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このところ、ウクライナ紛争に関するニュースばかりで辟易しているという方に、ちょっと変わった話題をひとつ。プーチン大統領はインターネットを警戒、スキあらば制限しようと狙っているとの見方が強い。だが、ネット業界の大手幹部らと10日に懇談した大統領は「ロシアのオンライン市場は有益でGDPの8.5%を占めている」と語り、政府の制限によって市民の自由を奪わないと言明した。
ロシアでもインターネットの普及は目覚しく、全人口の約半分の6100万人が利用し、欧州の中でも最も普及率の高い国に入るとされる。ロシア大手のヤンデックス創設者兼CEOのボロス氏は「ロシアのオンライン分野が世界に誇る市場に成長したのは保護や支援があったからではなく、この業界が競争的環境の中で発展することが許されたからだ」と語り、国家の干渉の欠如を成功の要因にあげた。
プーチン大統領も政府の過度の干渉が有害であることを認める一方、「政府の制限はビジネスや国民の権利を侵害するためではない。子供たちをウエブの悪い影響から守るためだ」と強調。小児愛者やドラッグの販売、テロや自殺の勧誘などの制限に限る意向を示した。
一方、連邦マスメディア監視機関は過激な内容を含んだウエブサイトを裁判所の決定抜きで禁止する権限を持っている。先月、プーチン大統領はウエブサイトをさらに制限する法律に署名したが、現在法律の修正案を検討しているという。
市民の表現の自由に関する政府と国民との綱引きは、どの国でも頻繁に行われている。国民がきちんと監視していないと、政府は規制に走りがちである。とくに強権主義的国家では、国民が黙っていると次々に規制が強まっていく傾向にある。ネット規制問題は、ロシアの民主主義がどの程度成熟しているかのバロメーターでもある。(この項終わり)