飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

2回目の野田・プーチン会談、北方領土に踏み込めず!

2012年09月09日 10時23分33秒 | Weblog
国際政治・外交 ブログランキングへ

 ウラジオストクで8日行われた野田首相とプーチン大統領の首脳会談は、日本の内政の先行きが不透明な中で、北方領土問題へは事実上踏み込めなかった。双方が合意したとされる野田首相の「12月ロシア訪問」も実現できる保証はない。

 二人の首脳会談は6月のメキシコ会談に次いで2回目で、雑談でロンドン五輪の柔道談義をするくらいには親しくなったようだ。朝日新聞によると、首相はロシアが柔道で金メダル3個獲得したことを称えると、大統領は「日本は金メダルこそ1個だが、銀、銅メダルは多かった」と言って慰めたという。

 首相とすれば、民主党代表選、衆議院解散を控え、北方領土問題で議論する余裕はないというのが本音だ。一方のプーチン氏からすれば、そうした日本の内政で問題を抱えた野田首相と突っ込んだ話をしても仕方ないという気持ちがある。そこで双方とも領土問題の議論には踏み込まず、継続協議の合意に留まったということだろう。

 大統領にしても、今回のAPEC首脳会議をテコにシベリア・極東に外国投資を呼び込む緊急の課題があり、早く本題を解決したい気持ちは強いに違いない。だが、それが難しい情勢にある以上、様子を見るしかないというところだろう。首相の12月訪露が実現するかどうかがカギだが、今のところ期待できない。

 日本側が八方塞がりの中で、もう一つ悪いニュースが飛び込んできた。プーチン大統領が秋田犬の返礼に日本に贈った「シベリア猫」が日本の空港検疫所で検査のため足止めを食っているというのだ。以前から日本の検疫行政の厳しさが指摘されていたが、ここへ来て新たな外交問題にもなりかねない状況だ。防疫検査の結果を半年間も空港に留め置いて様子を見るというのだから、気の長い話だ。

 北方領土問題を67年以上も待っていることからすれば、半年間くらい待つのはなんともないといえばそれまでだが、猫の身になって考えると大変なことだろう。ロシア側の気持ちも考えて、日本政府としてなんとか手を打てないものだろうか。(この項おわり)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする