3月4日のロシア大統領選を直前に控え、プーチン首相が反プーチン派を中傷あるいは威嚇するような発言を行い、波紋を広げている。リベラル派の野党などが一斉に反発しており、選挙運動の終盤で一波乱起きる可能性も出てきた。
ロシアのインタファクス通信などによると、プーチン首相は29日、自身で設立した選挙運動組織「全ロシア国民戦線」の運動員らと会合を開いた際、「野党側は大統領選で不正投票を計画しており、それを不正選挙の証拠として提出するつもりだ」と発言した。さらに、首相は反プーチン派が指導者の中から「聖なる犠牲者」を探していると述べ、政権側の指導者が殺害される可能性を示唆したという。
この発言は、野党側が自ら不正選挙を計画・実行し、政権側が行なったように見せかけ、選挙の無効化を画策しているというものだ。そのうえ、指導者暗殺まで計画しているという内容で、支持者の間に危機感を煽ろうという意図を感じさせる。これに対し、昨年暮れから下院選挙の不正抗議運動を中心的に推進してきたリベラル派などの組織は一斉に首相発言に反発する談話を出した。
「左派戦線」のウダリツォフ代表は「政府の首相であり、大統領候補でもあるプーチン氏の声明は、無責任で挑発的な発言であり、社会を一層緊迫させるものだ。我々にはそのような計画はないし、ありえない。もしかしたら、権力の側がそういう計画を準備していることを隠そうとしているのではないか」と疑問を投げかけた。
また、国民自由党共同代表のネムツォフ元第一副首相は「我々はプーチン首相の発言に真剣に対処しなければならない。首相がそうした犯罪が準備されていることを公言した場合、治安当局は犯罪を未然に防ぐ義務があるが、そうした行動をとらないとなると、首相自身が犯罪の共犯者ということになる」と厳しく批判した。
プーチン首相の発言の真意は不明だが、投票日を前に選挙結果に非常に神経質になっていることは間違いない。首相陣営の目標は、1回目の投票で70%以上の得票率を獲得し、「一発当選」を勝ち取ることだが、一時は70%以上あった支持率がこのところ50-60%に落ち込んでいて、目標達成は微妙な情勢になっている。
このため、首相は起死回生を狙って反プーチン派をおとしめる発言をしたのかもしれないが、いかにもKGB出身らしい、謀略的な感じの発言である。これでは野党ばかりでなく、国民のひんしゅくを買うのは明らかだ。今回の発言で首相の「一発当選」自体も怪しくなってきたとの見方が出ている。「口は災いの元」という格言はロシアにはないのだろうか。
ロシアのインタファクス通信などによると、プーチン首相は29日、自身で設立した選挙運動組織「全ロシア国民戦線」の運動員らと会合を開いた際、「野党側は大統領選で不正投票を計画しており、それを不正選挙の証拠として提出するつもりだ」と発言した。さらに、首相は反プーチン派が指導者の中から「聖なる犠牲者」を探していると述べ、政権側の指導者が殺害される可能性を示唆したという。
この発言は、野党側が自ら不正選挙を計画・実行し、政権側が行なったように見せかけ、選挙の無効化を画策しているというものだ。そのうえ、指導者暗殺まで計画しているという内容で、支持者の間に危機感を煽ろうという意図を感じさせる。これに対し、昨年暮れから下院選挙の不正抗議運動を中心的に推進してきたリベラル派などの組織は一斉に首相発言に反発する談話を出した。
「左派戦線」のウダリツォフ代表は「政府の首相であり、大統領候補でもあるプーチン氏の声明は、無責任で挑発的な発言であり、社会を一層緊迫させるものだ。我々にはそのような計画はないし、ありえない。もしかしたら、権力の側がそういう計画を準備していることを隠そうとしているのではないか」と疑問を投げかけた。
また、国民自由党共同代表のネムツォフ元第一副首相は「我々はプーチン首相の発言に真剣に対処しなければならない。首相がそうした犯罪が準備されていることを公言した場合、治安当局は犯罪を未然に防ぐ義務があるが、そうした行動をとらないとなると、首相自身が犯罪の共犯者ということになる」と厳しく批判した。
プーチン首相の発言の真意は不明だが、投票日を前に選挙結果に非常に神経質になっていることは間違いない。首相陣営の目標は、1回目の投票で70%以上の得票率を獲得し、「一発当選」を勝ち取ることだが、一時は70%以上あった支持率がこのところ50-60%に落ち込んでいて、目標達成は微妙な情勢になっている。
このため、首相は起死回生を狙って反プーチン派をおとしめる発言をしたのかもしれないが、いかにもKGB出身らしい、謀略的な感じの発言である。これでは野党ばかりでなく、国民のひんしゅくを買うのは明らかだ。今回の発言で首相の「一発当選」自体も怪しくなってきたとの見方が出ている。「口は災いの元」という格言はロシアにはないのだろうか。