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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ギランイヌビワ

2017年07月17日 | 草木:公園街路

 イヌビワやハマイヌビワ、オオバイヌビワなどを調べているともう一つイヌビワと名のつく植物があることを知った。実物にお目にかかったことは無いが、名前だけはすぐに覚えることができた。怪獣のような名前、ギラン。
 名前は「怪獣のような」という特徴を持っているギランイヌビワ、性質的には「幹や太い枝に直接果実がつく」という特徴がある。だが、それはアコウも一緒。アコウも同じクワ科イチジク属。私に見分けがつくだろうかと不安に思っていたが、ある日、琉球大学のキャンパスを散歩していたら、「幹や太い枝に直接つく果実」がついている樹木に出会った。それは、アコウと見間違えることは無かった。幹肌が目立って白かった。
 「ほほう、あなた、もしかしてギランイヌビワさんですか?」と、失礼して、写真を撮らして頂き、帰って調べる。「そうです、私がギランイヌビワです」であった。
 
 ギランイヌビワ(ぎらん犬枇杷):公園
 クワ科の常緑高木 石垣島以南、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:アハカブリキ
 同属のイヌビワは、果実の見た目がビワに似ているが、ビワの実より小さく、味も劣っているというところからその名がきている。本種はそのイヌビワに似ているからイヌビワとつく。がしかし、ギランとはまた、わけの解らない名前なのである。ギンランという植物があって、それに花か実が似ていて、で、ギンランが詰ってギランイヌビワとなった、のかとギンランを調べる。ギンランは銀蘭と書きラン科の多年草、どこをどう見ても本種とは似ていない。ならば違う観点から考える。ギランは擬卵と書き、卵(何の卵か知らないが)に似ている果実をつけるということではないか。・・・どうでしょう。
 分布が石垣島以南となっていて、沖縄島には自生は無いようだ。写真は沖縄島の琉球大学のキャンパスにあったもの。沖縄島でも育つことは育つということであろう。
 幹や太い枝に直接つく果実が目立つ。花はイチジク同様に果実の中にある。これを無花果という。結実は春。サキシマスオウのように板根もよく発達する。
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2006.9.2 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行


キョウチクトウ

2017年07月17日 | 草木:公園街路

 今月の模合(名目は相互扶助的会合、実質はただの飲み会)は那覇新都心にある飲み屋が集まり場所であったが、そこから車で15分はかかる模合仲間のTの家に、私は立ち寄った。Tは2年前にパソコンを購入し、同時にプロバイダー契約もし、よって、当然メールもできる状態にあると思われるが、未だにメールでのやりとりをしない。「何でやらないんだ」と訊くと、「できないからやらないんだ」と答える。それならば、できるようにしてやろうと思い、パソコン指南となったわけである。
 買ってからまだ一度も開いたことが無いというアウトルックを開く。受信中が長く続く。受信メールのカウンターがどんどんその数を増やしていく。結果、なんと300件近い数の受信メールがあった。そのほとんど全てがプロバイダーからのお知らせメール。ほとんどがTにとって必要の無いものと思われたので、一発で全部を消去した。
 数日前の夜、飛行機が数機近くの空を飛んでいった。テレビからの音がまったく聞こえなくなるほどの騒音を残して。こういった事は年に数回、あるいは十数回はある。何も、沖縄近辺に北朝鮮やイランの飛行機が無断侵入してきての緊急発進などでは無い。訓練なのだそうだ。基地からは離れたところにある首里でもそうなのだ。嘉手納や普天間などの一般住民はそうとうの騒音被害を受けているんだろうなと思い、同情する。米軍機の騒音は沖縄にとって必要の無いものと思われるが、一発で全部を消去する力は、私に無い。

 キョウチクトウはずいぶん前から私も知っている。米軍基地のフェンス沿いに生垣として植えられているのをよく見ている。盛りの頃は樹冠に多くの花を咲かせてきれいなんだが、キョウチクトウというと米軍基地をすぐに連想してしまい、上記の文となった。
 移設が今問題となっている普天間基地の、国道58号線に面したフェンス沿いにも、一部ではあるが、キョウチクトウが生垣として使われている。
 
 キョウチクトウ(夾竹桃):添景・生垣
 キョウチクトウ科の常緑中木。原産分布はインド。方言名:キョーチクトー
 葉が竹、花が桃に似ているから漢字は夾竹桃。名前の由来についての資料は無いが、夾は「はさむ」という意味があり、花が葉に挟まれているように見える。
 たくさんの園芸品種があり、色もさまざまで、八重咲き種もある。葉に有毒成分が含まれているので、民家の庭にはあまり用いられないが、株立ちし、高く伸びるので、目隠し、及び防風生垣として、基地のフェンス沿い、テニスコートのフェンス沿いなどに利用される。単独に植えて、添景としても使える。
 よく見かけるのは桃色や白色の花、樹冠に多くつける。開花期は4月から11月。
 方言名のキョーチクトーは『沖縄の都市緑化植物図鑑』にあったのだが、書いた人はきっとウチナーンチュを良く知った人。ウチナーチュは概ね面倒臭がりやなので、できるだけ口を動かさずにしゃべろうとする。キョウチクトウのキョウとトウの母音オウは、できればいったん開けた口をそのままにしておきたいのだ。だから、オーとなる。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2005.9.25 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


カユプテ

2017年07月17日 | 草木:公園街路

 カユプテのある場所を私は二ヶ所知っている。既に全体と果実、特徴ある幹肌の写真は撮ってあるが、花の写真を撮ってから紹介しようと思っていた。今、その花の時期。で、6月11日、二ヶ所のうちの一つであるパレット久茂地へ出かける。5月の終わり頃に強い台風が襲ったので「花はダメかも」と思っていたが、その通りダメだった。
 台風から三週間が過ぎた6月17日、午前中、畑仕事を少しとガジ丸HPのアップをして、午後、二ヶ所のうちのもう一つ、糸満市にある平和創造の森公園へ出かけた。三週間もあれば花が復活しているかもしれないと期待したが、期待は外れた。

 カユプテを紹介する際の小噺は写真を撮った時(今年1月)に既に思いついていた。
 「おー、なんだいオメェ、その手、ずいぶん腫れてるじゃねぇか?」
 「あー、かぶれたみたいだ。」
 「かぶれたって、毒虫にでも触ったか?」
 「いや、虫じゃなくて、たぶん木だな。」
 「木って、あー、そうか、ウルシみたいな奴だな?」
 「ウルシでは無かったな、幹がプヨプヨしていて、白い花が咲いていたよ。」
 「ほう、何て言う木なんだろうな?」
 「何でも良いけど、もうカユプテ、カユプテ。」

 チャンチャン、お後がよろしいようで。という小噺。ただし、カユプテでかぶれるということは無い。カユプテはむしろ薬となる。精油が採れ、鎮痛薬、芳香薬の他、軟膏の原料にもなるとのこと。カユプテから作られた軟膏は「かゆぷて、かゆぷて堪らない時に使える軟膏」というわけでは無く、傷や火傷などに用いるらしい。
 カユプテの花の写真は2013年10月になってやっと追加。
 
 カユプテ(Cajuput):公園
 フトモモ科の常緑高木 原産分布はオーストラリア西部、東南アジア 方言名:なし
 『亜熱帯沖縄の花』に「カユプテはマレー語で「白い木」という意味」とあった。広辞苑にそのマレー語kayuputihがあって、日本語表記はカヤプテとなっている。おそらく、現地での発音はカヤプテに近いのであろうが、私が参考にしている植物の本では全てカユプテとあるので、ここでもカユプテとする。ちなみに学名はMelaleuca leucadendra。
 高さは20m以上になり、民家の小さな庭には不向き。樹皮が紙のように剥がれるのが特徴で、その幹肌、及び堂々とした樹形が観賞価値となる。
 『亜熱帯沖縄の花』に「幹を触るとスポンジのように柔らかく、指で押すと簡単にへこんでしまう」とあったので、試してみた。その通りであった。
 長さ10センチほどのブラシ状に黄白色の花をつける。開花期は5月から10月。ブラシ状の花は、花が枝にいくつも並んで四方八方に出るのでそう見える。花の一つ一つが実になって、果実もまた、枝に並んで四方八方につく。結実期は9月から12月。
 陽光、適潤を好み、過湿状態では立ち枯れをおこすとのこと。枝葉からカユプテ油が採れ、防腐剤等に利用される。葉はお茶として利用されるとのこと。
 
 花
 
 実
 
 幹

 記:島乃ガジ丸 2011.6.19 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行


カシワバイヌビワ

2017年07月17日 | 草木:公園街路

 かつて沖縄には七五三なる儀式は無かった。少なくとも私が子供の頃には無かった。私の年代が親になる頃から流行り出し、現在は大いに行われている。
 七五三は無かったが、十三祝いというものが盛んに行われた。女子が数え十三歳になった時に祝う。「生理も始まって、大人になった」という意味だと思われる。七五三は広辞苑に記載があるが、十三祝いは無い。沖縄だけのものかもしれない。
 桃の節句や端午の節句は、ひなまつり、子供の日という呼び名ではまあまあ行われた。ただ、雛人形を飾り、菱餅やひなあられを食べる、菖蒲湯に入り、柏餅を食べるなんてことは、少なくとも我が家では無く、他所の家に行って、そういったことをやっている場面に遭遇したことも無い。いつもよりはお菓子を食えたかな、くらいである。
 柏餅を初めて食べたのは大学進学で東京に住むようになってから。記憶は定かではないが、たぶん、自分で買って食べている。時期になるとスーパーにそれが売られていた。憧れの柏餅だった。ゴワゴワした感触の葉っぱだったと覚えている。

 沖縄には柏の木が無い。あのギザギザでゴワゴワした葉っぱを沖縄では見ることができない。ただ、それに似た葉はある。ゴワゴワはしていないが、柏の葉のように大きく、ギザギザしている。その名もカシワバイヌビワ(柏葉犬枇杷)と言う。
 カシワバイヌビワの葉で餅(他の食物も)を包む話は聞いたことが無い。沖縄で餅を包むと言えばサンニン(ゲットウ)の葉である。旧暦12月8日はムーチーという伝統行事があり、その日にサンニンで包んだ餅を食べる。私は柏餅よりずっとこっちが美味しいと思う。サンニンは良い香りがするのだ。今年のムーチーは正月にあたった。
 
 カシワバイヌビワ(柏葉犬枇杷):公園
 クワ科の常緑高木 熱帯アフリカ原産 方言名:なし
 名前の由来、資料は無いが、葉の形がカシワ(柏)に似ていて、イヌビワ(Ficus属)の仲間だから、で間違いないと思う。英語名はFiddle-leafという。fiddleはバイオリンのことで、「バイオリンの葉」という意味になる。和語では柏の葉に似ているが、英語ではバイオリンの形に葉が似ているということ。別名をカシワバゴムノキというが、ゴムノキは本種やイヌビワと同じFicus属、Ficus属は和名で言うとイチジク属となる。
 高さは10mほどになる。陽光地を好むが、耐陰性もあるので室内観葉植物としても利用される。乾燥に強く、成長は速い。萌芽力が弱いので軽剪定とする。
 花は他のイチジク属と同じく無花果(果実の中にある)で、8月から9月につく。葉は大形で、形がカシワ(柏)の葉に似ている。採種期は9月から10月。
 ちなみに、カシワ(柏)はブナ科の落葉高木。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2012.1.13 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行


ガジュマル

2017年07月17日 | 草木:公園街路

 ガジ丸が紹介する沖縄の草木、6ヶ月かかってやっと100本目。その記念すべき100本目にはガジ丸の名前の由来となっているガジュマルを選んだ。
 ガジュマル、沖縄の人ならおそらく誰でも知っている樹木。ほとんどの学校や公園にガジュマルの大木がある。したがって、子供の頃の想い出に登場する樹木としては、真っ先に思い浮かび、また、数多く出演する樹木であろう。枝が太く強いので、木登り遊びやブランコ遊びに適し、蝉も多く集まるので蝉取りに適し、太い幹は陣取りやかくれんぼにも使われた。ガジュマルが作る木陰には、暑い夏の日に大いに世話になったものだ。
 ガジュマルはまた、キジムナー(木の妖精)の住処としても子供たちに広く知られており、そういう意味で恐れられた。また、ガジュマルの老大木は多くの気根を垂らし、それが仙人の髭のように見え、霊力を持っているように思え、よって、尊敬されてもいた。
 高校生の頃、那覇祭りだったか何だったか忘れたが、国際通りが歩行者天国になる日があった。その日は仲間が連れ立って、首里(高校が首里にあった)から那覇へ下りて(首里の人はそう言う)遊ぶ。国際通りの南端、県庁の隣に那覇市役所がある。そこの庭にきれいな傘型のガジュマルが数本ある。その下で、首里高校の健康不良少年少女たちは集まって、輪になって、ギターを弾いて、流行の歌などを歌って、夜遅くまで楽しんだ。

 先週土曜日(17日)パレット久茂地へ行ったついでに、市役所までちょいと足を伸ばした。そのガジュマル、今も健在で、見事な傘型を維持している。その昔、ある肌寒い日に、寒そうにしているクラスの女の子に着ていたカーディガンを脱いで貸してあげた。恋が生まれそうになった。なんてことを思い出しているうちに妄想の世界へ入ってしまう。そして、ガジュマルを見に来た目的を忘れてしまい、そのまま帰ってしまった。バッグの中にはカメラを忘れずに入れてあったのだが、出すのを忘れたのであった。
 ガジュマルの根元に砂で台をこさえ、そこに線香をたててお祈りするとキジムナーが現れるという。子供たちはそんな話題で盛り上がるが、怖くて、実行する者はいなかった。キジムナーに私は3回襲われている。その話を含めキジムナーについてはまたいつか。
 
 ガジュマル(榕樹):公園
 クワ科の常緑高木。原産分布は屋久島以南、他。方言名:ガジマル、ガジマギー
 高さ20mに達する。枝を多く発生し、横に張り広げ、傘状の樹形となるため緑陰樹に向く。枝だけでなく気根(幹枝から発生する根)も多く出し、それが幹の一部になったりするので幹はどんどん太る。大きなガジュマルもその幹はたくさんの幹の集まりだったりすることが多い。横に張った枝の途中から気根が伸び、それが幹になることもある。どちらの場合も他の樹木には見られない幹の形状で、美しくもあり、神秘的でもある。そんな姿の老大木は神木霊木として扱われる。キジムナー伝説も、さもありなんと思う。
 強い剪定に耐えるので、刈込んで形を作ることができるが、上述のように大木となるので小さな庭には向かない。鉢植えにすると生育が押さえられ、また、半陰環境にも耐えるので、観葉植物として利用することができる。
 花は目立たないが、実の多さで開花のあったことを知る。結実期は3月から6月。
 名護市のヒンプンガジュマルは県の天然記念物。
 
 実
 
 幹
 
 市役所の
 
 銘刈の

 記:島乃ガジ丸 2005.3.25 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行