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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ナシ

2017年08月20日 | 草木:果樹

 一昨年まで渋柿だった職場の柿が、去年から突然甘柿に変わった。柿の木にどのような心境(植物学的な)の変化があったか知らないが、それはまったく、私にとっては大いなる喜びとなった。庭の柿の実をもいで食ったという経験はそれまでに無かった。
 子供の頃、野原の果実(ほとんど桑の実)を食べたりしたが、、まれには、悪ガキ仲間(私は真面目な子だった)に誘われて他人の家の庭に生っている果実を盗み食いしたことがある。バンシルー(バンジロウ)やシークヮーサーなどであった。
 その頃、民家の庭にはバンシルーやシークヮーサーの他、キンカン、ザクロ、バナナ、パパイアなどの果樹があった。ずいぶん後(オジサンという歳)になってから、レイシ、リュウガン、マンゴー、アセローラなどもあることを知った。

 レイシ、リュウガン、マンゴー、アセローラ、バナナなどは倭国には珍しいものだと思う。逆に、倭国では普通だが沖縄ではほとんど見ない果樹も多くある。カキも大人になってからは多く見ているが、子供の頃は少なかった。ウメも最近よく目にするが、昔はほとんど見なかった。リンゴ、クリなどはまだ見たことが無い。
 去年、バスに乗っていて、外の景色を見ていたら、「何だあれ、ナシではないか?」と思う果実が生っている木を、民家の庭に見つけた。翌日、そこへ行き確かめる。確かにナシのようである。ピンポンとチャイムを鳴らし、インタホン越しに家人と会話する。
 「ナシのようですが、沖縄でも実が着くんですね?」
 「珍しいと思うけど、無いことは無いのよ、実も着くわよ」とのことであった。

 なお、職場の柿の木は今年もまた、たくさんの実をつけている。収穫が楽しみだが、収穫は戦いでもある。鳥たちとの戦い。食べ頃を先に気付かねばならない。
 
 ナシ(梨):果樹
 バラ科の落葉高木 原産は日本中部以南、中国 方言名:なし(無いということ)
 名前の由来は資料がなく不明。元々日本に自生していたというので、ナシは和語だと思われるが、果物に「無し」の発音を宛てたのは何か意味があったのか、興味はある。興味はあるけど、詮索する暇は無い。アリノミという別名があるが、蟻蚤が甘い汁に集るからということでは無く、「今日はこれで閉めにしましょう」と言うのを「これでお開きにしましょう」と言うのに同じ。「無しの実」ではなく「有りの実」としたわけ。
 中国も原産地の一つで、梨園(りえん)という古い言葉もある。梨園というと歌舞伎の世界のことを指す(ワイドショーからの知識)ようだが、広辞苑によると「(唐の玄宗が、梨の木の植えてある庭園で自ら音楽を教えたという故事から)俳優の社会。劇壇。演劇界。特に歌舞伎役者の社会。」とのこと。なるほど、勉強になった。
 花は見たことがないが、同じバラ科のサクラに似ていて、大きな白い花とのこと。果実は大きく、果汁は多くやや酸味があり、甘い。果肉はシャキシャキしている。この果肉のシャキシャキが洋ナシと大きく違う。洋ナシはモモの食感に近い。
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2010.8.9 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行


ドラゴンフルーツ

2017年08月20日 | 草木:果樹

 模合仲間のTが出向で長崎へと職場が変わった。女房も仕事を持っているので、彼は単身赴任の生活となった。もう5年以上も前のことになる。長崎から模合へ参加するのは大変だったせいか、しばらくして模合を抜けた。2年前に、単身赴任の寂しさを慰めようと模合仲間の数人で長崎を訪ねた。その時以来、ほとんど顔を合わすことも無かったTなのであったが、噂では昨年、仕事を辞め、沖縄に戻ってきたとのことである。そして、何やら秘密の仕事を始めようとしているらしい。
 聞けば、その秘密とは、ドラゴンフルーツを美味しくする栽培法を発見したということなのであった。確かに、ドラゴンフルーツは、さほど美味しいものとは言えない。あとほんの少し甘ければ、あるいはもう少しジューシーであれば、人気も出るだろうにと私も思っていた。Tの発見が確かであれば画期的なこと。沖縄の特産物がまた1つ増えるというもの。秘密にする必要は無かろう。世間に発表して、堂々と威張ればいいのだ。が、慎重派であるTは、まだ威張るには至っていない。事業が成功して十分儲けた後に、ある日突然、ロールスロイスかなんかに乗って、我々の前に現れるつもりなのかもしれない。
 
 ドラゴンフルーツ(竜果):果樹
 サボテン科の多年生多肉植物 原産分布は熱帯アメリカ 方言名:なし
 沖縄で栽培植物となったのは最近のこと。よって、私が参考にしているどの文献にも記載が無い。しかし日常ではよく目にし、たまには口にもする。数年前からはスーパーでも普通に見かけるようになった。私は丸ごと1個買って食したことは無い。不味いということはけして無いが、「食いたい!」と思うほどのものでも無いのだ。ネットで検索するといくつも出てくる。美容にもいいらしくて、まずまずの人気のようだ。
 販売されている果実には概ね2種あり、赤肉種は甘みがあって、白肉種は酸味が少し加わるらしい。収穫期は6月から11月。
 果実だけでなく、花も食料となるようだ。前にテレビの動物番組で、オオトカゲがサボテンの花をムシャムシャ食っているのを見たことがある。ドラゴンフルーツの名前はそこからきているのかと思っていたが、ネットの記事には、「果実の表皮が竜の鱗に見える」とか、「果実が竜の目玉に見える」とかあった。漢字の竜果は当て字、おそらく中国ではこのように書くのではないか。別名をピタヤという、これはおそらく現地の言葉かと。
 茎は30~60センチごとに節ができ、そこから気根を出して、壁などに吸着し、伸びていく。いかにもサボテン科らしく乾燥に強くて沖縄の直射日光もへっちゃら。丈夫で育てやすいので、民家の庭先で栽培されているのもよく見かける。近所にもある。たくさんの花をつける。花は夜開く。夜出不精の私には、花の開いた写真は撮れていない。
 
 花 後日、半開きの写真が撮れた。
 
 花2 後日、2017年になってやっと、満開の写真が撮れた。
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2005.10.29 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行


テンニンカ

2017年08月20日 | 草木:果樹

 写真を撮ってから数ヶ月も経つと、衰えた私の脳味噌は写真を撮った場所を概ね忘れてしまう。しかし、デジカメの写真には日付が記録される。その日付と日記を照らし合わせれば、写真の場所もだいたい特定される。
 テンニンカの写真を撮ったのは一昨年、2007年の8月だ。その時、テンニンカは実を付けていた。後日調べて、開花期は5月から6月であることを知る。
 テンニンカは「天の人のような花」という意味だと思うが、文献の写真を見ると、その通りかもしれないと思う。写真による判断だが、美しい。ところが、ウチナーグチ(沖縄口)ではヱンチュヌミミグヮーと言うらしい。「ねずみの耳」という意味だ。文献の写真を見ると、そう見えなくも無い。「天の人のような花」と「ねずみの耳」では受ける感じが大きく異なる。倭人とウチナーンチュの感性には隔たりがあるようだ。
 で、その花、ぜひとも実物にお目にかかりたいと思っていたが、去年も今年も写真を撮りに行けなかった。写真の日付の日記を見ると、「今日は一日現場、楽な仕事だった。」としかなく、撮った場所が判らない。写真をマジマジと見つめても、場所がどこなのか全く思い出せない。おそらくこれから先も思い出せないであろう。というわけで、テンニンカ、花がきれいらしいが、花の写真のないまま紹介。
 
 テンニンカ(天人花):添景・果樹
 フトモモ科の常緑低木 原産分布は沖縄、東南アジア 方言名:テーニー
 淡紅、あるいは紅紫色の美しく芳香のある花を咲かす。色も形も清楚で上品な感じを受ける。テンニンカという名前、その漢字の天人花が意味するところは、天に住まう人のような花、つまり、高貴な花ということだろうが、なるほどと肯ける。
 方言名のテーニーは、テンニンカのカを省いた沖縄読みであろう。天人は、沖縄読みではアマンチュとなる。よって、沖縄に自生していたにも関わらず、倭語のテンニンカが言葉としては先だったようだ。ところが、方言名は他にヱンチュヌミミグヮーともある。これはいかにも沖縄らしい。倭人が「天の人のような花」と称したものを、昔のウチナーンチュたちは「鼠の耳」と呼んだ。ヱンチュ(鼠)ヌ(の)ミミ(耳)グヮー(小)ということ。語尾のグヮー(小)は「○○ちゃん」といったような意味。
 高さは3mほどになる。開花期は5月から6月。甘さのある果実は生食もでき、ジャムなどに加工もされる。紫色の楕円形、夏に熟す。
 
 花 後日、海洋博公園で見つけた写真。
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2009.7.28 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行


テリハバンジロウ

2017年08月20日 | 草木:果樹

 2年前(2007年)の9月のある日、現場仕事に出た。現場は南城市のある町、そこのある民家にビワのような色をした実を付けている木があった。
 近寄って、よく見ると、実の形はビワではなくフトモモのそれに近い。色はともかく、フトモモ科のバンジロウにも似ている。そういえば、葉はほぼバンジロウ。
 「あっ、これがもしかしてストロベリーグヮバっていうやつか?」と思って、写真を撮る。ストロベリーグヮバは以前、職場の庭にあって、何度か目にしており、一度はその実を食べたこともあるのだが、以前というのは私が入社した頃、もう20年以上も前の以前なので、はっきりとは記憶に残っていない。その後2、3年で消えて、今も無い。
 後日、図鑑で調べると、ストロベリーグヮバは和名をテリハバンジロウと言い、実は熟すると赤紫色になるとあった。私が見た黄色い実のものはテリハバンジロウの1品種で同じくストロベリーグヮバなのだが、和名はキミノバンジロウとなっている。
 学名は、
 バンジロウPsidium guajava L.
 テリハバンジロウPsidium cattleianum Sabine
 キミノバンジロウPsidium cattleianum Sabine f. lucidum Degener
となっていて、テリハバンジロウとキミノバンジロウはほぼ一緒。
 
 テリハバンジロウ(照葉蕃石榴):果樹・庭園
 フトモモ科の常緑中木 ブラジル原産 方言名:なし
 バンジロウの名前の由来は不明。沖縄名のバンシルーが元になっているかもしれない。漢字の蕃石榴、石榴はザクロ、蕃という字は外国という意、外国から来たザクロに似たものということだろう。本種は葉の照りが特に目立つことからテリハ(照葉)と付く。
 バンジロウは別名のグヮバで有名。本種の別名もイチゴグァバ、またはストロベリーグァバという。これは英語名Strawberry Guavaから。果実がイチゴに似た香りということから。英語名はCherry Guavaともあり、人によってはチェリーの香りなのだろう。
 高さは6~8mに留まり、自然に整った形になるので庭木としても使いよい。
 果実は熟すと赤紫色になる。径3~4センチと小さいが、甘く、イチゴのような香りがあり美味しい。種が多く、ちょっと食べ辛いのはバンジロウと一緒。生食の他、ジャムやゼリーなどに利用される。収穫期は夏から秋。
 果実だけでなく花にも芳香がある。色は白~淡黄色、開花期は夏。
 
 花
 
 収穫

 ちなみに、近縁のキミノバンジロウ(テリハキミノバンジロウとも)。
 
 全体
 
 実
 
 収穫

 記:島乃ガジ丸 2009.9.19 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行


タンカン

2017年08月20日 | 草木:果樹

 以前勤めていた職場は、アルバイトも含め従業員は約30名。男女の数はだいたい半々くらいで、女は中年の世代が多かったが、男は20代の若い人が多かった。
 社長はほとんどゴルフばっかりやっていて、会社にはあまり顔を出さなかった。会社の業務の指揮は専務、まだ40歳になるかならないかという若さだったが、彼が全てをやっていた。酒が一滴も飲めなかったのにも関わらず、従業員の飲み会に付合い、飲み代だけはいつも余分に、かなり余分に払っていく人で、仕事には厳しかったが、面倒見のいい皆から慕われる人物であった。社長の代わりに夜のお付合いにもたびたび出掛けていて、何度か私もお供をさせられた。夜の席で私は、専務の代わりの酒飲み役であった。
 もう一人専務がいた。便宜上、前述の専務はAさん、もう一人をBさんとする。BさんはAさんより少し年下で、いわゆるNO,3のような位置にあり、会社の実務をみながら従業員の教育などもしていた。Bさんは飲める人で、飲み会にはたいてい顔を出していた。
 AさんもBさんも仕事は別にして、従業員が楽しむことは大好きだったようで、二人でいろいろな行事を考え、それを実行した。新年会、忘年会はもちろんのこと。ビーチパーティー、野球大会、ボーリング大会、一泊旅行などなどがあった。男の方は若い連中が多かったので、それらの行事を喜んだ。みんなで盛り上げ、みんなで楽しんだ。
 ある年の冬、専務(どちらかの)がミカン狩りを提案した。シークヮーサーの時期が終わっている沖縄に、狩れるようなミカンがあるのだろうかと、まだ若かった私は不思議に思ったのだが、オバサンたちは大喜びしていた。「タンカンって言うのよ。普通のミカンとは違うけどね。美味しいよ。」とオバサンの一人が私に教えてくれた。

 沖縄島北部の本部町、名護から海洋博会場へ向かう途中の小高い丘になった辺りが伊豆味という。そこがミカン狩りのメッカ。朝早くから出掛け、食い放題というタンカンを食う。普通のミカンより甘くて美味しい。オレンジのような風味がある。普通のミカンとは違う柔らかくない皮のせいで、途中から親指の爪が痛くなってしまったが、楽しいタンカン狩りだった。その時が、私のタンカン(と知って)食べる初体験だった。
 
 タンカン(橘柑):果樹
 ミカン科の常緑低木。原産分布は中国広東省、九州南部、沖縄など。方言名:タンカン
 ミカン類とスイートオレンジ類との自然雑種と考えられている。昭和の初期には鹿児島で栽培が始められ、沖縄での本格的栽培は昭和40年代に入ってからのこと。台湾でも鹿児島でもいろいろと品種改良が行われ、現在沖縄で栽培されているのはほとんどが鹿児島で開発された垂水1号という品種らしい。沖縄の飲食「剥きにくいミカン」で親指の爪が痛くなるほど剥きにくい皮と書いたが、昨日食ったら、思ったより簡単に剥けた。昔、私が食べたものとは、もしかしたら品種が違うのかもしれない。今のも美味しい。
 樹高は3~4mほどになる。ミカンよりはオレンジに近い味で甘い。贈答用として用いられるほどに人気はある。『沖縄園芸百科』によると、収穫は1月~2月だが、食味が最高になるのはそれ以降の2月~3月とのこと。今度、試してみよう。
 
 花
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2005.2.4 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行