私が散策する那覇市、西原町、浦添市、宜野湾市にある公園などで見られるシダ植物と言えば先ず、オオタニワタリ、シマオオタニワタリが浮かぶ。その他タマシダ、リュウキュウイノモトソウ、ホシダ、ヘゴなどもよく見る。でも、シダ類、そう多くは無い。
ヤンバル(沖縄島北部の通称)の山中を散策すると、それはもう、シダ植物がぐんと増える。シダ植物が都会の風に弱い、車の排気ガスなどに弱いなどという話は聞かないが、どうも、人気の少ない山中の方が彼らの好む環境であるようだ。
2011年7月、東京で女一人庭師をしているTさんが沖縄に商用で来て、その運転手としてお伴をした。その1日、ヤンバルの山を二人で散策した。山は沖縄で一番高い与那覇岳。沖縄島北部の自然植生を残している場所だ。それらを観察しながら歩いた。
もう既に、沖縄の動植物を紹介するようになって数年を経ている私なので、散策しながら「これは何、あれは何」と植物の名前をTさんに教える。ただし、庭師をやっていて鉢物も扱っているTさんなので、私も彼女からいろいろ教わった。
それまで、シダ植物については園芸店で鉢物にもなっている有名どころはいくつか知っていて、既にHPでも紹介しているが、シダ植物は互いに似ているものが多く、パッと目には「これは他とは違う」ということに私は気付かない。それをTさんは「これは珍しいシダです」とか、「これはたぶん・・・だと思います」とか教えてくれた。
「なるほど、シダにもいろんな種類があるんだ」と彼女が目を向けたシダの類をいちいち写真に収めた。その数、たぶん10種類は軽く超えている。「ヤンバルの山にはシダ植物が豊富にあるんだ」と思った。10種類を軽く超えた中で、たった一つだけ名前を覚えているものがある。「あの大きなのはリュウビンタイだと思います」とTさんが言ったのを、「大きい」と共に、竜というかっこいい名前が印象に残っていた。
リュウビンタイ(竜鬢帯):鉢物
リュウビンタイ科の多年生シダ 関東南部~南西諸島などに分布 方言名:シシバー
名前の由来は資料が無く不明。竜鬢帯という字も私の想像による。竜はご存じ想像上の怪物、鬢は「頭の左右側面の耳ぎわの髪」(広辞苑)で竜鬢筵という単語がある。「細藺を五彩に染めて織った筵。「はなござ」の類」(〃)とのこと。竜の耳ぎわの髪のような筵ということで、「五彩」というからにはきれいなのであろう。竜の髭はその絵によく見るが、竜の鬢には気付かなかった。リュウビンタイは大型のシダで葉の長さが2mを超える。その勇壮さを竜の鬢のような帯に喩えたのではないかという根拠。
方言名のシシバー、前回紹介したヒリュウシダの方言名もシシバーで、私の写真では判り辛いが、文献の写真を見ると両者は似ている。シシバーは獅子葉だと思われる。
低山地の林内に生育する。大型シダのヒリュウシダよりもさらに大きなシダ。「根茎は太い塊状、表面はうろこ状、葉柄の基部に肉質のふくらみがあり、本種の特徴となっている」などとあるが、私は未確認。葉は2回羽状複葉で、光沢のある浅緑色。
根茎の表面はうろこ状となっていることから別名ウロコシダ。陰地性で乾燥に弱い。
記:島乃ガジ丸 2013.10.5 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
もう何年も倭国への旅をしていないが、九州でも四国でも他の地でも山を歩くと、ここは沖縄では無いと認識できる景色が広がる。沖縄にはほとんど無い杉林、または、沖縄には無いと思われる檜林だ。すくっと真っすぐ伸びたのっぽの林は沖縄に無い。
その林を歩くと、スギは、おそらくテレビなどでよく見ていたせいか、私でもそれがスギだと認識できるが、ヒノキについては、その特徴を上手くつかめないせいか、「これはヒノキである」としっかり認識することができない。
前に紹介したヒリュウシダの頁で、「シダ類もイネ科と同じく見た目似ているものが多く、そのフォルダの中には10種余の写真が収められている・・・何者か不明のまま放っておかれている」と書いたが、その中で一つだけすぐに何者か判明したものがある。それが今回紹介するミドリカタヒバ、葉の形が他のシダとは違うのですぐに判った。
ミドリカタヒバのヒバは桧葉、つまりヒノキの葉ということだが、上述したように私は確信を持って「これはヒノキ」と認識したことが無いので、ヒノキの葉をイメージすることができない。ミドリカタヒバの葉は、上述したように特徴的な形をしているが、それがヒノキの葉に似ているかどうかは、したがって、私には確信を持って言えない。
ミドリカタヒバ(緑片桧葉):鉢物
イワヒバ科の多年生シダ 屋久島以南の南西諸島、他に分布 方言名:不詳
名前の由来、カタヒバ(片桧葉)が広辞苑にあった。本種と同じイワヒバ科のシダ。カタヒバの葉は黄緑色だが、本種は「葉は濃い緑色」ということで、ミドリ(緑)と付いたものと思われる。カタヒバについては、カタ(片)は「整わないこと」(広辞苑)でヒバ(桧葉)は「ヒノキの葉」(〃)のこと。ヒノキは沖縄に産しないので、正しいかどうか自信は無いが、形の整わないヒノキの葉に似たものという意だと思われる。
『琉球弧野山の花』にはミドリカタヒバという名ではなく、別名のオニクラマゴケで載っていた。クラマゴケは広辞苑にあり、鞍馬苔という漢字表記で同じくイワヒバ科の多年生シダ。鞍馬は京都にある地名、そこに多く見られたということかもしれない。本種はクラマゴケより大きい、または荒々しく感じられるので鬼が付いたのかもしれない。
山地の林下に生える。茎は多く分枝して直立、または斜上し、全体がこんもりとした形状となる。複葉は長楕円状菱形で、背葉は卵状被針形で独特な形状をしている。その通り独特な形なので、私でもすぐに何者か判明させることができた。
葉
記:島乃ガジ丸 2013.10.25 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
私の実家は那覇市の住宅密集地にあり、ほぼコンクリートとアスファルトに囲まれていて、庭らしい庭のある家は少ない。実家の向かいにごく小さなもの、通りの端の家に同じくらいごく小さなものものがあるだけだ。緑が圧倒的に不足している。実家に庭は無い。門内に幅25センチ、長さ1メートルほどのごく小さな花壇があるだけ。
仏間である6畳の畳間は祖母の寝室でもあった。そこは西側にあり、西面は全面掃き出しの窓となっており、窓の外は幅1メートルほどのベランダとなっていた。祖母の寝室は西日があたり、夏はとても暑くなった。東京の大学生活から沖縄に戻って実家に住むようになってから私はそれに気付き、ベランダの外側にネットを張りツル植物を這わせた。既にベランダにはいくつかの鉢物が置いてあったが、それを増やした。
私の部屋の上は陸屋根の屋上で、コンクリートの輻射熱で夏場は部屋に熱がこもった。それを何とかしようと、部屋の上にあたる部分にプランターや鉢物を置いた。
そんなこんなでその頃、私は園芸店によく通い、当時流行っていた観葉植物などをよく目にしている。シノブという植物もおぼろげに記憶している。吊り下げられた小さな素焼き鉢にモサモサした葉を垂れ下げている植物であった。
ホラシノブはシノブと名が付いているが、私のおぼろげな記憶にあるシノブとはあまり似ていない。シノブはもっと緑が濃かった、忍という名に相応しく、もっと小さく大人しい感じがした。でもおそらく、形か何かが似ているのであろう。
ホラシノブ(洞忍):鉢物
ホングウシダ科の多年生シダ 東北南部~南西諸島などに広く分布 方言名:不詳
名前の由来は資料が無く不明。洞忍は私の想像。忍は広辞苑にあり「シノブ科のシダ」のこと。シノブは沖縄には生育しないようだが、私は鉢物で見たことがある。小さなシダで、本種はそれよりずっと大きいが、形が似ているものと思われる(見たのは若い頃なので記憶はおぼろげ)。ホラは洞と法螺が考えられるが、本種が法螺貝に似ているところは少しも無いので法螺は除外、洞は「崖がけや大きな岩・大木などの、中がうつろな穴」(広辞苑)のことで、こちらの方がずっと意味として似つかわしい。
洞はしかし、暗い場所をイメージさせる。ところが本種は「陽当りのよい山裾の路傍や斜面などに多く見られる」と文献にあった。穴の中より太陽が好きなようだ。
根茎は短く、地上を這い、葉は束生する。葉は3~4回羽状複葉で葉の長さは15~60センチ、小葉の先が丸いのが特徴。全体の高さは30~70センチ。
群れ
記:島乃ガジ丸 2013.10.23 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
私は怒鳴るのも嫌いだが、怒鳴られるのも嫌いである。大学生活で東京にいる頃、バイト先で怒鳴る人のいるところはストレスとなった。怒鳴り合うことで気合が入り、仕事が上手く行く人もいるかもしれないが、「大声出さなくても聞こえるし、むしろ、静かに語った方が何を言っているのか理解しやすいです。」と私は言いたかった。
怒鳴るのも怒鳴られるのも、何しろ煩い。私は煩いのが嫌い。車のクラクションもテレビの大音量も嫌だし、音だけでなく、前髪が伸びて目に当たるのも煩いと思う。
シダ植物は既に数種紹介しているが、ワラビは大きすぎて、ホシダは広がり過ぎて煩いと思う。ワラビを庭の景色として植えているのを見たことが無い。ホシダは庭でよく見るが、雑草扱いされている。煩いのは庭の景色に向かないのだと思う。
タマシダやオオタニワタリ、オキナワウラボシなどは景色となる。オオタニワタリは大きいが、形が整っている。タマシダやオキナワウラボシはこじんまりとして、広がり方も遠慮勝ちである。控えめなので煩くない。なので庭の景色に向く。
今回紹介するホウライシダは、小さいシダだが、壁の一面に広がったりしているのを見るので、私は初め雑草の部類に入れようと思った。文献に「庭の材」とあった。そう言えば、壁の一面に広がっていても煩さを感じない。丈が低いので遠目に見れば緑の壁掛けに見えないことは無い。大きめの苔と思えば、そう思えないこともない。
ホウライシダ(蓬莱羊歯):石庭の装飾など
イノモトソウ科の常緑シダ 関東南部~南西諸島、他に分布 方言名:カヌッワ
名前の由来は資料が無く不明。蓬莱は「中国の伝説で、東海中にあって仙人が住み、不老不死の地とされる霊山」(広辞苑)のこと。前にホウライチクを紹介しているが、その頁では「蓬莱は中国伝承の神仙境の意でこの竹を賞賛して名付けられた」と書いたが、本種は「賞賛する」ほどのシダとは思えない。おそらく、「霊山のような深い山の中に見られるから」ということではないかと思われる。
石灰岩質で日陰の環境を好み、岩肌や井戸の周辺に生える。根茎は短く、それが岩などに吸着する。葉柄や葉軸は濃紫色で光沢があり、葉は密に出る。葉の小羽片の上部がいくつかに裂け、その部分が裏側に折れ曲がって、そこに胞子がある。
初め、雑草扱いしようと思ったが、『沖縄園芸大百科』によると庭の装飾や鉢物などに使われるらしい。鉢物と言えば、観葉植物で有名なアジアンタムと同属とのこと。アジアンタムに比べると全体に小型で、高さは10~25センチ。
日本の他、台湾、中国、その他熱帯地方に広く分布する。
表
裏
記:島乃ガジ丸 2010.11.23 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
私の弟は運動神経に長けていて、小学校の体力測定で、50メートル走、走り幅跳び、ソフトボール投げ、その他の種目で全校一の記録を打ち立てた。
弟とは正反対に、私は運動オンチであった。小学校の運動会のかけっこで、私は常にビリか、ビリから2番目であった。運動会は好きじゃなかった。弟と常に比較されて、兄は辛かったのである。中学3年になって、急に運動能力が発達して、リレーの選手に選ばれるほどになったが、それでも、当時小5の弟に勝てたかどうかは確信が持てない。少なくとも小学校6年の彼の記録に、高1の私はソフトボール投げで及ばなかった。
私が23、4、弟が、・・・その頃飲みに行っているので20歳の頃、一緒にバッティングセンターへ行き、スピードガンで投げる球の速さを測った。渾身の力を込めて投げた私が100キロそこそこだったのに対し、弟は軽く投げて130キロ近くあった。弟の球の速さは実感していた。キャッチボールをする時、彼の投げる球は唸りをあげていた。
褒美の冠を受けるなんてことを、弟は数え切れないほど経験しているが、私はかつて一度も経験が無い。今回紹介する植物、ホウビカンジュは、調べると鳳尾貫衆と書くのであったが、私は初め褒美冠受と連想して、そこから弟のことを思い出した。
ホウビカンジュ(鳳尾貫衆):野草
シノブ科の常緑多年生シダ 方言名:不詳
ホウビは鳳尾と書き、「鳳凰(ほうおう)の尾」(広辞苑)のこと。鳳凰は「古来中国で、麒麟・亀・竜と共に四瑞として尊ばれた想像上の瑞鳥」(広辞苑)のこと。ホウオウボクはその花が鳳凰に見立てられているが、本種はその葉が鳳凰の尾のようであるよいうこと。鳳尾蕉というのが広辞苑にあり、「ソテツの異称」となっている。
カンジュが何なのか、調べるのにちょっと苦労したが、カンジュウ(貫衆)という生薬があって、その原料となるものが数種のシダ植物で、本種もそれに含まれている。
葉の長さは100~150センチになる。海岸近くの岩壁や樹木の幹に着生し、垂れ下がる。胞子嚢は、葉裏の両側縁寄りに1列に並ぶ。
大型のシダで密生するので、民家の庭には使いづらい。公園などの面積の広い壁面の緑化に使える。
葉裏
記:島乃ガジ丸 2008.1.5 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行