Discover the 「風雅のブリキ缶」 written by tonkyu

科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

「すぐにぐっすり眠れます」――耐震強度偽造の京王プレッソイン茅場町

2005年11月21日 20時23分43秒 | Journal
 この夏、朝の通勤で茅場町の駅を地上に出てくると、何度も次のような文面が並ぶパンフレットをティッシュペーパーと一緒に手渡された。「シンプルに泊まる。都心に泊まる」「PRESSO INN」「茅場町のプレッソは駅から1分。すぐにぐっすり眠れます」「2005年8月5日 OPEN」。PRESSOとは、イタリア語で「そばに」「近くに」という意味とか。つまり最寄ホテル、駅前ホテルである。客室2~14階で全265室。料金は税込み7980円と都心にしては格安。しかも、焼きたてパンと飲み物の朝食は無料サービス、全室に「テンピュールまくら」なる優れものまで備え付け、高速インターネット接続は全室で無料サービス。
 小生には、めったいにないことだが、夜遅くまで飲んだり、仕事関連でどうしても遅くなって、それから2時間かけて帰宅、朝、また寝たりない頭で2時間かけて茅場町にUターンしてくる事態を考えれば、いつか、そうしたことが予想されるケースでは、このホテルに予約して泊まってみようかと、パンフをわざわざ会社の机の引き出しに大切に保管しておいたのだ。
 今日の夕刊によれば、このホテルも構造計算書の偽造によって耐震強度が落第らしく、建築基準法に定められた震度6強~7程度の地震に耐えられず、震度5強程度の地震で倒壊の恐れがあることが国土交通省の調査で確認されたという。耐震強度の割合(震度6強に耐えられる強度が1.00)は0.26で自然崩壊も考えられる危機的レベル。当然、耐震補強ではどうにもならない。取り壊し命令が出る予定だ。ホテルを経営する京王電鉄は営業を休止した。
 昨夜、帰宅時にホテルの前を通ると、1階以外は全階全室、カーテンを下ろし消燈していたが、その各室を警備員が懐中電灯を持って見回っているのが見えた。警備員も少し怖かろう。
 千鳥足の泥酔状態に、安眠まくら、「すぐにぐっすり眠れます」のうたい文句では、今となっては、あの世でゆっくり眠れと死神にささやかれたような話である。
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