折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

談笑会「一口話」~2009年度『聴き納め』オーディオ談笑会

2009-12-29 | オーディオ談笑会
暮も押し詰まった先日、今年最後のオーディオ談笑会があった。

今年の聴き始めとなる第1回の談笑会の模様を「一口話」風に紹介したが、今年の『締め』となる『聴き納め』の談笑会の様子も同じように「一口話」風に再現してみたい。

近況

久しぶりの再会をビールで乾杯、話はすぐにそれぞれの近況報告へ。

先ずはKさん。

Kさんのオーディオ・ホールは談笑会で訪れるたびに進化しているが、今回も居間の扉が一新され、欄間には手の込んだ豪華なレリーフが飾られていた。

『どうしたら理想のホールに近づけるかを考えると、やることが沢山あって、やればやるほど【夢】がどんどん広がって・・・・』

と語るKさんの表情は、実に楽しいそうで、見るからに幸せそう。

  
新しくなった扉           精巧な技巧が凝らされたレリーフ


『読響の来年の【年間会員券】を買ったのよ。年間を通して座席が決まっていて、1回券のほぼ半額と格安なんだ』

『【内田光子】と【ムター】に入れ込んでてね、今、CDをせっせと集めてるんだ』

と近況を話すのは、Mさん。

このところのクラシックへの入れ込みようは、目をみはるばかりだ。


Mさんが当日持参した内田光子とムターのCDジャケット


『図書館でCDを借りての【コレクション作り】も3年かけてようやく一段落、いやぁ、その間は実に楽しかった。今は図書館からCDよりも本を借りることが多くなっちゃいました』

と言うのは、小生の弟。

北方謙三の『水滸伝』全19巻を読破し、今はその続編である『楊令伝』を夢中になって読んでいるとのこと。

その『入れ込み』具合は、いかにも凝り性の弟らしい。

かく言う小生は、最近は音楽よりはもっぱら『山歩き』などアウトドア生活を楽しんでいる。

それぞれが、それぞれなりに自分の人生を楽しんでいる。誠に同慶の至りである。


『飲み過ぎ』にご用心!

話が弾むと、お酒もすすむ。

それでなくともKさんもMさんも、ほぼ365日アルコールを切らしたことがない『お酒大好き』人間。

午後3時に始まり、8時に終わる約5時間の談笑会。
音楽を聴く時間が3時間、飲んで、食べて、おしゃべりする時間が2時間というのがその内訳。

『あれっ、談笑会の目的って何だっけ』と一瞬思うほど、最近はお酒の時間の割合が増えてきた。

アルコールには至って弱い小生は、お陰でタンノイから流れるスーザン・ボイルの癒しの声を聴いているうち、一瞬、すやすやと『舟を漕ぐ』場面も。

タンノイを謹聴するのに、お酒が入っていたのでは耳に微妙に影響が出る。いわんや、飲み過ぎにはご用心である。


面目躍如?

いつも談笑会に『目新しい』もの、『珍しい』ものを持参するのは、『新しがり屋』を自認するMさん。


スーザン・ボイル『夢やぶれて』(左)
新妻聖子『愛をとめないで』(右)


Mさんの今回の呼び物は、

今年の紅白にも出場するという話題のスーザン・ボイルのデビューアルバム『夢やぶれて』、NHK木曜時代劇『陽炎の辻』のエンディングテーマ曲『愛をとめないで』を歌った新妻聖子のアルバム。

目新しさと、意表をついた物珍しさという意味では、Mさんの本領発揮、面目躍如の選曲か?


新盤と旧盤~リマスター盤の功罪

小生が今回持参したCDは、ビートルズの新盤(リマスター盤)と旧盤。

オーディオ談笑会と銘打つ以上、新盤と旧盤の音質の差をそれぞれの耳で確かめようという趣旨。


ビートルズのCDジャケット写真左が新盤(リマスター盤)
写真右が旧盤。


『旧盤の方が雰囲気が出てるんじゃない』

『新盤はクリアーだけど、何か大事なものまで切り捨てちゃったんじゃない』

『ビートルズに限らず、リマスター盤が出たと言うので、期待して購入すると、音はクリアーになったかもしれないけど、逆に音が薄っぺらになってしまっていて、がっかりと言うケースが結構多い』

リマスター盤については、『音』にそれぞれ一家言持っているメンバーだけに喧々諤々話が盛り上がった。

『熟女』の魅力

しばらく前にパソコンを買い換えたMさん。

容量が大きくなったので、自分の好みの曲をダビング、編集して『マイ・ライブラリー』を作ることに『はまって』しまっているらしく、今回は大好きな中島みゆきの曲をチョイスした手作りの『ベストセレクション』を持参、その中から柏原芳恵が歌った『春なのに』を披露する。

柏原の清純な趣とは対照的な妖艶な熟女の魅力を秘めた中島みゆきの声がタンノイから流れ出ると、『ベリー・グッド』とKさんは痛く気に入った模様。

『でしょう!』と得意満面のMさん。

この分だと、Mさんの『マイ・コレクション』作り、しばらく続くかも。


機転がもたらした幸運~『本年度NO1』CD

今年の談笑会での『聴き納め』の1曲は、小生のリクエストでシューベルトの交響曲第9番『グレート』。

これは小生が今年聴いた中で断トツのNO1のCDであるが、これを入手した経緯が面白い。

ある日、Mさんからメールが入った。

『行きつけのタワーレコードでバーゲンセールの掘り出し物を物色していたら、Kさん(小生)の大好きなフルトヴェングラーの2枚組CDが何と490円で売られていたので、Kさんの分も買っておきました。今度会った時、渡します』(この後、フルトヴェングラーの4枚組CDが何と490円で売られていて、これもMさんからクリスマスプレゼントとして小生が頂戴した)


シューベルト交響曲第9番『グレート』のジャケット
Mさんの機転がなければ、この名演を永久に聴く機会は
なかった かもしれない。



シューベルトの『第9』はブルーノ・ワルター盤が愛聴盤で、フルトヴェングラーは全く聴いたことがなかった。

しかし、このCDを初めて聴いて、フルトヴェングラー畢生の名演であることは勿論のこと、信じられないくらい音が素晴らしいことに驚嘆、是非ともタンノイオートグラフで聴いて見たいと主宰者のKさんに直訴したという次第である。

このフルトヴェングラーの演奏で特に小生が好きなところは、第2楽章、第3楽章の中間部のメロディの歌わせ方で、夢見るほどの旋律の美しさには、ほのぼのとした幸福感に全身が包み込まれる思いである。

そして、タンノイオートグラフは遺憾なくその能力を発揮して、小生を音楽の喜びの絶頂に導いてくれたのであった。

もしも、Mさんが気をきかしてくれなかったら、と考えると『幸運』をもたらしてくれたMさんには、ただただ感謝である。


感謝

2009年の最後を飾るにふさわしい感動的な演奏を聴いてみんな満足して、Kさん邸を辞した。

来年の第1回目の「オーデイオ談笑会」は3月とのこと。

いつも、会場を提供してもらい、お世話になっている主宰者Kさんに、「この1年間本当にありがとうございました」と心から感謝を申し上げる次第である。