今週日曜日(10月9日)、近くで運動会らしき行事があった。「次は○○競技です」とか、「がんばれ、がんばれ」とかいうアナウンスが朝から聞こえていた。どこの学校なのかは不明。引っ越してから近所の散歩をまだしていないので、近くに何という小学校、または中学校があるか知らない。まあ、なんにしろ運動会の季節ではある。
子供の頃、運動会は好きでなかった。成長期も終わる頃の中学三年になって急に速くなり、リレーの選手にも選ばれたりしたが、小学校の運動会のかけっこではいつもビリか、ビリから2番目だった。栄冠を得たことは一度も無い。
栄冠とは「勝利の印として与えられる冠」のことだが、そういってすぐ思い浮かぶのは月桂冠、月桂冠といってすぐに思い浮かぶのは日本酒の銘柄だが、ここでいう月桂冠とは「古代ギリシアで、月桂樹をアポロン神の霊木とし、その枝葉を輪にして冠とし、競技の優勝者などに被らせて賞讃の意を表したもの。」(広辞苑)のこと。
ゲッケイジュは栄えある木なのである。神木なのだ。尊い木だ。ところが私は、ゲッケイジュというと月桂冠よりも先にローリエという言葉が思い浮かぶ。ローリエという名前よりもなお先にビーフシチューが思い浮かぶ。牛肉をよく食べていた頃、料理にたっぷり時間をかけていた頃、ビーフシチューもよく作った。シチューの素なんて使わない。ワインで煮込んで小麦粉でとろみをつける。その時、ローリエは欠かせなかった。
ゲッケイジュ(月桂樹):庭園・香辛料
クスノキ科の常緑高木 地中海地方原産 方言名:不詳
名前の由来は資料が無く不明。ちなみに、桂は、日本ではカツラ科の落葉高木カツラを指すが、中国ではモクセイ科の常緑中木ギンモクセイ(銀木犀)のこと。ギンモクセイは花が香ることで有名、本種は葉が香る。その辺の繋がりがあるかもしれない。
香りのある葉はローリエ、またはベイリーフと呼ばれ、香辛料として主にシチューなどの肉料理に利用される。実にも同様の香りがあり、葉と実からは月桂油が採れ、香辛料に用いる他、香水にも利用されるとのこと。
花は淡い黄色で小さく、あまり目立たない。開花期は4月下旬から5月とのこと。沖縄では環境が合わないのか、職場のゲッケイジュ、今年4月初めから5月にかけて観察し、花芽らしきものは確認しているが、それが開いたのは見ていない。
高さは5~10mで、民家の庭にも使い良い。日当たりを好む。小枝や葉を用いて、勝利者の栄冠とされる月桂冠が作られる。
葉
記:島乃ガジ丸 2011.10.11 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行