ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

クロトゲアリ

2019年06月26日 | 動物:昆虫-膜翅目(ハチ他)

 生きてるぜ!

 例年だと23日頃には梅雨明けとなるが、今年の沖縄は梅雨明けが遅い、週間天気予報では今週土金曜日まで雨マーク、梅雨明けは1週間遅れの30日になりそうだ。
 昨日25日、近所の公園からクマゼミの鳴き声が聞こえた。クマゼミは例年だと芒種から夏至の頃に鳴き出すので、まあ例年通り。アブラゼミも例年通り小満から芒種の頃に鳴き始めている。雨は鬱陶しいが、彼らの声を聞いていると「生きてるぜ!」を感じる。

 昔のことを思い出しては懐かしむ、という年齢に私もなってしまっている。いやいや、「なってしまっている」という言い方は失礼だ、「ならせていただいている」と言い換えよう。パソコンの中のこれまでに撮った写真を収めているフォルダを覗いていると、写真を撮った時のことが思い出され、懐かしさで涙が・・・。
 というのは少々大げさな言い様だが、先週、『オオシワアリ』を紹介したが、それも含め今回のクロトゲアリも畑仕事に精を出して元気だった頃の写真。その頃は自給自足芋生活は可能だと信じ、その夢に向かって真っすぐ歩いていた頃、私にとっては生きるに迷いの無かった幸せだった頃である、思い出せば、懐かしくて抱きしめたい感情もあり、腰に無理をさせていた後悔もあり、あれこれ思いが巡り、懐かしさで涙が・・・。

 であったが、クロトゲアリ、その名前を見ている内に元気が出てきた。「私、黒い棘があります。」と美女がニヤッと笑う、のを想像して元気を得た。彼女はおいでおいでと手招きする。「どうぞこちらへ」と私を呼び、近付くと私を捕まえ、一瞬にして私をノックアウトする。意識が薄れゆく中で「ようこそ、黒棘有の館へ」と彼女の声が聞こえた。
 まぁ、何というマゾ的妄想。しかし、そこから隠微な世界が、悦楽の世界が、浦島太郎の経験した竜宮の世界に甘いエロがたっぷり加わった世界、「生きてるぜ!」と思わず叫んでしまいそうになる妖艶の世界が広がっていく。そんな想像で楽しくなった。
 
 クロトゲアリ(黒刺蟻):膜翅目の昆虫
 アリ科 沖縄~八重山諸島、台湾、フィリピンなどに分布 方言名:アイ、アイコー
 名前の由来は『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「働きアリは体が黒色」とあり、そこからクロ(黒)、「前胸に刺があり・・・後胸刺は・・・」からトゲ(刺)とつくものと思われる。前胸刺は前外方へ向かい、後胸刺は長く鋭く上外方へ向かうとのこと。
 小さいのでその刺には気付かず確認も難しいが、「腹部は球形で大型」という特徴から写真のものが本種であると判断する。「全身に剛毛と淡黄色の軟毛を密生する」、「雌は前胸刺を欠き、後胸刺は太く短い」などについても確認不能。
 「灌木林や背丈の高い草地に生息し、木の枝や雑草の茂みの中に40センチ径・・・巣を作る」については、畑の、高さ2mほどのパッションフルーツのツルと葉の茂る所に巣があったので、ほぼその通り。巣は製作途中だったのか、径は20センチほどだった。
 体長は働きアリが6ミリ内外、雌は8ミリ内外。日本では沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島に分布し、日本本土にはいない南方系のアリのようである。
 
 巣

 記:2019.6.23 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行