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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

刺身5イカとタコ

2012年05月25日 | 飲食:飲物・嗜好品

 日本人の好物

 子供の頃から食べ親しんでいる刺身といえばマグロ、カジキ、イカ、タコの4種。これらのどれも私は好きであったが、どちらかといえば肉質の柔らかいマグロやカジキが好みであった。であったが、オジサンと呼ばれる歳になってからはイカ、タコを好むようになっている。少し炙って、血圧を気にしながら塩をつけて食ったりしている。
 もちろん、イカもタコも生で食えるような新鮮な物であれば生でも美味い。イカであれば沖縄産のソデイカ、倭国産のスルメイカ、ヤリイカなどの生がスーパーで手に入る。ところが、タコの生にはなかなかお目にかかれない。某スーパーでたまに見るが、タコは茹でダコが一般的。イカのクブシミも生ではスーパーに無い。クブシミ(シロイカも)は品質の劣化が早く、生では流通に乗らないようだ。タコも同じことかもしれない。

 イカの刺身と言えば、沖縄ではクブシミがその代表であった。生では無く茹でクブシミが食卓に上った。いつ頃からだったかはっきり記憶は無いが、十数年前まではイカの刺身と言えばクブシミであったが、以後はセーイカ(ソデイカ)が主流となる。セーイカは日持ちするらしく生のままスーパーに並ぶ。冷凍しても味にさほど変わりがないようで、冷凍生セーイカもよく見る。値段もクブシミより安い。
  シロイカ(アオリイカ)もごく新鮮であれば生で食せるらしい、その味はとても美味いらしいが、私は食ったことが無い。自分で釣るしかないようだ。

 タコの刺身と言えば、沖縄ではシマダコが一般的だが、シガヤー(テナガダコ)もスーパーでは見ないが、魚市場に行けば置いてある。シマダコもシガヤーも魚市場では生のものもある。でもたぶん、買って帰って食べる時は茹でないとダメであろう。
 そういえば、魚市場にはクブシミの生もあった。これもたぶん、「茹でてから食べた方が美味しいですよ」となるだろう。シロイカはスーパーでも生で置いてある。ただし、生シロイカも冷凍シロイカも火を通して食す。概ねはイカ墨汁にする。

 コブシメ(こぶしめ):コウイカ科の軟体動物
 コウイカ科の一種 奄美以南、インド太平洋各地に分布 方言名:クブシミ
 『沖縄大百科事典』に「和名はウチナーグチのクブシミから来ている」とあったが、そのクブシミの由来が不明。シミは墨だと思われるが、クブが何か?方言でクブは蜘蛛のことを差す。蜘蛛の糸のように墨を吐くということか?あるいは、壁のことを方言でクビという。吐かれた墨が壁のようになるという意味でクビシミが訛ったものか?
 外套長50センチの大型のイカ。触腕の先端が半月状になっているのが特徴。コウイカの類は「肉が厚く刺身として美味」(広辞苑)だが、クブシミも「肉は美味で高価」(沖縄大百科事典)とある。茹でられたものでも美味だ、生を食ってみたい。
      
 シマダコ(島蛸):マダコ科の軟体動物
 沖縄で獲れるマダコ科マダコ 世界に広く分布 方言名:タク
 タコという名前の由来は資料が無く不明。シマは島(沖縄)という意。タコは「頭足類タコ目(八腕類)の軟体動物の総称」(広辞苑)で、ウチナーンチュがシマダコと認識しているのは沖縄で獲れるマダコのこと。マダコ(真蛸)は「マダコ科のタコ。体長は腕を含めて約60センチ・・・本州以南で最も普通に漁獲される種」(〃)のこと。
 マダコが「本州以南で最も普通に漁獲される種」である通り、シマダコもまた、「珊瑚礁の砂礫帯にもっとも普通に見られるタコ」(沖縄大百科事典)とあった。
 マダコが「体長は腕を含めて約60センチ」である通り、シマダコもまた、体長60センチ。体表は網目状の模様で、環境の変化に応じて体の色彩を変えるとのこと。
      
 記:2012.5.21 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


刺身4マグロとカジキ

2012年05月18日 | 飲食:飲物・嗜好品

 刺身といえば

 子供の頃から食べ親しんでいる刺身といえばマグロ、カジキ、イカ、タコの4種。白身の魚もたまにはあったが、それがタマンなのか、イラブチャーなのか、マチの類なのか、ミーバイの類なのか、両親も祖父母も死んだ今、確かめようも無い。
 白身の魚は概ね値段が高い。だから滅多にお目にかかれない。だけど、子供の口には柔らかくて癖の無いマグロが合っていた。私は大好きだったし、祖父も父も大好きだったようで、種類を言わずに「刺身買っておいで」と、近所のサシミヤー(精肉鮮魚店)へ使いに出された時の刺身は、ほぼ決まってマグロの刺身であった。

 マグロの刺身と言えば、尊敬する詩人山之口獏の作品に『鮪と鰯』がある。ここに全文載せるのは著作権の問題がありそうなので、最初の2行だけ。

 鮪の刺身が食いたくなったと
 人間みたいなことを女房が言った。

 詩の主旨は原水爆実験のことを憂えたもの。そこに鮪と鰯が脇役として出てくる。鮪は高級な物、鰯は安物などと特に書いてはいないのだが、鮪の刺身を食うのは人間だ、ということでそれが解る。獏はとても貧乏だったので、高級な物は食えなかったのだ。

 とても貧乏だった獏は食えなかったようだが、普通に貧乏だった私が子供の頃の我が家では年に何回かは鮪の刺身が食卓に上った。鮪では無くカジキだったかもしれないが、子供の口に両者の違いは分からない。おそらく、マチとかタマンとか白身の高級魚に比べれば、マグロやカジキの方が安価だったのかもしれない。
 ちなみに、最近買ってきたキハダマグロの刺身は短冊で100グラム178円、マカジキは同じく短冊で100グラム228円。ウチナーンチュの伝統食豚肉で言えばロースクラスの値段だ。私が良く使っている腿肉切り落としが安売りの時で128円なので、それに比べるとずっと高い。マグロやカジキの刺身は普通にワサビ醤油で食う分にはさほど美味いものとは、オジサンとなった私には感じられない。ホンマグロにしたって、その値段を加味して考えれば、時間かけて作った豚三枚肉のラフテーには及ばないと思う。
 とはいえ、ウチナーンチュにとって刺身と言えばマグロであることに変わりない。どこの居酒屋に行っても、刺身盛合わせにはマグロがほぼ決まって入っている。しかし、ウチナーンチュにとって刺身と言えばカジキとは、少なくとも現在は言えない。マグロの刺身はいつでもスーパーにあるが、カジキの刺身はたまにしか見ない。

 マグロ(鮪):サバ科の硬骨魚
 サバ科マグロ属の総称 暖水性の外洋回遊魚 方言名:シビ
 名前の由来は広辞苑にあり、「眼黒の意」とのこと。確かに目が黒い。
 沖縄のスーパーで手に入るマグロの内、ビンナガマグロは安価、キハダマグロは少し高め、メバチマグロはもっと高い、最も高価なのはクロマグロ。5、6年前までのお金に余裕がある時はたまに買っていたが、貧乏になってからは滅多に買えない。
 クロマグロ(黒鮪)という名前の由来は、これも広辞苑にヒントがあり「背面青黒色」からだと思われる。別名のホンマグロ(本鮪)は鮪の中の鮪という意であろう。
 クロマグロは体長3m、体重400キロ、メバチマグロは体長2mを越し、キハダマグロは2m近く、ビンナガ(ビンチョウ、トンボとも言う)は1mを越す程度。
 マグロは出世魚と呼ばれるものの一つで、方言名のシビはその一つ。
      
 カジキ(梶木・旗魚):マカジキ科及びメカジキ科の硬骨魚
 マカジキ科とメカジキ科の総称 熱帯・温帯の外洋に分布 方言名:アチヌイユ
 名前の由来は資料が無く不明。方言名の由来についてはアチが不明、ヌは「の」、イユは「魚」で、「アチの魚」となるが、アチが「秋」なのか「熱」なのか?
 「上顎は剣状に延びている」(広辞苑)のが特徴。マカジキ科とメカジキ科の2科に分かれ、マカジキ科にはマカジキ、クロカジキ、シロカジキ、バショウカジキ、フウライカジキ、コカジキなどがあり、メカジキ科はメカジキの1種のみ。メカジキは女梶木という意味では無く眼梶木、広辞苑に「眼が大きいのでこの名がある」とあった。
 メカジキは体長3m、体重300キロ、シロカジキはそれより大きく、体長4m、体重570キロになるとのこと。カジキ全般、春季に脂肪が多く美味とのこと。
      
 記:2012.5.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


刺身3ソデイカ

2012年04月27日 | 飲食:飲物・嗜好品

 新顔のイカ刺し

 子供の頃、刺身と言えばマグロ、カジキ、イカ、タコの4種がほとんどであった。マグロもカジキもイカもタコも、いろいろ種類があるが、父も母も死んだ今、それぞれどの種類であったかはもう確かめようが無い。子供の脳にそれを覚える情熱も無かった。
 イカはしかし、おそらくクブシミ(コブシメ)であろうと思う。今の世、スーパーへ行ってイカの刺身を買おうと思ったら数種類が手に入る。県外産や国外産のアオリイカ、スルメイカなどもあるが、県産もある。
 県産のイカにはシロイカ、クブシミ、ソデイカがたいてい置いてある。シロイカはイカ墨汁にして美味であるが、じつは、刺身にしても最高と聞いている。私は食べたことが無い。何故無いのかというと、スーパーでシロイカの刺身が手に入らないからだ。シロイカは味の劣化が早く、釣り上げてすぐ(何時間かは不明)でないと刺身では食えないらしいのだ。クブシミもシロイカ同様、釣り上げた後早い時間でないと生では食えないらしい。クブシミについては別項に譲って、今回はソデイカ、ソデイカの刺身。

 沖縄産生イカの刺身というと、現在はほとんどがソデイカとなっている。ソデイカは和名、沖縄ではセーイカと言い、沖縄のほとんどのスーパーでは、その値札にもセーイカ、または漢字(当て字と思われるが)で成イカ、成烏賊などと書かれている。
 セーイカの刺身は美味しいと思う。であるが、若い頃、福岡で食ったスルメイカの刺身に比べれば格段と美味さは落ちる。しかし、それも理由がある。福岡で食ったスルメイカは生け簀で泳いでいたものを刺身にしたもの、切り身が皿の上で動いていた。それほど新鮮なものであれば美味いのも当たり前、セーイカもそのように食えば負けないはず。
 冷凍された(つまり、さほど新鮮では無い)セーイカでも刺身で美味い。解凍されたスルメイカの刺身も食ったことがあるが、その場合はセーイカに軍配を揚げたい。

 冷凍セーイカの刺身を食う時は、それを美味しく頂くにはちょっと工夫が要る。友人のE子は太っている。はっきり言う、太っている。別の言葉で言い換えれば、肥満である。悪口を言いたいわけでは無い。彼女が食いしん坊である、食いしん坊なので料理が上手ということを言いたい。つまり、日頃世話になっているので褒めているのだ。
 さて、冷凍セーイカの刺身を美味しく頂く時の工夫、これは料理上手のE子から教わったこと。E子の発見、発想だと思われる。飲み屋などでは見かけたことは無い。セーイカをごく薄くスライスするというひと工夫である。冷凍セーイカの短冊を、完全に溶けない内に包丁を入れると、薄切りにしやすい。フグ刺しほどに薄く切る、これは美味い。

 ソデイカ(袖烏賊):肉が食用
 ソデイカ科の軟体動物 世界の暖流域に分布 方言名:セーイカ、ナキイチャ
 名前の由来は広辞苑に「腕の保護膜は広く、袖のようになる」とあり、そこから来ているものであろう。方言名のセーイカは漢字で成烏賊とあるのを見たことがあるが、その由来については不明。大いに成長したイカという意味であろうか?もう一つのナキイチャは『沖縄大百科事典』に「慶良間諸島では海岸に漂着したソデイカを、泣くまねをしながら捕獲する習俗がある」とその由来があった。イチャはイカの沖縄発音。
 外套長70センチ内外、体重約3キロにもなる巨大なイカ。肉は厚く柔らかく美味。
      
 記:2012.4.16 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


ヒル酒

2011年04月04日 | 飲食:飲物・嗜好品

 夜でもヒル酒

 ヒル酒と言っても、朝酒、昼酒、夜酒などという意味のヒル酒では無い。ヒル酒、先週紹介したハブ酒(しゅ)とは違い、一般的には「ひるしゅ」では無く、「ひるざけ」と読む。ウチナーグチで(沖縄口)でニンニクのことをヒル(またはフィル)と言い、ニンニク(概ね島ニンニク、鱗片が小さい)を漬けこんだ泡盛のことを言う。

 ハブ酒についての記載が『沖縄大百科事典』にある。が、ヒル酒については無い。なので、自分が聞いた限りのことを述べる。

 匂いを嗅ぐとニンニクそのものより臭い、飲んでも臭い、飲んだ後も長らく臭い。
 風邪を引いたときに飲む。風邪が治るらしい。
 飲むと体がポカポカする。
 滋養強壮、疲労回復に効く。
 ニンニクは皮を剥き、鱗片にして酒に漬ける。
 酒は泡盛、40度以上の強いものが良い。
 氷砂糖やハチミツを入れて甘くする。
 長く漬けて置けば置くほど美味くなる、あるいは薬効がある。
 漬けたニンニクも食える、料理などに使える。

  ヒル酒についての私の知識はだいたい以上のことだが、誰から聞いたかと言うと、概ね父親からなので、以上の全部が正しいかどうかは確信が無い。ただ、上3つは私の経験であり、風邪が治ったという記憶は無いが、臭いとかポカポカするというのはその通り。作り方については、私の父は上記のように作っていた。
 実家には父の漬けたヒル酒があった。確か、梅酒を作る広口瓶であった。子供の頃からあって、私が東京から戻ってきてからもあったので10年以上は経ったもの。もしそれが今でもあるのなら、40年ものとなる。クース(古酒)としても貴重だが、ヒル酒としたらなお貴重。貰って帰ろうかと思って、病床の父に訊いた。
 「とうの昔になくなっている。」とのこと。残念。
      
 記:ガジ丸 2010.5.3 →沖縄の飲食目次


ハブ酒

2011年04月04日 | 飲食:飲物・嗜好品

 下半身に効く

 ハブ酒、一般的には「はぶざけ」では無く、「はぶしゅ」と読む。沖縄で最も有名な動物であるハブ、おそらく、イリオモテヤマネコやヤンバルクイナやアグーよりも有名な、人を死に至らしめる猛毒を持つことで有名なハブ、それを漬けた泡盛のこと。
  ハブ酒と聞いて、「それ何?」と問うウチナーンチュの大人はいないと思う。名前はそれほど有名。であるが、一般的な飲み物であるかどうかについては、まったく一般的では無く、特殊な飲み物である。酒好きの私でさえ、記憶している限り、飲んだことは一度しか無い。若い頃だ。不味かったので、二度と飲むことは無かった。
 ハブ酒は不味いだけでなく、臭かった。ただ、飲んだのは2、30年前の話なのでどのように不味かったか、どのように臭かったかを説明できない。
 ハブ酒についての記載が『沖縄大百科事典』にある。その内容を要約すると、

 漬けるハブは600グラム以上のものが良い。
 生きたハブを水洗いして泡盛40度以上のものに漬ける。
 早くて1年、できたら3年漬けた方が良い。
 薬理効果はまだ十分に解明されていない。
 強壮剤としては古くから知られている。

 などとなっている。ハブを捕まえるのも大変だが、せっかくの泡盛を臭くて不味いものにわざわざ変えることが、酒好きの私には少々合点がいかない。
 強壮剤というならば、ニンニクやニラや山芋を食えばいいじゃないかと思う。焼きニンニク、ニラレバ、とろろなどを肴に美味い泡盛を飲んどきゃいいじゃないかと思う。そういう幸せな時間こそが生きる力になるじゃないかと思う。

 さて、私がどう思おうが、ハブ酒は存在する。しかも、けしてポピュラーでは無いが、一部の人気者として、その存在は昔から連綿と続いている。とうことは、もしかしたら強壮剤としての効果が抜群にあるのかもしれない。50過ぎたオジサンでも、あるいは70過ぎた爺さんでも、ハブ酒を一口飲めば、その夜は若者のような下半身に変身するのかもしれない。であれば、試してみたい。試す相手を見つけるのは極めて困難だが。
      
 記:ガジ丸 2010.4.29 →沖縄の飲食目次