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米露、EU、ウクライナの外相級4者協議でウクライナの緊張緩和と治安回復策が合意されたが、ウクライナ東部から親ロシア派武装集団が撤退せず、相変わらず一触即発の状態が続いている。この事態の解決策を巡り、ロシアなどの専門家がロシア紙に投稿しているので、その議論を紹介したい。
スターリンやノーベル平和賞受賞者、サハロフ博士の伝記作家として知られるリチャード・ラウリー氏は「オバマ米大統領はプーチン露大統領をもっと追い込むべきだ」と述べ、強硬策を取るよう主張している。そのほうがプーチン大統領の注目と敬意を集められるというのだ。
24日の英字紙モスコー・タイムズ(電子版)によると、ラウリー氏はトゥルチノフ・ウクライナ大統領代行が国連に平和部隊を送るよう要請しているが、「ロシアには国連安保理の拒否権があるので、この提案はナンセンスだ」と決めつけ、NATO軍をウクライナに送るべきだと主張している。
ルーリー氏によると、ウクライナ危機でプーチン大統領は直ちにボデー・ブロー(クリミア半島の編入を指すとみられる)を西側に与えたが、西側は軽いケガを与える程度の経済制裁を課しただけで、それも時期遅れだったという。
では、どうやったら西側はロシアと同じ強烈なパンチを返せるのか。ラウリー氏は「ロシアは、バルチック海から黒海までNATO軍に囲まれることほど怖いものはない。欧米寄りのウクライナなら、ロシア包囲を完成できるだろう」と述べている。さらに、「西側はプーチン大統領の心理を推測するより、行動を非難することに熱心だが、彼の心理を理解することで、彼の次の行動を予測し、妨害することができる」と指摘している。
一方、イゴール・イワノフ元ロシア外相は、同じモスコー・タイムズ紙に掲載された「ウクライナ紛争の火種の爆発をどうやって防ぐか」の寄稿文の中で、どの国・機関も問題解決の全責任を引き受ける準備ができておらず、共同行動を実行する用意があることを示せなかったことが問題だと指摘している。
このため、イワノフ氏は①暴力を終わらせ、緊張を緩和させることに全力を集中する②ウクライナの経済・金融の破綻を防ぐ③5月25日の大統領選が公平に実施できるようにする、などを急いで実行するようロシア、EUなどに要請している。
両者の解決策のうち、前者の強硬策に惹かれるのは、ラウリー氏がプーチン大統領の心理をよく掴んでいるからだ。こうした緊急時には、強く出なければ相手を揺り動かすことはできない。ましてプーチン大統領が相手だと、このくらいの強硬策を提案して脅さなければ動かないだろう。(この項おわり)
米露、EU、ウクライナの外相級4者協議でウクライナの緊張緩和と治安回復策が合意されたが、ウクライナ東部から親ロシア派武装集団が撤退せず、相変わらず一触即発の状態が続いている。この事態の解決策を巡り、ロシアなどの専門家がロシア紙に投稿しているので、その議論を紹介したい。
スターリンやノーベル平和賞受賞者、サハロフ博士の伝記作家として知られるリチャード・ラウリー氏は「オバマ米大統領はプーチン露大統領をもっと追い込むべきだ」と述べ、強硬策を取るよう主張している。そのほうがプーチン大統領の注目と敬意を集められるというのだ。
24日の英字紙モスコー・タイムズ(電子版)によると、ラウリー氏はトゥルチノフ・ウクライナ大統領代行が国連に平和部隊を送るよう要請しているが、「ロシアには国連安保理の拒否権があるので、この提案はナンセンスだ」と決めつけ、NATO軍をウクライナに送るべきだと主張している。
ルーリー氏によると、ウクライナ危機でプーチン大統領は直ちにボデー・ブロー(クリミア半島の編入を指すとみられる)を西側に与えたが、西側は軽いケガを与える程度の経済制裁を課しただけで、それも時期遅れだったという。
では、どうやったら西側はロシアと同じ強烈なパンチを返せるのか。ラウリー氏は「ロシアは、バルチック海から黒海までNATO軍に囲まれることほど怖いものはない。欧米寄りのウクライナなら、ロシア包囲を完成できるだろう」と述べている。さらに、「西側はプーチン大統領の心理を推測するより、行動を非難することに熱心だが、彼の心理を理解することで、彼の次の行動を予測し、妨害することができる」と指摘している。
一方、イゴール・イワノフ元ロシア外相は、同じモスコー・タイムズ紙に掲載された「ウクライナ紛争の火種の爆発をどうやって防ぐか」の寄稿文の中で、どの国・機関も問題解決の全責任を引き受ける準備ができておらず、共同行動を実行する用意があることを示せなかったことが問題だと指摘している。
このため、イワノフ氏は①暴力を終わらせ、緊張を緩和させることに全力を集中する②ウクライナの経済・金融の破綻を防ぐ③5月25日の大統領選が公平に実施できるようにする、などを急いで実行するようロシア、EUなどに要請している。
両者の解決策のうち、前者の強硬策に惹かれるのは、ラウリー氏がプーチン大統領の心理をよく掴んでいるからだ。こうした緊急時には、強く出なければ相手を揺り動かすことはできない。ましてプーチン大統領が相手だと、このくらいの強硬策を提案して脅さなければ動かないだろう。(この項おわり)