取材で、京急で五反田へ出、そこから蒲田までいく東急池上線で次の大崎広小路という駅を降りた。まだアポイントの時間に間があったので、ぷらぷらと丘の上の方へ歩いた。掲示板の地図に居木神社というのを見つけて、そこまで行ってみようと考えたのだ。坂を上ると丘の中腹に立正大学の近代的なキャンパスがある。
立正大学の校名の「立正」とは、鎌倉時代に活躍した宗教家日蓮聖人が39歳のときに執筆した「立正安国論」に由来するのだとか。
大学のHPには、1580年に設立された日蓮宗僧侶の教育機関を淵源とし、420年という長い伝統を誇る大学。1872(明治5)年に近代教育機関として開学し、今日では、学校法人立正大学学園の運営のもとに大学院7研究科と8学部と14学科を擁する総合大学として発展しているとある。それにしても、ケインズ主義者のジャーナリストで総理大臣をやった
石橋湛山がこの学校の学長を務めていたとは。石橋は東洋経済新報社の主幹・社長だったが、小生、ここの『週刊東洋経済』に何度か記事を載せたことがある。石橋は、加工貿易立国論を唱え、満州の放棄、日中戦争時に戦争の長期化を批判した硬骨のジャーナリストとしても知られる。同社はその面影を一部ひきずっているはいるが、やはり四季報で食いつなぎ、ただの経済雑誌社化していることは否めない。
大学の前で、左手に写真のような丘へ切れ込む小路を見つけた。なんとなくここを入って神社までいこうと誘われる。入っていくと、狭い路地の両側に下宿屋らしい二階家が建ち並んでいる。