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建築基準法は、仕事柄、必要に迫られてときどき眺めることもあるが、まずもって分からない。その都度の継ぎはぎだらけだから仕方ないが、もう少し読みやすい文章にしてほしいとは個人的にも思う。何度、同じ個所を読み返してもあることを肯定しているのか否定しているのかさえ分からないことがある。分かりやすい建築基本法を制定する話は、神田先生の頑張りもあって継続検討中ではあるが、本当に法案化が実現すると信じている人間は極めて少ないのも現実。今回の国会議員の話を聞いていても、いまだ遠しの感は否めなかった。
建築基本法制定準備会(会長=神田順・東京大学教授)は8日、衆議院第一議員会館の大会議室で建築基本法シンポジウム「建築基本法の必要性と東日本大震災からの復興」を開催、元・国土交通大臣の馬淵澄夫・衆議院議員ら国会議員も出席し、建築基本法の必要性について意見を交わした。現在の建築基準法は、全国で400万戸以上の住宅が不足し、建築資材も資金も足りなかった1950年に必要な住宅を確保するために「最低基準」として制定され、高度経済成長期に開発事業者などによって最低基準に合わせて建てられた建物は、その後の法令改正・社会的要求水準の上昇に追いつけない事態が生じており、最低基準ではない誰もが分かる基本理念に基づいた建築基本法を制定する動きにつながった。
神田会長は「建築基準法は効率化、膨大な最低基準、私権重視、物としての規制の世界。これからは建築基本法の世界として、豊かさ、望ましい水準の社会合意、社会資本としての建築、人の能力の活用を目指すべき」と述べた。
馬淵議員は「私が国土交通大臣になって、今まで増改築に増改築を重ねてきた建築基準法の枠組みそのものを見直していこうと国交省内に建築基本法の法体系を検討する勉強会を設けた。確かに基本法をまず作ろうというのでは弱い。現行の基準法の問題点をしっかりと明らかにしたうえで、膏薬張りのような法体系を抜本的に変えるのだという基本法制定の初心は忘れてはならないと、国交省にも要請していく」と話した。
出席した国会議員からは「世に中にはいろいろな基本法がある。作ったときは一生懸命に作るが、その後ほとんど使われていない。なるべく今ある建築基準法や都市計画法、あるいは民法で処理できるものはそちらに任せて、本当に基本的な理念だけをシンプルにまとめていくことが肝要」「コンセンサス重視で街づくりをすることは非常に大事だが、ヨーロッパでは1人の人間に権限を集中してパリのような街を作った歴史もある。コンセンサスと権限集中をどういうふうに整合させるかが課題になるのではないか」と意見や質問が寄せられた。
2番目の質問に関連し、神田会長は「私は建築の構造が専門だが、構造物の安全性に関して今までは専門家が科学的成果を踏まえて決めれば正解が得られ、それを実現するように製作を展開してきた。専門家の答えが必ずしも正しいとは限らないことは、福島原発事故でも明らかになった。基準法にある建物の単体規定では、多くの専門家の意見をオープンにし、一般の人が加わった形で正解を求めていく仕組みでないと法を運用できなくなっているのが現状。集団規定についてはすでに、自治体に移管し、建物の高さや容積率で利害が対立することを踏まえたうえでどこが合意点なのか、住民が参加した場で議論して進めていく方向になっている」と回答した。
参加者からの質問として、日本建築学会の和田章会長は「海外旅行の保険証が細かい字で書かれて読まれないみたいに、誰も読まない基準法、読んでも分からない基準法をもとに建物が作られている状況では、分かりやすい理念を作るという今日の議論は大切だと思う。ただし、法律ができないと理念に基づいた建物が建たないと言っていてはいけない。日々、建物を作る側が、皆が好きになれる生き生きした街を作るのには基準法のここが邪魔になるといった順序で議論を進めていくべきではないか」と語った。
神田会長は「本来こうあるべきだと言うときに『基本法があるのとないのとでは大分違う』と話す方もいる。『基準法を守っているからこれで何が悪い』と背に腹は代えられずに言う建築主もいれば専門家もいて、どうしても基準法の枠の中の判断にとどまってしまう。基本法があることでそういう枠を乗り越えていく突破口になる」と答えた。