Discover the 「風雅のブリキ缶」 written by tonkyu

科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

松山全日空ホテルの窓から萬翠荘を見る

2010年05月05日 21時53分18秒 | 四国の旅
 松山全日空ホテルの窓から裁判所の向こう側、松山城の山の緑にはめ込まれたような萬翠荘(ばんすいそう)が見えた。旧松山藩主の久松伯爵が1922年に別邸として建てたのだとか。贅沢なものだ。
 窓辺の花々は、高松城址で買った。右手のピンクの花を咲かせるのは木瓜(ぼけ)である。そして、漱石の句を思い出した。

   木瓜咲くや漱石拙(せつ)を守るべく

 『草枕』に、こんな拙なる木瓜へ寄せた一文がある。――ごろりと寝る。帽子が額をすべって、やけに阿弥陀となる。所々の草を一二尺抽いて、木瓜の小株が茂っている。余が顔はちょうどその一つの前に落ちた。木瓜は面白い花である。枝は頑固で、かつて曲った事がない。そんなら真直かと云うと、けっして真直でもない。ただ真直な短かい枝に、真直な短かい枝が、ある角度で衝突して、斜に構えつつ全体が出来上っている。そこへ、紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。柔かい葉さえちらちら着ける。評して見ると木瓜は花のうちで、愚かにして悟ったものであろう。世間には拙を守ると云う人がある。この人が来世に生れ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい。
 写真では陰になって見えないが、萬翠荘の裏側には、漱石が松山時代に下宿した愚陀佛庵(移築)もある。小生も漱石の拙を見学に、木瓜を残してホテルをあとにした。
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内子の町並み

2010年05月03日 10時29分31秒 | 四国の旅
 内子の町並みといってもおみやげ買いものがてらの短い滞在で、当てになることも言えないが、古いものをムリして保存していないところが、かえって普通の田舎町らしくていいのではないかと思った。景観というものも使われている景色でないと感じる価値がない。
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