地下街を歩いていると、日本は本当に豊かになったもんだと、ふとしたときに思う。だが、あきらかに、貧しいひとがいるし、その貧困を必然的に惹起する制度がもちこまれていて、深刻な格差が生じている。
なぜそんなことをして、平気なのか理解に苦しむ。ちょっとした違いを、増幅しているようにもみえる。みんなが、意欲をもって暮らせるようにするのは、考えれば難しいようにみえるが、実は、そんなに難しいことではない。
富裕層が、譲歩して弱者に思いをかけて、実行するならば、全然違う状況がうまれる。これを、権力を利かして強引な配分をするだけでは意欲を奪い、能力を十全に発揮することはできない。
あくまで、自発的であることが良い。そのことで、成功者が富裕な状況になったことを、全員が喜べることとなる。心からの賞賛が、この成功者の報酬である。
賞賛さえ求めない、ぐらいでなければ、そうはならない。人間性の極致ともいうべき境地である。そういう人に、いままであったことがあるかといえば、ある。確かにいる。見ている。だが、もっとたくさんいてほしい。
私腹を肥やすことが、最大の欲求だとするならば、さびしい限りである。日本には、無私の精神の人が明らかにいたと思う。こういう精神は、おおいに復活してほしい。