日 | 通信-社会・生活

 先週、野暮と粋の話を書いたが、その続き。
 先ずは言葉の説明(広辞苑による)から。「野暮」は「世情に通ぜず人情の機微をわきまえないこと。特に、遊里の事情に通じないこと」(全文)。
 「粋」は「人情の表裏に通じ、特に遊里・遊興に関して精通していること」(第二義抜粋)のこと。つまり、「人情の機微」をわきまえていると粋、わきまえていないと野暮、あるいは、「遊里の事情」に通じていると粋、通じていないと野暮となる。
 で、私は「人情の機微」においても、「遊里の事情」においても全くの野暮であると前回書いたが、これについては自他共に反論は無い。

  「粋なオジサン」または「粋な爺さん」と呼ばれるような者に私はなりたいと思っているが、粋はたぶん、私のような生き方をしていては身に付かない。「人情の機微」についてはこれからの努力で何とか通じることができても、「遊里の事情」についてはもはや手遅れ。いまさらそれに通じるなんて、ほとんどその意欲も元気も無い。
 無粋な私に比べ、大阪市長はきっと粋な人に違いない。遊里の事情、風俗の事情に詳しいと思われる。風俗を商売にする女はいつの世にでもどこにでもいる、それを利用したい男だっていつの世にもどこにでもいる、社会の裏とはそんなもの、なんてことをよく御存じなのであろう。「人情の表裏に通じ、遊里・遊興に精通している」に違いない。

 「粋な人」の「な」を取り除いた「粋人」という言葉がある。「いきびと」では無く「すいじん」と読む。粋人には3つの意味があって、広辞苑によると以下、
 1、風雅を好む人。
 2、世態・人情に通じた人。さばけた人。通人。
 3、花柳界・芸人社会などのことに通じ、行動がおのずからその道にかなっているような人。
 とある。私がこの先努力して粋人になれるかどうか検証すると、「3」の意味でははとうてい無理、「2」は奮闘努力をすれば到達できるかもしれない。「1」は、これは多少の努力をすれば何とかなりそう。風雅にもいくつか意味があって、「みやびなこと」という意味ではとうてい無理だが、文芸という意味では、私は文章を書いている。このまま書き続けて行けば、いつか私の作文も文芸の域に達するかもしれない。

 さて、夢の話はこれくらいにして、現実の話。
 粋な人である大阪市長さんはまた、これは私もそうであると自負しているが、正直な人だと思う。若い男が風俗産業を必要としていることは事実だと思うし、沖縄在の若い兵士たちが下半身の欲求を持て余していることも当然の事と私も思う。彼らに必要とされて風俗産業が存在し、お姉さんたちも生活ができている、はずだ。
 遊里の事を悪所とも言う。下半身の欲求を持て余していた若い頃、私も悪所に通ったことがある。2度だけある。たった2度の経験だが、結論としては「好きでも無い女の裸に触れてもちっとも楽しく無い」だった。女であれば誰でも良いという男もいるだろうが、しかし、私は言いたい。「恋せよ若い兵士達」、その喜びが数段上。
          
          

 記:2013.6.21 島乃ガジ丸


ヨツメオサゾウムシ

2013年06月21日 | 動物:昆虫-甲虫目

 優れ者?

 沖縄では地方公共団体の一種である○○村のことを「○○ソン」と発音する。例えばクニガミソン(国頭村)、オオギミソン(大宜味村)、ナキジンソン(今帰仁村)、イゼナソン(伊是名村)、イヘヤソン(伊平屋村)などなど、沖縄の村の全ては○○ソンと発音される。倭国(他府県)ではしかし、概ね○○ムラとなっている。
  そうやって訓読みするからには、村長も訓読みしたらどうかと思う。「私んところのムラオサは保守系でのう、弱者に対する思いやりが足りないんじゃ」とかだ。何だか柔らかい語り口に聞こえる。「しょうがないのう、金を持ってくるからいいが」みたいな。
 村長は、広辞苑によると、ムラオサと読んで「一村を治める長」となり、ソンチョウと呼んで「地方公共団体である村の最高責任者」となる。どちらも同じ地位のことを言っているが、後者は「法律的に定められた」みたいな意味が含まれていると思う。

 オサゾウムシのオサが何を表しているのか考えている時、すぐに思いついたのが長であった。体長が細長いからだろうとの理由。ただ、広辞苑でオサ(長)を引くと、「最もすぐれたもの」という意で、「長い」という意は無い。チョウ(長)もオサとほとんど似たような意味となっている。長は「長い」と形容詞になって初めて「長い」となる。
 というわけで、まあ、重箱の隅を楊枝でつつくようなことで、どっちでもいいやと思われるだろうが、オサゾウムシが「ゾウムシに似た体長が長めの昆虫」というのであれば、ナガゾウムシという名前の方がより正確ではないかと思ったのだ。
  「石橋を叩いて渡る」ようなことから程遠い性格の私だが、この時は「いや、待てよ」ともう一度考え直してみた。「もしかしたらさ、甲虫の中では最もすぐれたものかもしれないぞ。だからわざわざオサと呼んでいるのかもしれないぞ」と考えた。「例えばさ、何か必殺技を持っていて、カブトムシにもクワガタムシにも喧嘩して負けないとかさ」と思った。のであったが、文献をいろいろ調べてみたが、そのような情報は無かった。

 ちなみに、同じオサゾウムシ科にはあの有名なコクゾウムシ(穀象虫)もいる。人間の食べる穀物を食っているのだ、米を食っているのだ、他の甲虫に比べると知能が高いのかもしれない。であれば、「優れ者」と言えるかもしれない。

 
 ヨツメオサゾウムシ(四つ目長象虫):甲虫目の昆虫
 オサゾウムシ科 奄美諸島、沖縄諸島、八重山諸島、台湾などに分布 方言名:不詳
 名前の由来、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「上翅外縁の基部と翅端部に1対ずつ、計4個の黒紋をもつ」ことからとあり、ヨツメ(四つ目)はそれで分かる。ゾウムシは広辞苑に「象の鼻状に長く突き出した口吻をもち」とあることから分かる。が、オサについては資料が無く不明。オサゾウムシ科というゾウムシ科とは異なる科で、おそらく、ゾウムシ科に比べ、全体が細長いのでオサ(長)と付いたのではないかと思われる。
 ちなみに、オサゾウムシ科にはあの有名なコクゾウムシ(穀象虫)がいる。子供の頃、家の米櫃にいたのを何度も目撃しているが、大人になってからは見ていない。
 灰色粉が黒紋の周りを縁取っていて目のように見える。その灰色粉は落ちやすいとのこと。「生息地は林地や山地で、しかも局地的である」とあった。私の畑で発見。体長は12ミリ内外。成虫の出現は2月から8月。寄主はゲットウ、クマタケラン類。
 
 横から

 記:2013.5.28 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行