飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン大統領の健康問題は予想以上に深刻かもしれない?

2012年11月12日 13時08分16秒 | Weblog
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 プーチン大統領の健康問題は、わが国では野田佳彦首相の12月訪露延期との関連で報道されたが、ロシア側が日本の内政問題との絡みを示唆したこともあって軽視されがちだ。ところが、予想以上に深刻ではないかとの見方がロシア紙に掲載された。政治家の健康問題はどこの国でも隠したがるが、とりわけ独裁主義的国家では極秘にするケースが多いだけに、あえてこの見解を取り上げてみた。

 この見解が掲載されたのは、11日付けの英字紙モスコー・タイムズ(電子版)。筆者はモスクワで取材しているジャーナリストのビクトル・ダビドフ氏だ。この見解は「プーチン批判をやめられない理由」とのタイトルがついている。「民主国家では指導者の健康問題は家族や友人らの心配の原因となるが、独裁主義的な国家では国家の安定を脅かす問題になる」と前置きし、事実関係を綴っている。

 それによると、プーチン大統領の健康問題は、9月にウラジオストクで開かれたAPEC首脳会議で表面化した。プーチン氏はいつもと全く違い、足を引きずって歩き、明らかに痛みで顔を歪めていた。さらに、いつもは毎月4カ所ほど訪問するのに、この秋は10月の誕生日にサンクトペテルブルクに出かけた以外は、モスクワ郊外の公邸で過ごしていた。

 その後、トルクメニスタンでのCIS首脳会議やトルコ、インドなどへの外国訪問をキャンセルした。これはプーチン氏の背中の痛みを心配した医師の勧めによるもので、クレムリンの関係者によると、プーチン氏はコルセットを付けており、手術が必要になるかもしれないという。

 大統領報道官の否定にもかかわらず、ダビドフ氏は病状が深刻かもしれないという理由として、11月4日の「国民統一の日」の式典の模様を上げている。1612年、モスクワを占領したポーランド軍を国民軍が追放したことを記念する式典は例年、モスクワの南東にあるニジニ・ノブゴロドで行われ、大統領が出席している。だが、今年は急きょ、会場が赤の広場に変更され、大統領が献花するシーンが夕方のテレビニュースで短時間だけ放映されたという。

 この式典の模様をニュースで見たブロガーによると、大統領は小股で足を引きずって歩き、しかもいつもより大きなコートを着ていた。コルセットを付けているのを隠すためではないかと推測している。

 大統領の健康問題は、ロシアのネット世界で最大の話題となり、ツイッターで多くの人がつぶやいているが、誰もクレムリンの否定談話を信じていないという。反プーチン運動の指導者の一人、ドブロホトフ氏は「プーチンがくしゃみをすれば、国中が騒いで楽しんでいる」とつぶやいた。

 最後にダビドフ氏は「プーチン氏の本当の健康状態は未だにわからないが、クレムリンは現代の情報時代に秘密を守ろうとあくせくしている。しかし、メドベージェフ首相がクレムリンに戻ってきたら全てがはっきりする」と書き、大統領に万一の事態が起きる可能性も示唆している。

 北方領土問題解決に向け、強い意欲を示したプーチン大統領の全快を祈ってやまないが、エリツィン初代大統領が同様に領土問題解決に努力しながら、健康悪化により道半ばで終わったことが脳裏をよぎる。我々とすれば、そうならないよう、切に願い、希望をつなぐしかない。(この項おわり)


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