ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

お芋の木

2018年03月23日 | 通信-科学・空想

 人類が飢えの恐怖から解放されるような、例えば、食料を安定供給してくれる作物、例えば芋(サツマイモ)が果実として年中収穫でき、その木が1本あれば大人1人が飢えから解放される、そんな果樹があればいいなぁと私は何年も前から想像していた。食ってさえ行ければ、そして、強欲を出さなければ人生は何とかなるという考えが基本。

 「やー、お昼食べてるんだね、何それ?美味しそうだね。」
 「山芋、のようなものよ、生で食べてるんだけど美味しいよ。」
 「山芋の、”ような”って何だ?山芋じゃないの?」
 「地中にできる芋じゃなくて、これ果実なのよ。味も栄養も山芋に近いけど。」
 「えーっ、そんな木があるの?面白いなぁ。その木、近くにある?見てみたい。」
 「近くに何本かあるけど、私の家の庭にもあるよ。」
 ということで、私は興味を持って、彼女の家へその木を見に行った。

 「ほらそれ」と彼女は1本の木を指差しながら、指差した木に近付きながら「あれが果実」と、木の枝にぶら下がっている見た目が山芋状の果実に指先の向きを代えた。
 「ほうこれか、この木が1本あれば毎日の酒の肴に困らないのか、いいなぁ。」
 「酒の肴じゃないよ、人間が生きるための食料よ。でもさ、人間の食料っていうなら今はこれよりもっといいのがあるよ。お芋の木っていうんだよ。」
 「オイモノキってことは、お芋の木、サツマイモが果実となる木ってこと?」
 「そう、その通り。見た目はともかく、含まれる栄養と味は芋とほぼ同じ。それもここにあるよ、3年前に植えて今年から実を着けるようになったよ、ほら、あれ。」
 そこには確かに、サツマイモに見た目の似た果実がいくつも生っていた。
 「他の人の家に生っていたのを食べたことがあるけど、蒸かして食べたらほとんどお芋と一緒だったよ。」とのことであった。
 「山芋の木」はともかく、「お芋の木」は食料の安定供給に大いに役立つに違いない。人類の未来に大きな安心が見えたように私は思った。その後、その木を発明した農業試験場のR博士を紹介して貰い、詳しく話を聞こうと博士を訪ねた。
 博士によると、「山芋の木」の正式名称はヤマイモキ、「お芋の木」の正式名称はオイモキと言い、「リスが木の実を食料とするように我々の食料も木の実から完全供給できないかと長年研究し、数年前にやっと完成したものだ。」と語った。
     

 腰痛となって気分が落ち込んでから、私の肉体的老化がぐんと進んだように思う。先ずはマラ、それ以前も滅多に無かったが、ここ半年は硬くなるということがちっとも無かった。そして眼、老眼が一気に進んだ、本を読む時だけでなく、大工仕事中にも老眼鏡が必要となった。そして歯も、このあいだ、奥歯の1本の半分が抜けた。その他、白髪がぐんと増えた。食事中に食べ物をこぼすことが増えた。歩いて躓くことも増えた。
 たぶん、気分が落ち込んで私の「気」の力が弱っているのであろう。「気」の力が弱ったせいで腰痛が酷くなり、老化が進んだのかもしれないと思った。ということで、「山芋の木」と「お芋の木」を思い付いた。「山芋木から、お芋木から」ってこと。
     

 記:2018.3.23 島乃ガジ丸