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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アトモンチビカミキリ

2017年10月27日 | 動物:昆虫-甲虫目

 さらに小さなカミキリムシ

 先週の記事『アヤモンチビカミキリ』で「カミキリムシを触るのは嫌であった」と書いたが、もうたっぷりオジサンとなった今でも、カミキリムシを好んで触ったりはしない。畑には時期(梅雨時)になるとゴマダラカミキリが頻繁に姿を見せる。そいつらはシークヮサーの木に卵を産み、その幼虫が幹に入り込んで木を枯らす、農夫の敵である。

 ここ2、3年姿を見せていないが、近所の大先輩農夫にN爺様という御人がいて、爺様がまだ毎日のように畑に来ていた頃のある日、爺様の畑を訪ねた。爺様は主にシークヮーサーを栽培している。爺様は、私に畑を案内しながらシークヮーサーの枝にしがみついていたゴマダラカミキリを見つけると、90歳前とは思えない素早さで、右手でむんずと掴み、左手でその頭を掴んで首から先を引き千切って退治しているのを見た。
 「凄い、野生人だ」と私は大いに感心した。私もいつか爺様のような逞しい人間になりたいと思った。しかし、それから3年ばかり経っても、全くできずにいる。

 先週紹介したアヤモンチビカミキリは体長10ミリ内外と小さなカミキリムシであったが、今週紹介するアトモンチビカミキリはさらに小さなカミキリムシ、体長はわずか5~7ミリ内外。その程度なら私は手で掴める。見つけた時は手袋をしていたが、素手でも大丈夫と思う。一昨年(2015年)私の畑で見つけたものだが、私は捕まえてもその首をへし折ることはせず、写真を撮ったら逃がしてやった。何しろ小さくて首を摘むことができなかった、からでは無く、本種が農夫の敵であるとは思えなかったから。
 
 アトモンチビカミキリ(後紋ちび天牛):甲虫目の昆虫
 カミキリムシ科 四国、九州、南西諸島、台湾に分布 方言名:カラジクェー
 名前の由来は資料が無く正確には不明。漢字表記の後紋は私の想像だが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「上翅後方に黄白色の大型紋がある」とあり、そこからアトモン(後紋)だと思われる。チビは体長が5~7ミリ内外と小さいからであろう。カミキリムシについては、その漢字表記が天牛、または髪切虫と広辞苑にあり、「口の左右に鋭い大顎があって、竹木類を咬むことがある」ということから髪切だと思われる。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「各種の枯枝に、・・・きわめて多い」とあったが、ボンヤリ者の私の目には付かないようで、2015年の1回切り、本種を見ていない。
 その近似種のアヤモンチビカミキリとの違いも書かれており、「アトモンチビカミキリは上翅後方に黄白色の大型紋があることで・・・区別される」とあった。
 体長は5~7ミリ内外。寄主は不明。成虫の出現、倭国では5月から7月。
 
 横から

 記:2017.10.13 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『日本原色カメムシ図鑑』友国雅章監修、全国農村教育協会発行
 『原色昆虫大圖鑑』中根猛彦他著、株式会社北隆館発行