もう2時をまわっていたと思う。案内人に精進料理の店へ連れて行かれた。かなり有名な店らしく、店内も青山にあるようなムード重視のレストラン風であったが、残念なことに、ランチタイムの食べ放題的なメニューが終了しており、案内人の推奨で土鍋に入った何かを頼んで食べた。しかし、精進料理だから記憶に残る味ではなかった。
Wikipediaを読むと、――特に中国に見られるものとしては、いわゆる「もどき」料理と呼ばれるものがある。これは植物性原料を用いて、動物性の料理に似せたものを作ることである。例えば、湯葉を加工して火腿(中国ハム)を作ったり、こんにゃくでイカやエビを形取ったり、シイタケや他のきのこを用いてアワビのスープや炒め物に似せるといったものである――とあるが、まさにアワビのスープ「もどき」料理が出ていたことを今になって思い出した。
これはアワビかと噛めども味がせぬ 頓休