北京や上海、それに青島へ行った際に山東省の高速道路は経験があるが、唐山一帯の高速を走ってみて、すごいと思った。片側3車線で、地方は車が少ないからすいすいと走れる。採算のとれない北海道の高速のことを少し思い出したが、勢いのある中国はそんなことは意に介しないであろう。また、唐山北駅に迎えてくれた経済開発区の運転手が、サングラスをかけたニヒルで無口な兄さんで、ホンダのオデッセイで突っ走った。なんとなく韓国のスパイ映画のような気がした。
北京から1時間で唐山北駅についた。北駅は貨物専用の駅らしいが、和諧号は止まるものらしい。駅のプラットフォームに立って、瀋陽まであと3時間という和諧号を見送った。北京では指定券がとれず通路に立っている客も多かったが、こうして途中駅で下車する客の席をあらかじめ目星をつけておいて、そこに座っていく。われわれも小生と、妻と、妻の友人で社会科学院研究員の陳さんの3席をそういう客に提供した。
北京駅で少し込み合った方の通路をせっせと歩いて行くと、目的の瀋陽行きの和諧号が停車するプラットフォームにたどりついた。写真右がこれから唐山北まで乗る高速鉄道の和諧号だ。左も同じく高速鉄道の車両かは定かでないが、中国らしく乗り口に人が殺到している。いずれ長距離列車なのであろう。昔は、お茶のサービスがあって、浮いた葉っぱを避けながら飲んだ思い出もあるが、こうした新幹線タイプの旅はそれもなく、少し味気ない。
北京駅で列車に乗るために高架の通路を歩いていると、こんな天井画があった。青空に日の丸があり、それに向かって赤いバスケットボールの選手が手をのばしてジャンプしている。と、よくよく見れば日の丸ではない、ただのバスケットボールである。しばらくこの通路を行きかけて、間違いだと気がついて引き返した。
陳凱歌監督の「北京ヴァイオリン」を数年前、テレビで観て、感心した。こうした映画は久しくなかった気がした。黒澤監督や小津監督の白黒作品に似たようなペーソスを感じさせるものがあった。スクリーンに色がつき、迫力のある映像効果が期待されるようになると、こうした小説的に人間の機微を扱った映画が少なくなってしまった。その「北京ヴァイオリン」で、登場したのがこの北京駅のエレベーターわきで主人公の少年・小春がヴァイオリンを必死に奏でるシーン。いやでも「感動」が瞼にぐっとあふれてくる場面だった。
昨日まで一週間ほど北京へ行ってきた。途中、唐山へ行く用事があって、北京駅から列車に乗ることに。北京駅は、以前、近くのホテルに数日泊ったこともあり、馴染みはあるが、そこから鉄道を使うのは初めてだった。朝7時6分の発車だったので、6時半には北京駅にタクシーで乗りつけた。まずは、駅前広場を後ずさりしながら駅舎を撮る(以前、同じようにこの駅舎を撮ろうとバックしていて転んでひどい怪我を負ったことがある)。建国後の「十大建築」でもあるこの駅舎の改修か建て替えの案があるとか。小生がひっくり返っても撮ろうとした建築物である。できれば、その風格を損ねないでほしい。
■追伸――そういえば、以前、北京駅の下がそっくり人工地盤化され、ものすごい数の免震装置を入れたという話を聞いたのを思い出した。あるいは、上屋は以前のままで、もう改修済みなのかもしれない。
■追伸――そういえば、以前、北京駅の下がそっくり人工地盤化され、ものすごい数の免震装置を入れたという話を聞いたのを思い出した。あるいは、上屋は以前のままで、もう改修済みなのかもしれない。