昨日、昼前に、水天宮近辺で取材を終え、人形町の甘酒横丁をぶらぶら、いつもは途中で引き返すが、ずっと行くと明治座があると思い、数百メートル歩くと、交差点があり、向こう側に高いビル。一階に出し物の時代劇のポスターがあるので、そこが明治座と知る。最近、東京で新装する劇場はみんな高層ビルの中にできる。高層化・多目的化し、投資効率を上げようというのだ。劇場らしい建物を期待する人間には無粋と映る。やはり歌舞伎座のような芝居小屋風がいい。建物が見えてくるとワクワクドキドキがなければ、芝居じゃないだろう。
交差点を渡りながら、近づくと、山本周五郎の「五弁の椿」を上演していると分かる。主演は菊川怜さん。言うまでもなく東大工学部建築学科(コンクリート工学)出身の才媛。東大卒である程度美形だと「才媛」にしておくが、世の慣わしなり。しかし、その才媛が、学校も大していっていない文壇嫌いのへそ曲がり周五郎の作品で初座長をはっているのは面白い。ポスターにいかにも気が強そうな菊川さんの表情が出ている。周五郎が好んで描いた芯があり凛とした江戸の女、それを現代娘に移すと、菊川さんみたいな女性になるのかと、無理に納得した。
しかし、「五弁の椿」を読んだに違いないが、どうしても筋を思い出せない。読んだのに違いないとは、周五郎の時代ものは100%近く、20代に読んだから、そう確信できるのだ。その後、藤沢周平につないで、司馬遼太郎をところどころ挟んで、私の時代小説読みは終わった。学卒後のサラリーマン時代に、江戸時代の話ばかり読んでいたというのは、今から考えると変な感じがする。若い頃、今より現代不適応だった。
交差点を渡りながら、近づくと、山本周五郎の「五弁の椿」を上演していると分かる。主演は菊川怜さん。言うまでもなく東大工学部建築学科(コンクリート工学)出身の才媛。東大卒である程度美形だと「才媛」にしておくが、世の慣わしなり。しかし、その才媛が、学校も大していっていない文壇嫌いのへそ曲がり周五郎の作品で初座長をはっているのは面白い。ポスターにいかにも気が強そうな菊川さんの表情が出ている。周五郎が好んで描いた芯があり凛とした江戸の女、それを現代娘に移すと、菊川さんみたいな女性になるのかと、無理に納得した。
しかし、「五弁の椿」を読んだに違いないが、どうしても筋を思い出せない。読んだのに違いないとは、周五郎の時代ものは100%近く、20代に読んだから、そう確信できるのだ。その後、藤沢周平につないで、司馬遼太郎をところどころ挟んで、私の時代小説読みは終わった。学卒後のサラリーマン時代に、江戸時代の話ばかり読んでいたというのは、今から考えると変な感じがする。若い頃、今より現代不適応だった。