放送大学「欧米の社会福祉の歴史と展望」の科目の中で、スウェーデンの社会福祉の現状、展望が、テキストの1章から3章まで、掲載されている。
そのなかで、雇用政策の日本との違いが顕著にでていたのが、目新しかった。双方とも、失業率は低いのだが、日本の場合は、現状を維持しようとしているのに対して、スウェーデンでは、労働運動によって、同一価値労働同一賃金の考え方が追求されてきており、賃金政策としているため、停滞している業種から、効率よく元気な業種に、労働力が移行していくのである。
効率の悪い、元気のない業種は、賃金が払えないから淘汰されていく。非常に明快である。日本のように、効率の悪いところは、悪いなりに、賃金を下げて、現状維持をはかると、いつまでも問題の解決はのぞめないということになる。
この移行をスムースにするために、職業訓練などの公的な制度が充実しているのである。人間を考え、大事にしている思想がよく出ている。
その結果、財政赤字に苦しむ日本に対して、スウェーデンは、高福祉高負担ながら、成長を続けており、財政は黒字なのである。
政界各国で、社会福祉の制度は多様であるが、各国の教訓を取り入れて、よりよい社会福祉制度を構築したいものである。これも、国民の一人ひとりの力の反映ということだろう。