ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

挫けそうな時

2013年03月15日 | 通信-その他・雑感

 なっぴばる前の道は蛇行しながら概ね北西から東南へ走っている。なっぴばるから北西方面へ3、40m行った左手にN爺様87歳の畑がある。
 N爺様の自宅はそこから北方向へ徒歩30分程の所にあり、私の帰り道の途中なので、運転しながらその家を確認できている。私の帰り道はなっぴばる前の道を北西方面へ上って行き、左折して、蛇行して、右折してN爺様の家の前を通る。その道が私の帰宅の最短だと思い、爺様もその道順で帰宅しているものだと思っていた。なので、爺様が自宅から畑へ行く時、畑から自宅へ帰る時は、爺様はなっぴばるの前を通らない。爺様がなっぴばるの前を通るのは教会へ行く時、・・・だとばかり思っていた。
 先日、日曜日のお昼時、なっぴばるの前を東南方向へ向かっているN爺様に会った。これから教会へだなと思ってそう声を掛けると、「家に帰るところ」と言う。「家は逆方向だろう」と「???}の私は、そこでいろいろ詳しく訊いた。

 N爺様については、2012年12月14日付けのガジ丸通信『立ち往生を目指して』で一度紹介し、その内容に間違いが多々あったので、2013年2月8日付けのガジ丸通信『農夫の信仰』で訂正している。そして、今回また、再々の訂正。
  帰宅の際東南方向へ向かうのは、一旦逆方向へ行ってもそこから近道があるとのこと。教会へ行くのは毎日では無い。一日一回で、朝の時もあれば午後の時もある。というわけで、爺様がほぼ毎日家と畑の往復約1時間、畑と教会の往復約2時間×2回の計5時間歩いていると前に書いたのは間違い。家と畑の往復約1時間はその通りだが、畑と教会の往復約2時間は1回だけで、それも毎日では無い、ということであった。
 それでも、ほぼ毎日少なくとも1時間、多い時は3時間も歩いているんだ、N爺様が元気であることには変わり無い。淡々と長い道を歩く87歳、拍手。
          

 その日、N爺様の案内で周辺を散策した。ウガンジョ(御願所)などを見ながら1時間半ほども一緒に歩き、ユンタク(おしゃべり)した。その時、農作業についての助言もいくつか頂いた。「あんた、手で土を耕しているようだが、そんなことしていたら時間がいくらあっても足りない、機械を使いなさい」、「土に砂を混ぜなさい、除草しやすくなるから」などといったこと。「無理したら体を壊すよ」と健康も気遣ってくれた。
 そう、「無理したら体を壊すよ」は私も日頃から気になっていることだ。土ほぐしで酷使している私の右手は、親指の爪が少し剥がれて、ちょっとした刺激で激しく痛む。手首や肘にも少々の痛みがある。右手が使えなくなると畑仕事に支障をきたす。

  女性に振られた時、私はキッパリ諦める。再度の挑戦などしない。悪く言えば粘りが無い、情熱が無い、懸命さが足りない、などとなるが、良く言えばサッパリしている、うだうだぐずぐずしない、潔い、などとなる。そんな私は、挫けそうな時は概ね挫けている。稀には何糞と粘ることもある(過去に1、2度あったか?)が、無理はしない。
 そんな私なので、続けていた土ほぐし作業も挫けることにした。完全敗北というわけでは無い。手でほぐすのは脆い土の塊だけにし、後はスコップの先で切り分けている。ほぐし度合い、当初はビー玉大が目標だったが、これをピンポン玉大に規制緩和した。
          

 記:2013.3.15 島乃ガジ丸


ニンジン

2013年03月15日 | 飲食:食べ物(材料)

 キャロットルーム

 ラジオから変な民謡が流れた。キャロットアイランドと歌っている。人参の島ということであるが、何で「人参の島」と和語でもなく、「チデークニぬ島」とウチナーグチでもなく英語なんだ?と思った。歌なので表現は自由でいいのだが。
 それはともかく、キャロットアイランド、人参の島とは津堅島のこと、津堅島はニンジンの産地であるということを、この歌を聞いて知った。沖縄の島々巡りを若い頃からやっているが、津堅島はまだ訪れていない。沖縄島から船で15分程度と近いのだが、津堅島という島があることを知ったのも数年前のことである。

  私の300坪の畑なっぴばるにもニンジンを植えた。1畝(約3坪)分。ジャガイモ、ホウレンソウ、ダイコンなど他の野菜は十分育たず、出来が悪かったのだが、ニンジンだけはスクスクと大きく育った。市販のニンジンと比べても遜色は無い。何故そうなったのかについては、まだ調べておらず不明だが、ニンジンは売れた。
 もしもこの先、やはりニンジンしか売れるほどの大きさに成長しないのであれば、ニンジンをたくさん作って、それを売って生活費の足しにしようかと思わぬでもない。なっぴばるはキャロットアイランドならぬ、キャロットファームになるわけだ。そのテーマソングを作って、世に出して、歌がヒットして、それで懐が潤う、なんてまで妄想する。

  なっぴばるのニンジン、概ねは普通の形、大きさだが、間引きしたものはごく小さい。指ほどの大きさだ。それはそのままの大きさで酢漬け(ピクルス)にしている。なかなかの美味。それより少し大きめのものはオーブントースターで5分くらい焼いて、ミディアムレアで食べている。これも旨い。どちらも酒の肴に上等。
 普通の形で無い人参も時々出てくる。二股に分かれたニンジン、二股は脚のように見えて何だか色っぽい。飾り物にしたいくらいだが、これもやはり食べる。スライスして酢漬けにしたり、普通に煮て食っている。普通に旨い。
 というわけで、3月に入って毎日ニンジンを食べている。それもたくさん食っている。食っても食ってもニンジンが常に部屋の中にある。沖縄の3月はニンジンの季節であるということを知ったが、3月、私の部屋はキャロットルームとなっている。
 
 
 ニンジン(人参):根菜類
 セリ科の一年生または二年生草本 原産地は西アジア 方言名:チデークニ
 名前の由来は資料が無く不明。人参という漢字で表記するということは元より私も知っていたが、広辞苑にもちゃんとあった。参には「まじわる」という意がある。「人が交わる」ということと野菜のニンジンがどう関わるのか、当てずっぽうもできない。
 直根とハイ軸が肥大化して貯蔵根を形成し、これが食用となる。生でも煮ても焼いても良し。沖縄にはニンジンシリシリーという美味しい料理がある。若葉も食用となる。
 沖縄では主に秋播きで2~3月に収穫する。津堅島が生産地として有名。

 記:2013.3.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次