飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

北方領土返還要求大会で「不法占拠」使わず?!

2019年02月07日 18時03分34秒 | Weblog
「北方領土の日」の2月7日、東京都内で北方領土返還要求全国大会が開かれたが、主催者側の用意した大会アピールで「四島が不法占拠されている」との従来の表現を使わず、ロシア側の主張を受け入れた形の返還要求となった。

この大会には毎回、首相が出席・演説しているが、安倍首相も日露平和条約締結交渉に意欲を示したものの、毎年言及していた「四島の帰属問題の解決」という表現を使わなかった。官民そろっってロシア側に配慮した表現となり、強硬な主張を繰り返すロシア側の言いなりになっているとの印象を内外に示す大会となった。

一方、ロシア側の交渉担当者、ラブロフ外相は2月5日、タジキスタンでの記者会見で「(交渉の最初の)一歩は日本が踏み出す必要がある」と述べ、日本に譲歩を求める姿勢を強めた。同外相はこれまでも「日本側が第二次大戦の結果を受け入れるべきだ」と、日本に対し強硬な発言を繰り返している。だが、ロシア(当時はソ連)は終戦後の対日講和サンフランシスコ会議に出席したものの、日本が放棄した島々をソ連に引き渡すという条項が入っていないことに抗議、同条約に調印しなかった。これは今でもロシア側の致命的失敗と言われている。

ロシア側の強気な姿勢からは、自らの失敗を糊塗しようという狙いさえ 透けて見える。日本側はこういう応酬に沈黙していて、対外的にはロシア側の言いなりになっている印象を与えている。安倍政権は、そこまでして、なぜ平和条約の締結にこだわるのか、理解しがたい。

いま、政界でささやかれているのは、安倍首相が自分の任期中に何としても交渉をまとめたという形をつけようと焦っているという。これでは、プーチン大統領が昨年末に言明した「平和条約を結んでから領土問題を解決しよう」という“くせ球”に完全に乗っかっているとしか思えない。これを認めたら北方領土は永久に返ってこないだろう。日本はロシア側の敷いたレールに乗って、このまま6月の日露首脳会談に突っ込んでいいのだろうか。(この項終わり)
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