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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヒリュウシダ

2017年08月20日 | 草木:シダきのこ他

 イネ科の雑草は見た目似ているものが多く、パソコンの不明植物フォルダの中の、雑草イネ科フォルダには約40種の写真が収められている。これらが何者か判明するのは、オッサン(私)の脳味噌を叱咤激励してもっと勉強して後、何年も先になるだろう。
 イネ科植物は、見た目で「これはイネ科だな」と判るものが多い。なので、1つのフォルダにまとめることができる。他の植物は何科なのか判断できないものが多いので、それらは科別では無く、木本、草本のそれぞれを花の色などで分けている。花の咲いていない場合は葉に特徴のあるものは「葉」フォルダなどに収めている。
 シダ類は「シダ類」として1つのフォルダがある。これもイネ科と同じく見た目で「これはシダ類だな」と判るものが多いからだ。シダは全体の形や葉に特徴がある。
 ところがまた、シダ類もイネ科と同じく見た目似ているものが多く、そのフォルダの中には10種余の写真が収められている。古いものは2008年4月の写真だ。5年以上も何者か不明のまま放っておかれているわけだ。それをオッサンは頑張った。
 手持ちの図鑑2冊に沖縄のシダ植物があり、それらに加え、図書館からさらにもう1冊の沖縄のシダ植物を紹介している図鑑を借りた。パソコンの写真と図鑑の写真を見比べること1週間、述べ10数時間かけて6種類が判明した。ヒリュウシダもその1つ。
 
 ヒリュウシダ(飛竜羊歯):鉢物
 シシガシラ科の多年生シダ 屋久島以南の南西諸島などに分布 方言名:シシバー
 名前の由来は資料が無く不明。シダは広辞苑にあり、羊歯と書いて「茎は多く地中にあり、そこから葉と根を生ずる」とあり、また、羊歯植物の項では「苔植物と裸子植物との中間に位し、胞子で繁殖する植物。無性世代(胞子体)は葉・茎・根の区別があり、大木となる木生シダもある・・・」と難しい説明がある。私の認識では「花は咲かない、実も着けない、葉の裏に胞子があり、繁殖は胞子による」となっている。
 飛竜という漢字は私の想像による。飛竜は「空を飛びまわるという竜」(広辞苑)で、本種がシシガシラ科であることから思いついた。シシガシラは獅子頭で、シシガシラ科のシダ類の姿が獅子頭に似ているからであろう。獅子頭に喩えられるほど勇壮であれば、飛竜もまた似合う。すると、方言名のシシバーは獅子葉のことかもしれない。
 山地の路傍などに生える葉長2mほどになる常緑の大型シダ。「根茎は太く、大きな塊状で、立ち上がって直立する」と文献にあったが、根茎は未確認。「葉は大型で多くが集まって束生する」、「葉は1回羽状複葉複生、小葉は線形で長さ10~30センチ」などについては写真の通り。葉柄は黄褐色で小葉ともに光沢がある。「春先の若葉は深い紅色を帯びて見事」ともあり、鉢物にして観賞するのに向いているとのこと。
 陽地性で過湿に弱い。新芽は食用になる。

 記:島乃ガジ丸 2013.10.5 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行


ハチジョウカグマ

2017年08月20日 | 草木:シダきのこ他

 植物の名前や動物の名前のその由来に私は多少興味があって、できるだけ調べるようにしている。名前の由来を記したいくつかの文献も持っている。いくつかの文献の内、最初に見るのは広辞苑、広辞苑には名前の漢字が記されていることが多い。漢字が判ると由来が想像しやすいことが多い。そうやって勝手に想像して、後で別の文献で確かめる。
 ハチジョウカグマは広辞苑に無く、他の文献にも名前の由来や漢字表記は載っていなくて、したがって、自分で勝手に想像するその勝手度合いは100%の勝手となった。
 100%勝手に想像はしたけれど、カグマについては私の想像も及ばなかった。「たぶんこうだろう」と思えるほどの想像もできなかった。カグマという言葉は、漢字表記は記されていなかったが、意味は広辞苑にある。「リョウメンシダの別名」とのこと。たったそれだけで、リョウメンシダの別名が何故カグマなのかは書かれていない。
 そこで、その漢字表記を勝手に考えた。先ず「嗅ぐ魔」、「匂いを嗅ぐことが好きな魔物がいて、その姿が、例えば髪の毛がシダの葉のようになっている」から。そしてもう一つ「家具間」、「山に住む魔物のテーブルや椅子、チェストや本棚などの間に生えていそうなシダ」だから。・・・どちらも全く説得力が無いので、自ら却下した。
 
 ハチジョウカグマ(八丈かぐま):鉢物
 シシガシラ科の多年生シダ 関東南部~南西諸島、台湾などに分布 方言名:シシーバ
 名前の由来は資料が無く不明。八丈と漢字を充てたのも私の勝手な推理による。八丈を勝手に充てて、カグマはどうした?と言われそうだが、カグマは全く想像できなかった。ただ、カグマを広辞苑で引くと「リョウメンシダの別名」とあった。リョウメンシダはオシダ科の常緑シダで本種と科は異なるが、見た目似ているらしい。
 八丈については、八丈島で多く見られるからとも考えたが、葉が大きく、それを八丈と喩えたからではないかと考えた。方言名のシシーバは前回紹介したリュウビンタイのシシバと同じで獅子葉という意味だと思われる。両者は同じシシガシラ(獅子頭)科。
 「葉の表面にびっしりと無性芽をつけることから」コモチシダ(子持ち羊歯)という別名がある。陽地性のシダで多湿を嫌う。若葉は濃い紅色となり美しいとのこと。
 低山地の川岸、土手、路傍、崖などに生育する大型のシダ。「湾曲した葉を垂れ下げて群生する」と文献にあったが、私が見たのはまだ若く、群れてはいなかった。
 
 表
 
 裏

 記:島乃ガジ丸 2013.10.25 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行


ヌカボシクリハラン

2017年08月20日 | 草木:シダきのこ他

 元美人妻のIさんは料理屋を営んで自ら料理をする。彼女の料理は主に和食。漬物も自ら漬ける。彼女の漬物は主に2種、和風の糠漬けと洋風のピクルス。彼女のピクルスは酸味が柔らかくて美味しい。だが、私は彼女の糠漬けの方をより好んでいる。日本酒の好きな私は、その肴に漬物を好むが、中でも糠漬けは若い頃から大好きだった。
 日本酒の肴に、私は干物も大いに好む。アジ、サバなどをよく食べ、時にはカマスやイカなども食う。沖縄産干物が無い(私は見たことが無い)のを残念に思っている。
 数年前から貧乏になってしまい、口にする機会は減ったのだが、秋になると日本酒が飲みたくなり、漬物や干物を数年前まではよく買っていた。
 秋と言えば、果物の栗も私は好きである。主にスーパーに置いてあるレトルトパックされたむき栗を買って食べている。温かいぜんざいの中に入れて食するのも好きだ。

 私の好物である食物が3つも入っている名前を持ったシダ植物があった。ヌカボシクリハラン。その名前を見た時「何だか美味そうな名前」と感じたのはそのせいであった。ところが、最後のハラン、これを波乱と捉えると、私の好まない人生となる。私は穏やかで静かな人生を好んでいる。淡々と畑を耕している人生でありたい。
 
 ヌカボシクリハラン(糠星栗葉蘭):壁面装飾
 ウラボシ科の多年生常緑シダ 方言名:不詳
 名前の由来、クリハランが広辞苑にあり、栗葉蘭という漢字表記で本種と同じくウラボシ科の常緑シダ。「クリの葉に似た長さ15センチメートル内外の葉を生ずる」ことからクリハ(栗葉)、ラン(蘭)はラン科植物の総称だが、スズランやクンシランのように別の科でもランと似ている、または生息地が似ている場合などには用いられる。
 ヌカボシ(糠星)も広辞苑にある。「晴夜の大空に見える多くの小さい星」のことで、「糠のようにこまかく見えるからいう」と語源もあった。本種の胞子嚢群は円形で葉の下面に散らばている。それを糠星に喩えたものと思われる。
 森林の陰地となる場所に生えるシダ。根茎は地上や岩上、樹木の幹に長く這い、貼り付くようにして群生する。葉は革質で、縁は緩やかに波打つ。

 記:島乃ガジ丸 2013.10.25 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行


タマシダ

2017年08月20日 | 草木:シダきのこ他

 道端や野原に生えている植物が雑草なのか観賞用なのか、判断に苦しむことも多い。今回別項で紹介しているリュウキュウイノモトソウもそうである。職場の庭に勝手に生えていて、刈ってもまたすぐに生えてくる。リュウキュウイノモトソウをわざわざ植えて、庭の景色にしているところも私は見たことが無い。よって、リュウキュウイノモトソウは、私の感覚では雑草ということになる。ところが、去年の四国の旅で、宇和島の公園を訪れた際、そこにイノモトソウがあり、それには名札もあった。わざわざ植えて、名札を付けているのだ。これは雑草とするわけにはいかない。イノモトソウが雑草では無いので、その兄弟であるリュウキュウイノモトソウも雑草にしなかったというわけである。

 タマシダもリュウキュウイノモトソウと同じく、野原に自生しているのを見る。リュウキュウイノモトソウは「雑草にしようか」と悩んだが、タマシダはちっとも悩むことは無かった。なぜなら、タマシダは観葉植物の鉢物として、園芸店で見かけたことがあるし、また、庭の景色として植えられているのも見ているからである。
 先週紹介したホシダは雑草としている。同じシダ植物なのに可哀想な感じもするが、ホシダは、私の感覚では間違いなく雑草となる。勝手に生えて、勝手に広がるという点では同じだが、ホシダは煩くて、タマシダは控えめだからだ。でしゃばるかでしゃばらないかで雑草かそうでないかの区分となる。学術的にそうなのでは無く、私の気分である。
 
 タマシダ(玉羊歯):地被・鉢物
 シノブ科の多年生シダ植物 伊豆半島以南、琉球列島、他に分布 方言名:ムカヂグサ
 今回から参考文献に加えさせてもらった『沖縄の野山を楽しむ植物の本』に名前の由来があった。「根に直径1~2センチほどの玉のような塊茎という芋をつける・・・そこからタマシダという和名がついて」いるとのこと。私はまだその玉を確認していない。近所の民家の庭にタマシダはあるが、それを引き抜くわけにもいかない。
 方言名のムカヂグサは、正確にはンカヂグサと表記するものと思われる。ンカヂはムカデのこと。タマシダの葉がムカデに見えるということなのであろう。方言名は他に、マヤークーガがあるが、これはマヤー(猫)のクーガ(睾丸)という意味。玉のような塊茎を猫の金玉に見立てたもの。猫の金玉が直径1~2センチほどかどうかは不明。
 葉の長さは30センチ内外で、高さ50センチほどになる。半日陰で湿地を好むが、乾燥にも強く丈夫な植物。繁殖力が旺盛で成長も速い。胞子嚢は羽片裏の縁につく。
 野山に自生するありふれたシダ植物であるが、観葉植物として人気があり、葉は生花にも利用される。庭の石組みの根締めとして使われているのもよく見る。

 記:島乃ガジ丸 2007.6.24 →沖縄の草木目次タマシダ
 道端や野原に生えている植物が雑草なのか観賞用なのか、判断に苦しむことも多い。今回別項で紹介しているリュウキュウイノモトソウもそうである。職場の庭に勝手に生えていて、刈ってもまたすぐに生えてくる。リュウキュウイノモトソウをわざわざ植えて、庭の景色にしているところも私は見たことが無い。よって、リュウキュウイノモトソウは、私の感覚では雑草ということになる。ところが、去年の四国の旅で、宇和島の公園を訪れた際、そこにイノモトソウがあり、それには名札もあった。わざわざ植えて、名札を付けているのだ。これは雑草とするわけにはいかない。イノモトソウが雑草では無いので、その兄弟であるリュウキュウイノモトソウも雑草にしなかったというわけである。

 タマシダもリュウキュウイノモトソウと同じく、野原に自生しているのを見る。リュウキュウイノモトソウは「雑草にしようか」と悩んだが、タマシダはちっとも悩むことは無かった。なぜなら、タマシダは観葉植物の鉢物として、園芸店で見かけたことがあるし、また、庭の景色として植えられているのも見ているからである。
 先週紹介したホシダは雑草としている。同じシダ植物なのに可哀想な感じもするが、ホシダは、私の感覚では間違いなく雑草となる。勝手に生えて、勝手に広がるという点では同じだが、ホシダは煩くて、タマシダは控えめだからだ。でしゃばるかでしゃばらないかで雑草かそうでないかの区分となる。学術的にそうなのでは無く、私の気分である。
 
 タマシダ(玉羊歯):地被・鉢物
 シノブ科の多年生シダ植物 伊豆半島以南、琉球列島、他に分布 方言名:ムカヂグサ
 今回から参考文献に加えさせてもらった『沖縄の野山を楽しむ植物の本』に名前の由来があった。「根に直径1~2センチほどの玉のような塊茎という芋をつける・・・そこからタマシダという和名がついて」いるとのこと。私はまだその玉を確認していない。近所の民家の庭にタマシダはあるが、それを引き抜くわけにもいかない。
 方言名のムカヂグサは、正確にはンカヂグサと表記するものと思われる。ンカヂはムカデのこと。タマシダの葉がムカデに見えるということなのであろう。方言名は他に、マヤークーガがあるが、これはマヤー(猫)のクーガ(睾丸)という意味。玉のような塊茎を猫の金玉に見立てたもの。猫の金玉が直径1~2センチほどかどうかは不明。
 葉の長さは30センチ内外で、高さ50センチほどになる。半日陰で湿地を好むが、乾燥にも強く丈夫な植物。繁殖力が旺盛で成長も速い。胞子嚢は羽片裏の縁につく。
 野山に自生するありふれたシダ植物であるが、観葉植物として人気があり、葉は生花にも利用される。庭の石組みの根締めとして使われているのもよく見る。

 記:島乃ガジ丸 2007.6.24 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行


シャコバサボテン

2017年08月20日 | 草木:シダきのこ他

 シャコバサボテン、クリスマスカクタスという名前で知っている人も多かろう。クリスマスの時期に花が咲くのでその名がある。実は、クリスマスカクタスの記事は書きかけてあった。「クリスマスと名のつく植物を文献で探したら、2つあった。クリスマスローズとクリスマスカクタス。クリスマスカクタスはよく知っている。和名のシャコバサボテンでも知っていて、沖縄でもよく見かける。・・・クリスマスカクタスの写真は、撮ろうと思えば園芸店に行って撮れるのだが、まだ撮っていない。よって、これは次回(たぶん今年の年末)に紹介しましょう。」と書いてセツブンソウ(クリスマスローズ)を紹介したのは2007年1月のこと。その後すぐに、クリスマスカクタスを調べ、その記事の冒頭は書いてあったのだ。それから約4年経った。まるっきり忘れていた。
 実は、「クリスマスカクタスの写真は、撮ろうと思えば園芸店に行って撮れる」と思っていたのだが、今回、何軒かの園芸店を見て回ったが、どこにも無かった。もしかしたらクリスマスカクタスはクリスマスの花としての人気を失くしたのかもしれない。ということは、2007年から2009年のクリスマスの時期にも無くて、それで、クリスマスカクタスのことを私が思い出せなかったのかもしれない。

 20年ほど前、私は観葉植物に興味があって、シャコバサボテンのこともその頃に知っている。シャコバサボテンに似たカニバサボテンも知っている。知ってはいるが、両者並べて、どれがどっちかを判断できないかもしれない。子供の頃から私はそういう性質なのだが、ものごとを細かく観察する能力に欠けている。さらに、その頃どっちがどれか判断できたとしても、既に忘れている。記憶力が弱いということも私の性質だ。
 
 シャコバサボテン(蝦蛄葉仙人掌):鉢物・盆栽
 サボテン科の多年草 南アメリカ原産 方言名:ガニラン
 シャコ(蝦蛄)はシャコ目の甲殻類で海に住む動物、本種の葉の形がシャコの体の形に似ているところからその名がつく。サボテンはサボテン科の常緑多年草で、本種もその一種。サボテンという名は、「石鹸の意のポルトガル語のサボと「手」との合成語」(広辞苑)とのことだが、「石鹸の意」は、サボテンの液が石鹸の代用となったから。
 方言名のガニランはカニ(蟹)蘭という意味。ラン科では無いが、花がきれいなのでランと付いたのだと思われる。カニはシャコと同様葉の形から。葉の形をシャコに見立てたか、カニに見立てたかの違い。和名でカニバサボテンという種もある。サボテン科の多年草でブラジル原産。本種とよく似ている。沖縄ではどちらもガニラン。
 カニバサボテンに比べると茎節が角張っている。園芸品種がいろいろあり、花色は赤、桃など。開花期は11月から12月。11月から12月に開花することからクリスマスカクタスという別名もあり、その時期、その名で園芸店でよく見かけた。ちなみに、カニバサボテンの別名はイースターカクタス、イースターは復活祭、開花期は1~2月。
 なお、写真はシャコバサボテンの交配種で、デンマークカクタスという名。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2010.12.16 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行