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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

採集生活という野望

2013年07月26日 | 通信-環境・自然

 テレビはもう2年前から観ていない。新聞はもう何年も前から取っていない。参院選の結果はラジオから聴く。時代は流れるように流れるので言うべき感想は特に無い。
  そんなことより雨が降らない。沖縄気象台の資料によると那覇は6月18日にまとまった雨があって以降は降っていない。私の日記による西原町のなっぴばるは、同じく18日は大雨とあり、7月2日に1時間ほどスコールの土砂降りとあったが、それ以外は無い。
 なっぴばるには雨水を溜める水タンクが2個あり、合わせて3tの容量があるが、まだ半分近くは残っている。毎日水やりをしてもあと2週間分は十分あると思う。しかし、2週間過ぎてもなお雨が降らなければアウト。じつは、畑小屋の裏に沼というか、直径2mほ どなので水溜りと言った方いいかもしれないが、そこはいつでも水が張っていて、「湧水から流れ来て溜まっているのだろう、枯れることは無いだろう」と思っていた。が、しかし、その沼の水も枯れた。湧水も雨が降らなければ湧いてこないということだ、たぶん。
 畑の野菜たちの内、ビート、ニラなどは最初から水をやらない育て方をしているが、キュウリ、モーウイ、ピーマン、ナス、オクラなどは過保護にしてきたせいで水をやらなければ枯れてしまう可能性が高い。実際、キュウリ数株、スイカ、ピーマン等はおそらく水不足で枯れてしまっている。「乾燥にも負けない丈夫な育て方をしなければ」と思った。
          
          

 一ヶ月ほど前、畑小屋で一服していると、なっぴばるの南隣の畑から爺様が一人やってきて、話しかけてきた。爺様は名前をHさんといい、歳は80歳。その畑の持ち主とのこと。そこで実際にハルサー(農夫という意のウチナーグチ)をやっている人はTさんという。Tさんに畑地を貸している地主さんということだ。Hさんは他にも畑があり、そこは自分でやっているとのこと。「年寄には広い面積の畑をやるのは難しいさぁ」とのこと。
 H爺様は1時間近くいて、素人農夫の私に役に立つ話をいろいろしてくれた。その中で一つ、「これは実行してみよう」と思ったのがナンクルミー野菜作り。「作物は野菜でも果物でも一つ二つは熟させて、それをそのまま畑に投げ捨てたらいい。それらの種は時期が来たら勝手に芽生えてくる。勝手に芽生えたものは美味しいさぁ」と爺様は言う。
  ナンクルミーは沖縄語辞典にも載っている由緒正しい言葉で、「自生、野生」という意。H爺様によると「ナンクルミーの植物は丈夫でもある」とのこと。そういえば、ナンクルミーしている雑草たちは日照りが続いても枯れることは無い。ということで、なっぴばるの一部、約15坪ばかりはナンクルミー野菜のための畑にしようと決めた。一度草刈りして、そのついでに薄く耕して、刈った草で地を覆い、そこに熟したオクラ、ゴーヤー、モーウイ等を丸ごと投げ捨て、また、その他の種をばら撒くことにした。

 なんくるみー畑の範囲決定、草刈り、刈草によるマルチング(覆うこと)を昨日までに終え、既に種を着けているサクナ、シュンギク、フダンソウの種をばら撒いた。その範囲一帯の名前も考えた。「なんくるみー畑」ではまずい。それは静岡のまり子さんが既に使っている。なので、「なんくるみばる」とした。「なんくるみー畑」と全く同じ意味。沖縄語では畑をハルと言う。ナンクルミバルは語感が良い。「なんくる芽生える」とも聞こえる。
 ナンクルミバルの作物たちは勝手に生えたもの。自然に生えたものを採集して食う縄文人の生活みたいだ。のんびり生きていたらしい縄文人の生活に私は憧れている。
          

 記:2013.7.26 島乃ガジ丸


ミナミコメツキガニ

2013年07月26日 | 動物:魚貝類

 手の平の上のカニ

 カニはハサミを持っていて、うっかり掴もうとするとそのハサミに挟まれて痛い思いをすることを、私は子供の頃の経験で知っている。なので、生きているカニを掴む時は注意して背中側から甲羅をしっかり掴むようにしている。したがって、手のひらの上にトンボやチョウ、カナブン(ハナムグリ)、バッタなどの昆虫、あるいは、カエルなどが乗っかっても何とも思わないが、カニを手の平の上に乗せようとは思わない。

 去年の年末から今年の正月にかけて小豆島に住む友人Oが8泊9日の日程で沖縄に遊びにやってきた。その頃既に畑仕事に忙しくしていたので、私はほとんど相手ができず、彼は一人で観光した。滞在中の2日目から4日目にかけては八重山の旅を楽しんだ。
 彼が石垣から那覇へ戻ってきた夜、一緒に飲みに行く。そこで彼の石垣、西表旅の話を聞いた。デジカメを持っていてその写真も見せてくれた。「カンムリワシと思われる写真も撮ったよ」と言う。カンムリワシの写真を撮りたいと常々願いながら、2度の八重山の旅でそれを果たせず悔しい思いをしていただけに、「チクショー」という想いも少しはあったが、「しめた」という想いが強く、「この写真、俺にもくれ」と頼んで、頂いた。
  彼の撮った写真の中にもう一つ欲しいものがあった。何者か判らなかったが、青いきれいな小さなカニの群れ。群れは女性の両手の上にあった。もちろん、女性の手に興味があったのでは無く、青いカニに興味を持った。「何奴だ」と、この写真も頂いた。

 手のひらの上のカニはミナミコメツキガニとすぐに判明した。手の持ち主は観光ガイドの一人で、海担当のインストラクターとのことであった。「カニを手の平に乗せるなんて豪傑な女性」などとは思わない。ミナミコメツキガニはとても小さく、これなら私でもハサミを怖がること無く手の平の上に乗せることができるに違い無い。
 「インストラクターだよ」とOが私の質問に答えた時、私はさらに「その女、美人だったか?若かったか?スタイルはどうだったか?ビキニだったか?」などと訊くことはしなかった。あくまでも私が興味を持ったのは手の平の上の青いカニであった。ただ、海の小さな生き物を優しく手の平の上に乗せる、その心には興味を持ったが・・・。

 
 ミナミコメツキガニ(南米搗蟹):甲殻類
 ミナミコメツキガニ科 奄美大島以南の南西諸島、東南アジアに分布 方言名:不詳
 名前の由来について資料は無いが、奄美大島以南に分布することからミナミ(南)、カニの一種なのでガニは迷うことは無い。コメツキについては、「米搗き」が広辞苑にあり、「玄米をついて精白すること」のこと。「米搗蟹」も広辞苑にあり、その中の「両方のはさみを上下運動させる」が「米搗き」の動作に似ていることからだと思われる。
 方言名は不詳としたが、本種はよく目に付くので呼称が無いとは思えない。カニの総称はガニと言う。本種は小さいのでガニグヮー(蟹小)とか言うかもしれない。ちなみに、シオマネキの類はカタチミガニグヮーという沖縄語がある。片爪蟹小という意。
 甲長15ミリていどの小さなカニ。甲は球形で、全体が青みがかっている。砂質の干潟に生息し、数百~数千の大集団を成す。危険が近付くと砂に穴を掘って潜る。
 「歩き方に大きな特徴がある。横に歩くのでは無く、前進歩行する」と文献にあったが、私は未確認。カニが前に歩くのである、ぜひ見てみたい。砂に潜る際の潜り方にも特徴があるようだが、これも私は未確認。夜も活動するとのこと、これももちろん未確認。

 記:2013.7.20 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『沖縄釣魚図鑑』新垣柴太郎・吉野哲夫著、新星図書出版発行
 『水族館動物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団監修・発行
 『磯の生き物』屋比久壮実著・発行、アクアコーラル企画編集部編集
 『沖縄海中生物図鑑』財団法人海中公園センター監修、新星図書出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行