Discover the 「風雅のブリキ缶」 written by tonkyu

科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

首相官邸を霞が関ビル35階から撮る

2013年05月27日 20時57分59秒 | Journal


 総会の取材で、霞が関ビルの35階に上った。毎度同じ総会後の懇親会のスピーチに飽きて、窓の外を見下ろすと、新旧の首相官邸が見えた。ときどき新しい方のエントランスに黒塗りの車が乗りつけている。よくテレビでみる官邸の光景を思い出す。馬子にも衣装、そして馬子にも官邸である。坊ちゃん宰相は、昨今の株価暴落でもおっとりと構えている。そこが良いところだが、アベノミクスならぬアベノリスクで、無知の底がひっくり返って、とんだことにならぬか、と眼下に不安の一瞥を投げながら政治家や官僚のスピーチに耳をかたむけた。早々に帰宅の途につこうとエレベータに乗ると、大臣もやった与党の有力議員と一緒になった。「参院選は大勝ですか?」と話を向けると、「いや、この株価では」と顔がいかにも渋い。「やはり成長戦略が出てこないと」と言うと、「これといったのは難しい。医師会のような既得権益派が反対するから」と腰砕け調だ。どうも建物ばかり立派で、官邸も中身がないらしい。もしかしてこの先、株価が大暴落でもすると、この国の首相は、官邸屋上のヘリポートから日本脱出をしかねない。
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梅雨前のベランダの花と南三陸の被災地写真数枚

2013年05月26日 09時52分22秒 | Journal



 昨日、山形、岩手、秋田、宮城と四泊五日の東北出張から帰ってきた。最後の日は、南三陸の観洋というホテルに泊まった。翌朝、津波で鉄工所も自宅も流されてしまった人に小牛田まで送ってもらった。途中、その人の鉄工所があったエリアに立ち寄った。その人が卒業した大川小学校、そして今も海水が池をつくる北上川河畔の浸水地。
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永き日やつばたれ下がる古帽子  永井荷風の自画像

2013年05月11日 10時35分22秒 | Journal
  


 昨日、丸善で「荷風俳句集」(岩波文庫)というものを買った。上記の句が最初に目に止まり、思わず微笑んだ。荷風の本はいっさい読んだことがない。若いころから、こうした美文家の文人的存在が嫌いだった。俳句は、簡潔すぎて美文を愉しむ文学形式ではないから、素朴なところが出るから、あるいは手に取って、買う気になったのだと思う。俳句集だけでは、申し訳ないので、小説『濹東奇譚(ぼくとうきだん)』も一緒に購入した。その小説を読むかぎり、あふれんばかりの文章力を持ち合わせ、結局はたいして書くこともなかった作家が永井荷風であろう。そうした作家の自画像の句に目が止まるというのは、自分も生きる気分が変わったということかもしれない。案外に、荷風は自分にはちょっとなりにくい憧れの文人作家なのかもしれない。「人並みはずれて丈が高い上にわたしはいつも日和下駄(ひよりげた)をはき蝙蝠傘を持って歩く。いかに好く晴れた日でも日和下駄に蝙蝠傘でなければ安心がならぬ」(『日和下駄』)と、東京の街を江戸の町のようにみなして散策し、随筆に書きとめた荷風は、極度の心配性であったようだ。そうしたところは何となく自分に似ている。だから荷風も小生も帽子をかぶらなければ世間を歩けぬ変人のだ。
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