ウコンは既にこのHPで紹介済み。記事を書いてアップしたのは2004年7月14日となっている。そうかもう15年も前になるか。まだ両親とも生きていた頃、首里石嶺のボロアパートに1人住んでいた頃、まだバリバリ働いていて、時には現場に出て肉体労働をしたっぷり汗をかいていた頃、酒もたっぷり飲んで健康だった頃だ。
ノスタルジーはさておいて、15年前ウコンを紹介した時、ついでに同頁でキョウオウとガジュツも紹介している。ウコンはアパートの畑にウコンがあり、葉も花も根茎も何度も目にし、写真も撮っていた。が、キョウオウとガジュツには長い間会えなかった。
ガジュツについては先週、「2017年6月に畑で遭遇した」と書いた通りだが、キョウオウにはその後もずっと出会えなかった。去年2018年6月から薬草の勉強を始めているが。参考文献の多くに載っているキョウオウ。春ウコンという名前で沖縄ではよく知られた薬草なのに、私はまだ見たことが無い。「探そう」と思って、薬草に詳しい友人のKにキョウオウのありそうな場所について訊くと、「知念辺りの畑を回ればあるよ、葉の裏を触ればウコンとキョウオウははっきり区別できる」とのことであった。
Kからそれを聞いて数日後、たまたま南風原町に住む叔父の家を訪ねる機会があった。叔父の家の庭は、一部畑になっていて、そこに薬草の類も植えられてあった。それを思い出して庭へ回る。ウコンに似たものがあった。葉の裏を確認する。一触瞭然だった。
ウコン 秋ウコン 葉はツルツルしている。秋に白い花。
ガジュツ 紫ウコン 葉の中央に紫の線が入っている。花色は赤紫。
キョウオウ 春ウコン 葉の裏がビロードのよう。春に桃色の花。
キョウオウ(薑黄):薬用・染料
ショウガ科ウコン属の多年草 インド原産 方言名:ヤマウキン、ハルウッチン
正式名称を「キョウオウ」漢字で書くと「姜黄」と言うが、渡来した時に何かの誤解があったのか、中国では本種がウコン(鬱金)と呼ばれる。根茎は黄色で、薬用となる。春に花を付けることから別名ハルウコンといい、沖縄ではこれが通り名となっている。
根茎は黄色で、アキウコンに比べると苦みが強く、食用には不向きとされている。アキウコンに比べると薬効成分が多いので健康食品などに多く使われる。植物の葉や茎、根等に含まれる精油成分が動脈硬化予防やコレステロール分解、ガン抑制の効果を持つ。秋ウコンに比べてクルクミンの量は少ないが、食物繊維は豊富に含まれている。
開花期は春、紅味を帯びた白色の花を穂状につける。根茎は黄色。葉の裏はビロードのようになっている。根茎は薬用の他、黄色染料にも使われる。
葉
根茎
ちなみに学名
ウコン Curcuma longa
キョウオウ Curcuma aromatica
ガジュツ Curcuma zedoaria
記:島乃ガジ丸 2019.8.11 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行