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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

マルバシャリンバイ

2017年09月17日 | 草木:低木

 私がこれまで耳にした事があるシャリンバイは、マルバシャリンバイ、ホソバシャリンバイ、オキナワシャリンバイの3種だが、それらは、沖縄の植物を紹介している文献にもいずれかがどれかに掲載されている。しかしながら、ホソバシャリンバイはオキナワシャリンバイの別名としてある文献もあって、混同している。そもそもシャリンバイという名の種があるのかどうかも不明だったので、今回調べてみた。
 『寺崎日本植物図譜』によると、シャリンバイという基本種があって、その変種としてマルバ、ホソバ、オキナワなどがあるようだ。変種は他にもある。
 シャリンバイ Rhaphiolepis umbellata
 マルバシャリンバイ Rhaphiolepis umbellata var. integerrima
 ヒメシャリンバイ Rhaphiolepis umbellata var. minor
 ホソバシャリンバイ Rhaphiolepis umbellata var. liukiuensis
 その他、小笠原に分布するシマシャリンバイがあり、また、九州南部から琉球列島に分布するオキナワシャリンバイがあるとのこと。
 九州南部から琉球列島に分布するのはホソバシャリンバイも一緒で、ホソバシャリンバイは本島北部の山地にのみ自生、オキナワシャリンバイは低地に生息とある。
 ホソバシャリンバイは本島北部の山地にのみ自生ということなので、私の住む周辺には無いということだ。いつかお目にかかりたいが、ホソバシャリンバイとオキナワシャリンバイ、よく似ているということなので、素人の私には判別不能と思われる。
 ちなみに、念のためネットで調べてみると、シャリンバイの学名は
 Rhaphiolepis indica var. umbellataとなっていた。学問は進んでいるみたいだ。
 
 マルバシャリンバイ(丸葉車輪梅):生垣・添景
 バラ科の常緑低木 分布は東北南部から琉球列島 方言名:ティカチ
 名前の由来、枝の形が車輪のようになるからシャリン、花がウメに似ているからバイ、シャリンバイに比べ葉が丸っぽいからマルバで、丸葉車輪梅。
 オキナワシャリンバイの葉の縁は粗い鋸葉縁だが、本種の葉の縁は粗い鋸葉縁か全縁。葉の長さは4~8センチで変わらないが、本種の方が幅広く丸っぽい。
 枝先に円錐花序を出して、数個の花をつける。花の直径は2センチほど、ウメに似た白い花。開花期、本土では4月から6月だが、沖縄では3月から4月。
 果実は、オキナワシャリンバイが熟すると黒褐色になるのに対し、本種は初め紫で、熟すると青黒色となる。結実期は9月から10月。
 自生地は海岸近くだが、庭木にも多く用いられる。高さは1~3mほどになるが、刈り込んで生垣、玉作りなどにできる。ただし、萌芽力が弱いので強剪定は避ける。耐陰性があるので、高木の根元の装飾にも向く。公害に強いので街路樹にも適する。
 
 花
 
 実

 ホソバシャリンバイ(細葉車輪梅):生垣・添景
 バラ科の常緑低木 九州南部から琉球列島 方言名:ウーティカチャー、ティカチ
 名前の由来、シャリンバイはマルバシャリンバイに同じ。おそらく、マルバシャリンバイではなく基本種のシャリンバイに比べ、葉が細いのでホソバとつく。
 『寺崎日本植物図譜』に「ホソバシャリンバイは本島北部の山地にのみ自生、オキナワシャリンバイは低地に生息。」とあったので、私がこれまで家の近くの公園、民家の庭などで見てきた細い鋸葉縁のシャリンバイは、全てオキナワシャリンバイであり、本種はまだそれと知って見た事はないようだ。
 「山原の山地林内に自生」とは別の文献にもあった。その説明文を読み、写真を見た限り、オキナワシャリンバイとの違いがほとんど無い。「高さ3~5m、葉は短い葉柄があり互生、長さ4~8センチ、葉の縁は粗い鋸葉縁。」とのことでオキナワシャリンバイと同じ。果実が黒褐色なのも同じで、花の色形も同じ。ただ、花の「開花期は夏」だけが異なっていた。オキナワシャリンバイの開花期は3月から4月。
 別名モッコクモドキとあるが、確かにモッコクと似ている。モッコクはツバキ科。

 訂正加筆:2011.1.15 ガジ丸

 記:島乃ガジ丸 2009.3.24 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行


マツリカ

2017年09月17日 | 草木:低木

 名前は知らなかったが、マツリカは芳香のある花として見知ってはいた。その写真は2、3年前の散歩の途中で撮ってあった。後日、ガジ丸HPに載せようと、写真見ながら文献を開く。マツリカという名が判り、意外にも身近な植物であることが判った。
 沖縄のお茶といえばサンピン茶、じつは、サンピン茶にこのマツリカの花が使われているのであった。マツリカは別名アラビアンジャスミンと言い、サンピン茶は別名ジャスミンティーと言う。ジャスミンティーのジャスミンはマツリカであったのだ。
 調べていく上で、あまり知りたくないことも判明した。サンピン茶にジャスミンが入っている理由は、不味いお茶なので香り付けが必要である、といったことによるのだそうだ。そうか、ウチナーンチュは不味いお茶を飲んでいたのか。さすが貧乏県。

 一昨日、郵便受けに1枚のチラシが入っていた。近く(徒歩5分)にある大きな福祉施設からのお知らせ。その福祉施設は毎年夏、盆踊り大会みたいなのをやっている。いつもはチラシなんて配らないのだが、今年は施設の建物が新築され、業務拡大したこともあって、例年とは少し趣向が違った内容。なもんで、お知らせのチラシ。でも、たぶん、賑やかなのは例年通りであろう。大きな音で音楽が流れるであろう。チラシの無かった去年までは「うるせぇなあ」と毎年思い、「何だ、マツリカ」と毎年思ったのである。
 
 マツリカ(茉莉花):壁面・生垣・鉢物
 モクセイ科の半ツル性常緑低木。原産分布は中国、インド、他。方言名:ムイクヮ
 花には強い芳香があり、南中国、台湾では茶の香料植物となっている。これがいわゆるジャスミンティー。ジャスミンとはマツリカの属名。花に芳香のある植物で何とかジャスミンと名の付くもの、たとえば、園芸店でよく見るカロライナジャスミンとかマダガスカルジャスミンとかは別の科の植物で、本種の方は正真正銘のジャスミン。
 属名の和名はソケイ属といい、モクセイ科ソケイ属では、ハゴロモジャスミン、スタージャスミン、アラビアンジャスミンなどを園芸店で見かける。アラビアンジャスミンは本種マツリカのことで、これは英語名のArabian jasmineからきている。別名モウリンカ。
 陽光を好み、そのような場所では多く開花する。半ツル性なのでフェンスに這わせたりすると良い。園芸品種であるヤエマツリカ(八重茉莉花)の方が多く出回り、この種を庭でよく見かける。性質は同じ。開花期も同じ5月から10月。
 
 花
 
 ヤエマツリカ

 記:島乃ガジ丸 2005.8.4 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


ボチョウジ

2017年09月17日 | 草木:低木

 もう一年ばかりご無沙汰しているが、首里に住んでいた頃、首里末吉にある末吉公園へよく通っていた。末吉公園は沖縄島南部の原生林を残しており、植物も動物もさまざまな種類が豊富にいた。あの天然記念物コノハチョウもそこで私は見つけた。

 秋頃、その末吉公園を散策すると、赤い実の目立つ植物が樹林の下に多く見られる。写真を撮って調べるとナガミボチョウジであることが判明。ところが、図鑑にはその隣のページに近縁種としてボチョウジも紹介されている。「どっちかなぁ」としばし悩んだが、ナガミという名の通りナガミボチョウジの実は長楕円形でボチョウジの実は円形ということで、末吉公園で撮ったのはやはりナガミボチョウジだと断定できた。
 そしてその後、末吉公園に行くたびに「ボチョウジはいないか」と気をつけていたのだが、何年経ってもついに円形の赤い実には出会えなかった。

 ナガミボチョウジの記事を書いたのは2008年、写真はそれより前に撮ってある。記事を書いている時に「ナガミボチョウジは石灰岩地に多く、ボチョウジは非石灰岩地域の山地に生息する」ことを知る。で、石灰岩地域である末吉公園ではいくら探してもボチョウジを見つけることができなかったわけ。ボチョウジを見つけたのは昨年(2011年)の秋、石垣島で。石垣島も沖縄島北部と同じ赤土土壌の非石灰岩地域である。
 
 ボチョウジ(母丁字):祭祀用
 アカネ科の常緑低木 屋久島、種子島以南、南西諸島などに分布 方言名:アサカ
 ボチョウジが広辞苑にあり、母丁字と字が充てられているが、名前の由来は不明。チョウジ(丁字)はフトモモ科の常緑高木。その母とはいったい???
 同属のナガミボチョウジと共に別名をリュウキュウアオキという。南西諸島に分布するのでリュウキュウは解るが、アオキはミズキ科の常緑低木で、その関係は不詳。
 ナガミボチョウジは石灰岩地に多く、本種は非石灰岩地域の山地に生息する。なので、ナガミボチョウジは石灰岩地である那覇市の末吉公園で見られたが、本種は非石灰岩地域であるヤンバル(沖縄島北部)に多いとのこと。私が見たのは石垣島の山地。
 夏に黄緑色の花が咲くが、小さく目立たない。果実の方が目立つ。同属のナガミボチョウジは果実が長球形だが、本種は球形。径5~6ミリで、ナガミボチョウジと同様、緑から黄になり、秋に赤く熟する。同じく同属のシラタマカズラは球形だが白い玉。
 ちなみにそれぞれの学名は、
 ボチョウジ Psychotria rubra Poir.
 ナガミボチョウジ Psychotria manillensis Bartl.
 シラタマカズラ Psychotria serpens L.
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2012.12.18 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行


ベニヒモノキ

2017年09月17日 | 草木:低木

 国立海洋博記念公園は沖縄島北部、本部町(もとぶちょう)にある。那覇市首里石嶺町にある私の住まいから一般道路だと、車で約2時間かかる。2時間もかかるので、「今日はちょっと海洋博へ行ってみるか」などと気軽には行けない。倭国から友人知人が来て、観光案内をするなどの”ついで”がないと、なかなか往復4時間は費やせない。
 植物について私が参考にしている本のうち、『新緑化樹木のしおり』か『沖縄の都市緑化植物図鑑』のどれか1冊でいいから、その掲載されている植物のほとんどをこのHPで紹介することを私は目標にしている。『沖縄の都市緑化植物図鑑』は海洋博覧会記念公園管理財団による編集なので、海洋博公園に行けば、掲載されている植物の多くがあるに違いないのである。行って、写真を撮れば、目標達成に近付くのである。

 その”ついで”が今年の9月にあった。鹿児島から友人のNが遊びに来て本部町まで行った。しかし、海洋博公園へは寄らなかった。去年Nが遊びに来たとき、海洋博公園へは一緒に行ったので、今回は別の名所ということになったのだ。で、私の海洋博公園訪問はご無沙汰となっている。ところが、北海道旅行で、海洋博公園に行けばきっとあるであろう熱帯亜熱帯植物のいくつかの写真が撮れた。北国で撮れた。WHY?
 北海道大学植物園の一角に熱帯植物を展示してある温室があった。熱帯性であるランや果樹の他、南方系庭木も多くあった。ベニヒモノキもその一つ。
 
 ベニヒモノキ(紅紐の木):生垣・刈込
 キツネノマゴ科の常緑低木 原産分布は西インド諸島 方言名:なし
 アカリファと同属で全体の形状、葉、花の形状などもよく似ている。本種は花が紅く、小さなものが穂状に多くついて、全体には毛の生えた紐のように見える。和名のベニヒモノキは、それを紅い紐と見立てての名。英語名では「紅い猫のしっぽ」ろか「キツネのしっぽ」とかいう名前になるらしい。西洋人は動物のしっぽに見立てたわけである。花穂は50センチほどに伸びるので、尾よりは紐に見える、と私は和名に軍配を上げる。
 高さは3mほどになるが、萌芽力が強く刈込みに耐えるので、生垣にしたり、丸く四角く形を作ったりして、添景としても使える。陽光地を好むが強風には弱いので、風当たりの少ない場所に植えると良い。成育が良好なら紅い紐は周年咲いている。成長は速い。
 
 花
 
 沖縄産

 記:島乃ガジ丸 2006.11.4 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行


ベニバナインドソケイ

2017年09月17日 | 草木:低木

 大学の頃、教養課程の第二外国語はフランス語にした。教養課程は概ね1年、2年で取得するべき単位である。教養課程では他に数学などもあった。数学は問題なかったが、フランス語を、私は5年(留年したので)まで残した。
 1、2年で単位が取れなかったのは、ほとんど授業に出なかった(代返させたので出席日数は足りていたと思う)ため、テストの点数がまるでダメだったからだ。大学は文学部ではあり、高校は文系であった私だが、理系は元々得意だったので、数学も授業には出ていないが、テストでは良い点が取れた。語学は、英語も苦手であった。
 語学の苦手な私が、5年の時、フランス語を真面目にやった。今年こそは卒業しようと思ったからだ。お陰で、メルシーボークー、シルブプレ、ボンジュール、ボンソワール、マダム、マドモワゼル、ムッシュなど今でも覚えている。

 前にインドソケイを紹介した時、その方言名がフランギニハであり、意味は不明と書いたが、今回ちょっと(ホントにちょっと、10分ほどかけて)調べてみた。
 フランギニハのギが木、ハが葉と充てられることからフランにも方言の、何らかの意味があるのだろうと、沖縄語辞典を引く。フラー(馬鹿者という意味)はあるが、フランは無い。ならば、英語名かもと思って英語辞書を引く。frangibleというのがある。「折れやすい」という意味。インドソケイの枝は折れやすい。ここからきているのかもしれないと思ったが、フランギニハと発音されるような単語は無い。
 沖縄語辞典にも、英語辞書にも、フランの近辺にフランスという言葉がある。そこではたと気付いた。フランギニハは方言でも英語でも無く、フランス語に違いないと。ところが、私の部屋にフランス語辞書は無い。大学の頃使っていた辞書はとうの昔に処分している。よって、フランス語に違いないという私の判断が当たっているかどうかは不明。
 
 ベニバナインドソケイ(紅花印度素馨):添景・花木
 キョウチクトウ落葉低木 原産分布は熱帯西アメリカ 方言名:バンカ
 インドソケイ(プルメリア)と呼ばれるものは白色、または黄色花の中木で、本種はその基本種。公園や民家などに多く見られるのはインドソケイの方。
 基本種こそインドソケイと名付けて、白色や黄色花のものをシロバナインドソケイ、キバナインドソケイと名付けるのが本筋であろうと思うのだが、おそらく、日本に入ってきた順ということであろう。本種は、花色が赤いのでベニバナとつく。
 ソケイは素馨と書き、モクセイ科の常緑低木でジャスミンの一種、花に芳香がある。本種は別科であるが、同じように花に芳香があるということでソケイとつく。
 方言名のバンカは、『沖縄の都市緑化植物図鑑』にあり、播花という字が充てられている。播は、種を播くの播で、平らに広がるという意味がある。本種は枝を横に広げる。
 花には芳香がある。ハワイではレイフラワーに用いられるとのこと。多種の園芸品種があって、花色は淡桃色~赤色、基本種は赤。開花期は7月から10月。
 高さ3m。排水良好でやや乾燥地を好む。樹冠が大きくなるので適宜の剪定を要する。
 学名は、ベニバナインドソケイPlumeria rubra L.
 インドソケイPlumeria rubra L. f. acutiforia
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2009.1.31 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行