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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

捌けた相棒

2017年10月27日 | ガジ丸のお話

 新しい安アパートは以前住んでいた首里石嶺のアパートに似て、1階2世帯の2階建てで、掃き出し窓のある部屋の外は小さな(3坪ほど)庭が付いている。庭は駐車場の傍にあり、フェンスで区切られている。私はその1階に住んでいる。
     
 引っ越してから数ヶ月後、私の庭の傍に若い女性がポツンと立っていた。可愛い女性であるが、髪の毛、化粧から見て「元ヤンキー」のような印象。私は、可愛い女性に声を掛けるのは得意な方なので、目が合うとすぐに「どうしましたか?」と訊いた。
 「ここ借りるつもりだったけど、断られちゃった。」と答える。確かに、1階のもう1世帯は空室となっていた。何で断られたかについては、「身分がちゃんとしていないからだと思う」と本人は言うが、見た目の影響もあるんじゃないかと私は思った。
     

 「住むところが無いの?」
 「今、借りているところがまだある。」
 「何処?ここから遠いの?」
 「歩いて1時間近くかかった、西原町の○○です。」
 「そこからここまで歩いて来たんだ、バスもあるだろうに。」などとユンタク(おしゃべり)している内に私は彼女に惹かれていた。で、
 「送っていくよ。」、「ありがとう。お世話になります。」となった。

 私は当然、車で送っていくつもりであったが、車は何故か前に勤めていた会社の駐車場に置いてあった。で、2人で歩いて前の会社へ行く。が、会社は宴会でもあるようで、駐車場は一杯で、奥に停めてある私の車は出せそうに無かった。で、車は諦める。
 「バスで行こう。バスも覚えておくと役に立つよ。」となる。
 
 バスに乗って後側のシートに座る。座ると彼女はすぐにもたれかかって来た。「摩れた女だなぁ、夜のお仕事をしているんだな、きっと。」と思った。バスの中に客は我々以外に数名いたが、みな前の方の席で、後ろを振り向く人はいない。それもあってか、彼女はさらに大胆になり私に抱きつくようにベッタリくっつき、そして、目を閉じた。
 彼女は甘い匂いがした。甘い匂いは淫靡な匂いとなって私の脳を刺激し、私の股間を刺激し、そこはビンビンに堅くなった。彼女の腕が私の股間に当り、それを察知すると、彼女は上目遣いに私を見て、そこを手で撫でてニヤッと笑う。「刺激するんじゃないよ、こんなところで抱けるわけ無いだろ」と言うと、「そうだね」と大人しくなった。「摩れた女だなぁ」と、またも思った。やはり、元ヤンキーだったに違いない。
 その時、私にもたれていた体を起こして、窓の外を見た彼女は、「あっ、この辺だよ私の家」と言って、下車ボタンに手を伸ばした。その手を押さえて、
 「今は立てないから次のバス停にしよう。」と私は言う。
 「何で立てないの?」
 「下が立っているから。」というと、「あー、そっ」と彼女は納得した顔をしてニコッと笑った。あいにく、その時私はユルユルのズボンを履いていたのだ。
     

 1つ乗り越したバス停から歩いて彼女の家に向かう。田園風景を少し歩くと、すぐに建物が多く集まった集落になり、そこに彼女の住む家があった。建物は2階建てでまあまあ大きい。玄関から中へ入ると、右手の部屋に小さな女の子2人を含む一家族がいた。父親母親と思われる2人に会釈して、左手にある階段を彼女の後に続いて上がった。
 2階に上がるとダイニングキッチンがあり、その正面と左右にいくつかのドアがあり、そのドアの1つを彼女は指差して「あそこが私の部屋」と言う。バスの中での後始末をしてもらおうと、彼女の指差したドアへ歩きだした私を彼女は止めて、「先ずは、コーヒーでもいかが、そこに座って」と彼女は私を食卓の前に座らせ、お湯を沸かし、コーヒー豆をミルで挽いて、ドリップでコーヒーをいれ、私に飲ませてくれた。美味かった。
 その時、彼女の部屋ではない別の部屋のドアが開いて若い男が出てきた。男は私を見て軽く会釈して、階段を下りて行った。コーヒーを飲み終わる頃にはまた、別の部屋のドアから、別の若い男が出てきて、同じく私に会釈して、彼女を呼んで、少し離れたところでひそひそ何やら声を交わして、そして同じく階段を下りて行った。
 「同居人がいるんだ?今流行りのルームシェアーってやつか?」
 「そう、私の他にもう1人女の子がいたんだけど、2ヶ月前に出て行った。」
 「で、女1人では危険だからあなたも出て行くってこと?」
 「危険って?あれのこと?」
 「うん、男2人に襲われたりしないかってこと。」
 「Hはいいのよ。私は気持ち良くさせて貰っている方なんだから。」
 彼女はそう言いながら、使ったコーヒーカップなどを洗って、それを食器乾燥機の中に仕舞うと、私の方を向いて、「する?」と訊く。面白い女だと思った。捌けている。

 「いや、もう少し話をしよう。・・・だけど、引っ越そうと思ってるんだ。」
 「うん。出て行ったもう1人の女の子、ナツキって言うんだけどね、彼女、料理が上手だったの、私もまあまあ料理はできるから一緒に食事するのが楽しかったんだ。男は2人とも料理しないし、掃除とかもあまりしないし、Hタイム以外は楽しいことが無いのさ、だから、出て行く。来月にはさっきのアパートに越しているつもりだった。」
 「そういうことか。ところで、家賃を支払い、生活できる稼ぎはあるの?」
 「うん、それは大丈夫、昼間はスーパーで、週末は夜のお仕事している。」
 「それなら、私があのアパートの大家さんに話をつけてあげよう。」

 ということで、それから1ヶ月後、彼女は私の部屋の隣の住人となった。引っ越してから数週間後には、彼女は時々、私の部屋に上がり込んで、食事したり、酒飲んだりするようになった。一緒の時間を過ごすことが日を追う毎に長くなっていった。
 彼女は、女にしては正直だった。彼女の言葉は概ね真っ直ぐであった。最初会った時に「摩れた女」だと思ったが、それは間違い。大人になっても天真爛漫が残っていると言い換えた方が近い。「捌けた女だ」とも思ったが、それは概ね正しい。捌けた女は私の好物である。半年後には半同棲みたいになった。私に捌けた相棒ができた。
     

    ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 

 2017年10月の沖縄、日中、陽が射していると「バッカじゃないの?」と太陽に怒鳴りたくような天気が続いているが、朝夕は幾分涼しくなり、窓を開け、扇風機で外の空気を流し込めば、夜はグッスリ眠れている。グッスリ眠れると私は多くの夢を見る。夢はハッキリクッキリしたものも多く、そのいくつかは起きても覚えていた。
 上の文章は10月に見た夢の1つ。何年かぶりの淫夢で、登場した相手の女性が可愛かったし、夢の内容も概ねはクッキリ覚えていたので文章にした。あらすじとしては上記の通り、細かい所は、覚めてから想像し付け加えた箇所も多くある。他人の夢の話などつまらないかもしれないけど、せっかく書いたのでブログに載せることにした。

 ちなみに、摩れるは「世の中でもまれて純真さを失う。馴れ馴れしくずるくなる」(広辞苑)という意、捌けるは「世なれていて物わかりがいい」(〃)という意。2つとも別の意もあり、上記の意は2つとも、広辞苑ではその第三義として載っている。

 記:2017.10.21 島乃ガジ丸 →ガジ丸の生活目次