ウクライナの新大統領に就任したヤヌコビッチ氏(59)は11日、新内閣を組閣、国会で承認されたが、首相にロシア生まれの“戦友”アザロフ氏(62)を起用するなど、親ロシア派閣僚でがっちり固めた布陣となった。
ロシアの新聞は12日付けの紙面で大々的に新内閣を取り上げた。「ロシアの内閣のように見える新内閣」(コメルサント紙)「ヤヌコビッチ大統領は戦友を最前線に据えた」(独立新聞)「アザロフ首相は大統領の親密な盟友」(モスコー・タイムズ紙)などの見出し(いづれも電子版)で、新布陣の特徴を表現した。
新首相はヤヌコビッチ大統領の盟友であり、04年の大統領選に当選したはずが「オレンジ革命」で覆された逆境を一緒に乗り切ってきた「戦友」である。アザロフ氏はロシアのカルガ州出身で、1984年にウクライナに移住した人物。ウクライナ語もよく話せないといわれる。副官タイプで、仕事はよくこなすが、大統領のライバルにはなり得ないとみられている。もともとは親ロシア派大統領だったクチマ氏の人脈だった。
新閣僚の布陣をみると、まず第一に金融危機で瀕死の状態にある経済を立て直すことを最優先にあげていることは間違いない。それはとりもなおさずロシアに頼り、ロシアから緊急融資を取り付ける一方、ロシアから輸入する天然ガスの価格をできるだけ引き下げることにほかならない。そのため、外相に現駐ロシア大使のグリシェンコ氏を、燃料エネルギー相にロシアの天然ガス独占企業「ガスプロム」と関係が深いボイコ氏を起用した。なりふり構わぬ「親ロシア・シフト」ともいえよう。
第二に、今回の組閣はじっくり時間をかけて人選したものでなく、ドタバタで決めた閣僚が目立つのが特徴ともいえる。なによりも、親欧米派・ティモシェンコ前首相の人脈外しに重点が置かれたため、欧米対策や東西対立に十分な目配りがなされていない点が指摘されている。なお、欧米諸国に対しては前日にG7の大使を招き、経済危機の現状を説明して協力を要請している。
ヤヌコビッチ大統領は、なんとか過半数の議員を集めて連立政権を樹立したものの、ユーシェンコ前大統領やティモシェンコ前首相は公然と野党に回り、依然として半数近くの議員を擁している。このため今後事あるごとに与野党が対立し、そう遠くない時期に解散ー総選挙になるとの見方が強い。新内閣の成否は、いかに早く効果的な経済立て直しに取り掛かれるかだが、それは結局、ロシアがどれだけウクライナの救済に本腰を入れるかにかかっている。ロシアのメドベージェフ政権にとっても正念場である。
ロシアの新聞は12日付けの紙面で大々的に新内閣を取り上げた。「ロシアの内閣のように見える新内閣」(コメルサント紙)「ヤヌコビッチ大統領は戦友を最前線に据えた」(独立新聞)「アザロフ首相は大統領の親密な盟友」(モスコー・タイムズ紙)などの見出し(いづれも電子版)で、新布陣の特徴を表現した。
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新閣僚の布陣をみると、まず第一に金融危機で瀕死の状態にある経済を立て直すことを最優先にあげていることは間違いない。それはとりもなおさずロシアに頼り、ロシアから緊急融資を取り付ける一方、ロシアから輸入する天然ガスの価格をできるだけ引き下げることにほかならない。そのため、外相に現駐ロシア大使のグリシェンコ氏を、燃料エネルギー相にロシアの天然ガス独占企業「ガスプロム」と関係が深いボイコ氏を起用した。なりふり構わぬ「親ロシア・シフト」ともいえよう。
第二に、今回の組閣はじっくり時間をかけて人選したものでなく、ドタバタで決めた閣僚が目立つのが特徴ともいえる。なによりも、親欧米派・ティモシェンコ前首相の人脈外しに重点が置かれたため、欧米対策や東西対立に十分な目配りがなされていない点が指摘されている。なお、欧米諸国に対しては前日にG7の大使を招き、経済危機の現状を説明して協力を要請している。
ヤヌコビッチ大統領は、なんとか過半数の議員を集めて連立政権を樹立したものの、ユーシェンコ前大統領やティモシェンコ前首相は公然と野党に回り、依然として半数近くの議員を擁している。このため今後事あるごとに与野党が対立し、そう遠くない時期に解散ー総選挙になるとの見方が強い。新内閣の成否は、いかに早く効果的な経済立て直しに取り掛かれるかだが、それは結局、ロシアがどれだけウクライナの救済に本腰を入れるかにかかっている。ロシアのメドベージェフ政権にとっても正念場である。