上野へ来ると、いつも公園入口の階段に陣取る似顔絵描きのことを思い出す。昔、パリのモンマルトルの丘で、アラブ系らしい下手な絵描きに似顔絵を描かせたが、あれはどこへやってしまったか。相場も分からず、言われるままにけっこう高額を支払ったから、余計、出来栄えの悪さに立腹、すぐに破り捨てて惜しくない代物(しろもの)だった。以来、二度と似顔絵描きには近づかない。
カメラを構えたとき、絵描きが客に話す言葉が聞こえてきた。「リストラされて…」。もしかして、絵は趣味だった人が、リストラされて、ここで似顔絵を描いているのかもしれない。ならば、今度行ったときに、禁を破って描いてもらってもいいかな。
カメラを構えたとき、絵描きが客に話す言葉が聞こえてきた。「リストラされて…」。もしかして、絵は趣味だった人が、リストラされて、ここで似顔絵を描いているのかもしれない。ならば、今度行ったときに、禁を破って描いてもらってもいいかな。