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先週は3つの講習会を取材した。日本非破壊検査工業会(JANDT)、新都市ハウジング協会(ANUHT)、そして日本建築構造技術者協会(JSCA)の講習会。どれもまあまあ面白いところがある講習会だったので、その面白かったところを短く紹介する。
JANDTの講習会、正確には技術討論会では、宇宙航空研究開発機構の主任研究員が「航空機と宇宙機の信頼性」として、最新鋭ボーイング機の機体の一次構造部材に使われる複合材料CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)について語った。なんでも、CFRP製の機体はアルミに比べ軽く疲労に強い。したがって燃費がよく、メンテや検査も期間が長くとれるそうだ。従来の機体を眺めると、継ぎはぎだらけで、空中でばらばらに分解しやしないかと心配になることがあるが、CFRP機は継ぎ目がないからそれほど亀裂やボルトがゆるむ恐れがない。そして何よりも内部の気圧を高く保てるので、乗客は離発着時の耳を圧すあの苦痛から解放されるらしい。2006年に日本の東レがこの炭素繊維を提供する7000億円の契約を締結している。どんなに「風雅のブリキ缶」などと時代と隔絶したがっていても、これからは小生もバクテリアのようにプラスチックの容器に入って旅することになる。プラスチックと云うのは、小生にとって昔から何か苦手なものだったが、いよいよそのプラスチックに命をあずけなければならない時代になったようだ。観念するか、せいぜい飛行機に乗らない算段をするかだ。
ANUHTの研究発表会は、東京スカイツリーを設計した日建設計と施工の大林組の担当者が多少内輪話をまじえながら講演した。浅草は関東大震災で被災した明治の超高層塔、浅草十二階「凌雲閣」に代表されるように新規を好む土地柄と云う。また、心柱の制振効果で法隆寺の五重塔との比較論もあった。スカイツリーのRC造の心柱はスリップフォーム工法(型枠を滑り上げながら連続してコンクリートを打設)で施工された。
JSCAの講習会は、東北大の源栄正人教授の聴衆を魅了するどこか漫画ぽいパフォーマンスが圧巻であった。今回の地震動は、短周期・大加速度で、建物は大きく変形することはなく、建物への影響は限定的だったが、つまり倒壊する建物はほとんどなかったが、そのなかで東北大の建築系研究棟(SRC造9階建て)がかなり目立つ被害を受けたので学長も相当おかんむりだとか。東北大キャンパスは青葉山丘陵地帯にあり、建物に被害を及ぼす周期1秒の地震動成分が2倍以上に増幅したのが原因。過去の耐震補強が不十分だったのだ。説明のなかで建物の倒壊につながる「変形に敏感な被害」と、今回多く見られたブレース破断、内外装や天井落下につながる「加速度に敏感な被害」を分けて考えるべきだとする源栄教授の話は含蓄があった。
制振技術などには、車や新幹線の制御システムが応用されている。動くものと止まっているもので安全性に違いはないのかもしれない。特に、地震動のような激烈な外力が入るときは、思考を動的に切り換える必要がある。
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東日本大震災から3カ月余、宮城県の岩沼市にでかけ、被災した鉄骨ファブが7月1日から操業再開のニュースを取材をした。取材後、電車の時間まで周辺をタクシーで見てまわった。この辺りは、激しい津波が押し寄せた地域ではないが、2メートルぐらい冠水して、二階家の一階部分が完全に水没したのは写真でも明らかだ。それと、自動車のスクラップの墓場。車がまだ片づけられずに野っぱらに大量に捨て置かれている。自分の車が少しでも傷つけば気になるものだが、こうなってしまうと、どうしようもなかろう。タクシーの運転手の話だと、ナンバープレートだけ外していく人も居るようだ。道が混雑して、場所によっては渋滞で逃げ遅れて車の中で亡くなった方がかなり出たという。