今朝方、読了した。一回目である。すごいストーリー展開であった。なにしろ、物語は、葛城山の山嶺からスタートするから、関西人としては、馴染みが深い。時空をこえての壮大さと、価値観の深いはなしになっているし、もちろん科学技術も登場する。
50年も前の作品とはとても思えない。この作品から、ここをスタートにして、多くのSF作品がうまれているのではないだろうか。この種類のジャンルは、読んだことがなかったので、最初は、絵空事に何の意味があるのだろうか、とごくかるく思っていたのだが、読み進めるうちに、作者の身になって、どう話のオチがつくのだろうかと不安にもなり、あとがきにあった、作者の苦しみを共感したりした。
それを過ぎると、ラストに向かって、徐々に、光がみえてきた。光といっても、単なるハッピーエンドという意味ではない。作家の全存在をかけた、創造の力が、読者の認識の地平を押し広げてくれたことは間違いない。
みごとなラストに唸らされた。さすが、作家さんである。手練である。えらい作品にめぐりあった。まさに、知人との世間話のなかで、得た情報がこの宝物になる作品との出会いを実現させてくれたのである。彼は、折に触れ、何度も読み返しているらしい。小生もそうなるのかもしれない。